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最強の現人神は病んだ転生聖女に付きまとわれているようです  作者: 誠くん2F29


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第10話 本来の力

 スローモーションのようにゆっくりと黒い槍が飛んでくる。これは死を前にすると起こるという現象だろうか。結局僕は記憶を取り戻せずに死んでしまう。 嫌だな……。


 目の前の死に対して諦めきれないでいた。足掻きたい気持ちでいっぱいだったが、今の自分では何もできない。やはり自分は神ではないのだろう。ただの人間として死ぬんだ…。


《もう、昔のあんたじゃこんなのダメージにすらならなかったのにね。仕方ない、私の力で神眼の本来の力を引き出してあげる。感謝してよね》


 このゆっくりな世界でも妖精の声ははっきりと聞こえた。それにしても妖精の声は僕の体のどこから聞こえているのだろう。非常に不思議で感覚だ。


《そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ。早くその眼を使って対処しなさい》


 そうだった、僕は死ぬ寸前だったんだ。現実逃避をしていたみたい。


 ここまで来ても神眼の使い方はよく分からないが、やるしかない!


 がむしゃらに眼に力をいれる。すると、眼の輝きが増したような気もする。それに戸惑っていると、目の前の悪い槍が消えた。正しく言うと思いマナとなって霧散していった。

 これを好機だと捉え前に進んだ。なぜか固まって動かないブレイズの顔に挙が当たる寸前で止める。


 これで決着が決まった。それで模擬戦の終わりを告げる号令が出される。


「両者それまで!勝敗はゼノン君の勝ち」


 その先生の声は運動場全体に響いた。それを聞いた他のクラスメイトたちは驚愕していた。なんせブレイズの強さは皆知っていた。


 あんなに横暴な態度をとれるのも彼の強さ故だった。なのに、彼より2回りほど小さい子に負けるとは誰も想像だにしていなかった。

 離れているクラスメイトたちは状況をのみ込んだにも関わらず、当人はまったく理解出来ていなかった。


 これは勝てたのか…?

 あまり実感が湧かないのだが、勝てたという認識で良さそうだ。僕の眼の能力を引き出してくれた妖精には感謝しないと。

 そう思っていると、どこかからきれいな鈴の音色が鳴ったような気がする。


「大丈夫ですか、ゼノン様!」


 模擬戦が終わるまで駆けつけたい気持ちを我慢していた。あの攻撃を完全に防ぐことは私でも難しい。それでも死ぬ前に回復させてあげることが聖女の私なら出来る。しかし、後遺症などが残ってしまう可能性があった。それぐらいは危険な魔法だった。

 あの魔法はやはり模擬戦の域を超えている。聖女として徹底的に抗議しなければいけない。


 そう思って問い詰めようとするが、肝心なブレイズは固まったままだ。こんな状態では何しても無駄でしょうね。後から正式に追及させてもらいましょう。







 授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。その途端にクラスメイトたちは魔法の行使を止める。すると、先程まで魔法で埋めつくされていた運動場が一瞬できれいになった。まるで先程までの光景は夢だったようだ。

  僕もこんな魔法を使えるように頑張ろう。



 次の授業は再び教室で行うようなので、運動場から教室へ戻った。その道中に話しかけられた。振り返るとクラスの教室で存在感を放っていた青少年だった。


「ごめんね、いきなり話しかけて。けれど、あのブレイズ君に勝ったんだよね。 すごいなゼノン君は」


 僕に目線を合わせるように中腰になってくれている。嬉しいのだが、少し申し訳なく感じる。しかも、手まで握ってくる。


「たぶん相性が良かっただけだよ。僕が観察した限り彼の長所は隠密性だと思うけど、 僕には効きづらいみたいだから」


 これは完全に神眼のおかげだ。先にマナが見えていると避けやすかった。もし、神眼が無かった場合を想像してみると怖くなる。初手で背後を取られて一瞬で負けていただろう。

 対応出来るか出来ないかの路線で運命が別れる相手だった。


「だから彼に勝てたんだね。それがどういう原理なのか分からないけど、あそこまで彼に対して受け身なのはゼノン君だけだよ。本当にこれからの成長が楽しみで仕方ないよ!」


 そう言って彼は去っていった。名前すら聞いていないのに。まぁクラスが一緒なのだからいつでも聞けるからいいか。






 午前の授業が終わったので、セシルと食堂に来ていた。この学校に在籍している生徒は多い。だから、食堂も広くて席がいくつあるかぱっと見では分からないほどの数がある。


 セシルによるとSクラスの特権でVIP席に座れるらしい。ここでワイワイ食べるのも良さそうだけど、少し落ち着かないかもしれない。だから、ありがたくそのVIP席というのを利用させてもらおう。


「席に着く前にあそこで頼みましょう。私のおすすめは…」


 学校の食堂の料理は非常に美味しく、流石セシルのおすすめだった。満足した状態で午後の授業を受けられるとは幸せだ。こんな豪華な食事も慣れてきたが、元の貧しい家のご飯と比べることすらしたくないレベルだ。

 両親は元気にしているかな?


 両親への思いを馳せながら、食事を口に運んでいく。






 午後の授業の課程が全て終わり、帰宅時間になったのでセシルと一緒に帰る。学校の門を出ると、城で見かけたエンブレムの馬車が待ってくれていた。それに乗り込み城へと戻る。その道中でセシルが先に口を開く。


「ゼノン様、ご自身の記憶のありか在り処は分かりましたか?」


「うん、まだ少し靄がかかったように感じられるけど、把握できたよ。 学校から南西方向に約2km進んだ場所にあるみたい」


 マナ・レギオン内ではマナが多すぎて分からなかったが、出るとはっきり分かった。明らかに異質なマナがあった。それになぜか親しみを感じる。 恐く自分の記憶だろうと直感で理解できた。あそこに行けば記憶を取り戻せる。


「では、ディナーを食べたらそこに向かいましょう。なるべく早く行った方がゼノン様のためになりますから」


 実は自分も出きるだけ早く行きたいと思っていた。なぜなら記憶も大事だが、マナも取り戻したいからだ。今日は運よくブレイズに勝てた。 しかし、それは相手が油断していたからであって、次に戦って勝てる保障はない。だから、マナだけでも増やしておきたい。 という気持ちが大きかった。


「僕も賛成だよ。それにしても楽しみだね。これから起こる出き事が」


  ゼノンは窓から傾いている太陽を横目に見やる。その姿だけなら普通の幼い子である。しかし、神の眼だけは異様で荘厳な雰囲気を漂わせている。時折、眼に光が差し込むと反射を繰り返し、吸い込まれるように徐々に弱まっていく………。






 夕食を2人で急いで食べて外へ出てきていた。お城の人に伝えると止められるかもしれないので内緒にしている。これは俗に言う「お忍び」というやつだろうか。

 城の周りは草木がたくさんあり、子供には身を隠すにはちょうど良かった。


「…お城の馬車は使えないので貸りに行きましょう…」


 陽はすっかり落ちて辺りは暗くなっている。そこで目立たないように、なるべく小声で話す。


「…そうしよう。でも、あてはあるの?」


 この質問を待っていたのか、セシルは食いぎみに答える。


「こうなることを予測していました。なので、事前に私たちにとって都合の良いお店を調べておきました」


  誇るように胸を張っているセシル。こうやって準備してくれているとありがたい。自分はまだこの都市のことを知らなすぎるから、もっと勉強して自分でも出来るようにならないと。

 そう心に刻みつけて、自分の記憶とマナを取り戻すために足を踏み出す。

明日からストックが尽きるまで毎日投稿します!

(ストックはあまりないです(*´ω`*))


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