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零式魔導設計士 ~全属性適正ゼロ判定の俺、実は世界の設計者候補でした  作者: 白峰アキラ


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第12話 零ではない

 研究院内部犯の拘束から一夜明けた。


 王都は何事もなかったかのように動いている。


 だが塔の内部では、緊張が消えていなかった。


 理事会の臨時会議。


「アルト・ゼインは危険因子であると同時に、必要不可欠な存在だ」


「排除は現実的ではない」


「ならば管理する」


 結論は一つ。


 ――監視下での全面運用。


 その決定は、当人に直接伝えられる。


 中央演算室。


 ミレイアが告げる。


「あなたは正式に王都魔導研究院・構造解析部門に配属されます」


 静かな宣言。


「ただし常時観測対象です」


「受け入れます」


 即答。


 研究員たちがざわつく。


「抵抗しないのか」


「合理的です」


 淡々。


 リシアが横で小さく息を吐く。


「私は?」


 彼女が問う。


「補助研究員として登録。ただし戦闘制御担当」


「……炎は?」


「必要不可欠です」


 ミレイアの目がわずかに柔らぐ。


「あなたの制御は既に研究対象です」


 リシアは胸を張る。


「なら、証明する」


 アルトを見る。


「理論は机上じゃない」


「はい」


 視線が重なる。


 そのとき、理事の一人が口を開いた。


「最後に確認する」


 重い声。


「アルト・ゼイン。あなたの目的は何だ」


 沈黙。


 研究員全員が見る。


 ゼロと呼ばれた少年の答えを。


 アルトは少しだけ考えた。


 学園。


 嘲笑。


 炎の暴走。


 夜の訓練場。


 王都の炎。


 リシアの言葉。


「……魔法を、設計し直すことです」


 ざわめき。


「均衡を壊すのか?」


「壊すのではありません」


 静かな声。


「完成させる」


 沈黙が落ちる。


 リシアの胸が高鳴る。


 彼は震えていない。


 堂々としている。


 ミレイアがゆっくり頷く。


「ならば、見せてもらいましょう」


 会議は終わる。


 塔の屋上。


 夕焼けが王都を染めている。


 リシアが欄干にもたれ、空を見ていた。


「本当にやるのね」


「はい」


「敵が増えるわよ」


「知っています」


 隣に立つ。


「怖い?」


「少し」


「私も」


 小さく笑う。


「でもね」


 振り向く。


「昨日、あなたが“ゼロじゃない”って言ったでしょ」


「はい」


「違うわ」


 アルトが目を瞬く。


「あなたは最初からゼロじゃなかった」


 真っ直ぐな瞳。


「私が気づくのが遅かっただけ」


 胸の奥が静かに揺れる。


 今まで誰も言わなかった言葉。


 ゼロじゃない。


「……ありがとう」


「だから敬語」


 軽く肘で突く。


 笑い合う。


 だが次の瞬間。


 リシアが少しだけ真剣な顔になる。


「ねえ」


「はい」


「もし、均衡を壊した先に」


 一拍。


「私の家が敵になっても?」


 重い問い。


 アルトは迷わない。


「あなたは敵ですか」


「違う」


「なら問題ありません」


 即答。


 リシアは息を呑む。


「家より、炎より、立場より」


 アルトは続ける。


「あなたは、あなたです」


 あの日と同じ言葉。


 だが今は、もっと深い。


 リシアの胸がいっぱいになる。


「……ずるい」


 小さく呟く。


 そして。


 一歩近づく。


 夕焼けが二人を包む。


「最後に確認」


 少し震える声。


「私は、あなたの隣にいる?」


「はい」


「必要?」


「不可欠です」


 即答。


 顔が熱くなる。


「それ、覚えときなさい」


 照れ隠しのように言う。


 だが次の瞬間。


 塔の上空で、巨大な魔法式が一瞬だけ光った。


 誰にも気づかれないほど微かに。


 遠く、王城の奥深く。


「観測完了」


 低い声。


「構造変化、臨界点へ接近」


 黒い水晶が静かに脈打つ。


 均衡は、既に揺らいでいる。


 ゼロと呼ばれた少年は、


 王都の中枢に立ち、


 炎の少女と共に空を見上げる。


 これは終わりではない。


 学園編の終幕。


 そして――


 王国構造編の、始まりだった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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