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真の聖戦戦争  作者: ガネスー
第一章 目覚め(続き)
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第三章 旅のはじまり

「ねぇ拓也。人間って、なんであんなにすぐ“決めつける”の?」


夕焼けに染まる荒野を歩きながら、エリシアが問いかけた。

その声は風に混じって、少しだけ寂しげに響く。


「……恐怖だよ。理解できないものを、敵って決めれば安心する」


拓也は歩みを止めず、視線だけをエリシアに向けた。


「それは悪魔も同じか?」


エリシアはふっと笑った。

「違う。悪魔は“人間に裏切られる”ことを、恐れてる」


そして、ふたりの旅は続く。



―遭遇:E級悪魔群―


北の廃村。

放棄された集落に、E級悪魔が群れをなしていた。


「ギシャアアアッ!!」


唸り声と共に、牙をむき出した黒い獣が地を駆ける。


「数は10体。こっちは2人か……エリシア、援護頼む」


「了解。……“時のタイム・ケージ”」


エリシアが指を鳴らすと、3体の悪魔が突如、空中で静止した。

まるで時間が止まったように。


「おいおい、便利すぎるだろ、そのスキル……!」


拓也は短剣を構え、残る7体に向かって一気に駆け込む。

鋭い動きで首筋を断ち、背を取って心臓を貫く。


「……B級と違って、E級は“ただの獣”だな」


「でも、放っておけば人間の村が襲われる。だから……やるしかないんだよね」


ふたりは、黙って残りの悪魔を片付けた。



―廃墟の町とC級の叫び―


翌日、ふたりは廃墟と化した町に入る。

そこには、知能を持ち、言葉を話すC級悪魔がひとり、倒れていた。


「にん……げん……殺さない、で……くれ……」


エリシアが駆け寄り、悪魔の手を握った。


「……大丈夫、私は敵じゃない。名前は?」


「……オルグ。もと、は……村、の……まもりて……でも……仲間、ぜんぶ、ころされた……」


エリシアはそっと彼の目を閉じた。

彼は、かつて村を守っていた悪魔——人間に裏切られた者だった。


拓也は黙って、空を見上げた。


「共存なんて、やっぱり幻想かもな」


「それでも私は……あきらめない。だって、オルグみたいな悪魔が……まだ、生きてるかもしれないから」


ふたりの旅は、少しずつ、「戦うため」から「知るため」へと変わり始めていた。

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