十周年記念式典 ⑧
「と、まあ、そんな悠長なことを言っている場合でもないんだがな」
「林松さん、ひとまず先へ進めようと思うんですけど」
「ああ、ぜひやってくれ。で、もし戦力になりそうなら声かけるわ」
「わかりました」
そう引き受けた香純は、即座に子ども達をそばへ呼び寄せた。
「ねえ、お父ちゃん。この式典ってさ、実は僕たちの本当の力を試すためなんでしょ」
香純はそれに真顔で答えた。
「まあ、そうだな」
「だったら、おいちゃんはどうして術を使うなって言ったんだろ」
リンがそう言うと香純が静かに話を続けた。
「ん、で、考えたんだ。もし今が全力だったとすれば、この先はどうすればいいんだろうって。お前たちどう思う」
その問いに、子どもたちは上を見たまま沈黙した。しかし数秒後、リンは大きく頷いてこう言った。
「あっ、そういうことか」
香純はそれが嬉しくて何度も頷きながらこう続けた。
「な、そうだろ。それしかないだろ」
地底にいるのは誰なのか。
もちろん気にはなる。しかし今はそれよりこの瞬間、互いの意見が一致していることが何より嬉しかった。
その様子を幼い林松は微動だにせずただ見守っていたが、それを見ていた綾子が壇上へ出てこう言った。
「ねえ、あなた。ところでいつ戻ってくるの」
すると林松はポリポリと頭をかきながらこう答えた。
「ん、まあ、この闘いが終わったら・・・
「ね、それって本当なの」
綾子にはもうこれ以上の説明は不要だろう。林松はそう思いながらもこれだけは伝えた。
「綾子、大丈夫だよ。俺の肉体は今も病院にあるし、こうして意識を飛ばして皆と会えているから。必ずまた復活する。心配するな」
そう言うと林松は壇上からすぐに姿を消した。
「はっ、林松さあん」
それを見た皆が直後にそう呼んだものの返答はなかった。
それでも式典は先へ進めようと決まり、数人が壇上へ出てきた。様々な特技を持つものがいたが、中でも最終的にはリンの瞬間移動と真純の波動攻撃、それに葉流の予知能力が中でも特に際立っていた。評価委員会はこの三人を決めた後、さらにはもう一人を推薦していた。
「いや、この人の力は・・・」
「えっと、ちょっと理解できませんね」
そうした中、決定した四人による決勝戦が行われることになった。
選ばれた四人はくじ引きで対戦相手を決めた。
リンと葉流、そして真純に謎の一人と。




