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プロローグ
ただ、救いが欲しかった。
夢だった高校にも入れて、中学で彼女も作って、豪華ではないけど幸せな生活を送っていた。
けれど、あの事故ですべてが狂った。
高校に入った年の夏、母と父が信号無視のトラックにひかれた。
妹も病気の悪化で入院。
今までの幸せな生活は、消え去った。
高校も中退して頑張ったのに。
一時期元気になっていた妹も、病気が再悪化し他界。
もう生きる気力なんてなくなっていた。
「まもなく2番線に列車が到着します」
駅のホームに機械音声が流れる。
「時間が来たみたいだ」
小さくつぶやき、線路に身を投げる。
大きな急ブレーキの音が駅に鳴り響く。
俺は、そこで一つの人生に幕を下ろした。