第1話 転生前夜
自分が最高神から任されている星が悪魔によって荒らされていた。しかも以前までは大地は息をするかのように脈動していたのに、今は叫び声を上げるように天変地異が巻き起こっている。
このままでは、この星の生物たちが根絶やしにされてしまう危険性が大いにあった。
そこで世界中にいる自らの信徒たちに呼びかけて、力を集めた。
そのおかけで地上に仮の顕現が出来るようになった。私が降り立つと信徒たちが待ってくれていた。しかし、皆が衰弱した様子だった。だから祝福を与えて一時しのぎはできるようにしておいた。
それでも根本的な問題を解決しないと意味はない。
これで力を発揮できるようになったので、悪魔たちの進軍を神の権能で押し戻し、マナの壁を作った。世界をきっちり二つに分けるための。
しかし悪魔の中には悪魔の王、略称で魔王と呼ばれる者がいた。
そいつが出来たばかりの少し脆い壁を壊そうと立ち向かってきた。この世界の者とは思えない程の力を私に振るってきた。
攻撃の余波で沢山の生命が絶えていく。
それを受け流して、さらに権能を行使した。
魔王は神からしても容易にその存在を完全に消滅させるのは非常に困難だと判断し、封印する事にした。その封印には依代が必要だったため、その依代としてマナの壁を使った。
使わざるお得えなかった。
向こう1000年程は壊れないよう頑丈に作ったつもりだ。 そして私は集ってくれた信徒たちにこう告げた。
「悪魔たちはあの壁で隔離した。しかし、時が経つにつれその壁も壊されるかもしれない。だから私は1000年後再びこの地へと降り立つことを誓おう!」
すると、信徒たちは大いに湧き上がった。
やはり未来が心配なのだろうな。それでもこれからは再び繁栄の時代がやってくる。
だから、あの壁に強大なる悪魔の王を封印したことは内密にしておかなければ。
そうでないとまたパニックが起こってしまう。予想外の事態に備えて安全装置だけは作ってあるから放置しても大丈夫だろう。
力を溜めて自力で顕現出来るようになった時に、自らの手で決着をつけに行けばいいだけだ。それが神としての自分の存在理由である。
そんなことを思っていると、突如大勢の中から一人の女性が前に出てきた。
若い見た目に反して、衣服がものすごく豪華だ。確かあの衣服は私を信仰する者たちのトップの証だったはずだ。ということは彼女が私の啓示を受け取って、色々動いてくれたということか。
その女は周りから聖女と呼ばれているようだ。
「此度の件は心より感謝申し上げます。。これで皆が救われました。今後、より一層信徒が増えると思いますが、私ともどもあなた様にいっそうの信仰をさせていただきます。そして影響力を広げて、あなた様の信徒をもっと増やします」
聖女の言葉に信徒たちはさらにヒートアップし、自分でも手をつけられなくなった。まぁここまで活気に溢れていたら、もう私は不必要かな。
そもそもこの地に顕現できるだけの力がほとんど残っていない。
このまま元いた神界に戻ろうか。
仮顕現を解除して神は神界へと帰った。その様子は誰にも見られることはなく、跡形を残さず消えた。正しくは一人の人間の強い感情だけを残して…。
ついさっきまでいた場所に神様がいない。
辺りを探してもいない。
いないいないいないいない。
探し疲れて倒れた私は力なく空を見上げる。どれだけ地上が荒れていても空は変わらずきれいに輝いている。そんな美しい空でようやく神様を見つけた。
嗚呼、神界に帰られてしまったのですね。
私はとても悲しいです。
あの悪魔の大群を押し返していたところをこの目で見ました。疑っていた訳ではありませんが、この私に聞こえていた声は幻聴などではなかった。
この素晴らしいお方のものだったのだと。
再び会いたい。
一生一緒にいたい。
私の存在意義はあなた様と共にある。
だから…………
1000年後まで迎えに行こう。これはただのエゴだが、とにかくまた会いたい。
「お待ち下さい、私の神様。今あなた様に会いに行きます」
そう言って自分の胸にナイフを刺した。
この行為をトリガーとして、転生魔法が発動した。
転生魔法は人間では聖女しか使えない魔法の一つで、聖魔法を極めて覚醒した者しか使えない。現代の聖女はその域に達していなかったが、神への想いだけで魔法を昇華させた。
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