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宇宙間超躍

ルコーニアが教えた方法によって、素粒子を一切使わずに、虚数時間を飛ぶ事が出来るようになったが、問題は、それをするために必要な機械だった。

「虚数時間を飛ぶ為には、自らも虚数時間になればいいの。そもそも、虚数時間自体は、こちらの時間とは真逆の性質を持っているに過ぎない。だからこそ、全ての粒子を反転させる事ができれば、何もかもいらないと言う事になるの。一番の難点は、そのために必要な機械なの。この世界と向こう側の世界で共通の物質じゃないと、この方法は使えない。だから、向こう側の質量分析をしたら、全て、こちらとほとんど変わらないものでできてるのがわかったの。だから、基本的に、天然界に存在している物質なら向こう側にもある。そう考えてもらって構わないわ」

そして、40分後、無事にその機械は出来上がった。設計図は、図書館の中に似たような粒子変換装置があったので、それを流用した。


「じゃあ、この船で行くからね」

その船は、オメトル・クシャトルとオメトル・スタディンが乗ってきた船だった。

「ちょっと改造しましたが、大幅な変更をしなくて済んだのは幸運でした。そのような材料は、この世界にありませんからね」

「では、行こう」

ルコーニアを、この船の、主AIにし、この空間から出た。


出る直前に、粒子変換装置を起動させ、無事に起動した事を確かめる暇もなく、虚数時間中に出た。


周りは、良く分からない状態になっていた。

「最初は、きれいに整列していたんだが、いまや、方々に分かれた単なる球体になってしまったな…」

ぽつんと、4つの球体があるのが分かった。そのうちの一つは、既に明るさを無くしており、他の3つに比べて、死にかかっているのがすぐに分かった。

「あれが、オメトルです。今や、主を無くした宇宙となり、崩壊するのを待つのみとなっています。あの周囲は、異常な紫外線を観測しており、あと、数年後には、徐々に内部エネルギーが消滅するでしょう。そして、遠からずして、完全に崩壊し、後に残るのは、エネルギー体のみとなるでしょう」

そして、船は、一つの空間に向かって飛んでいた。

「ここに、メフィストフェレス神がいます。ホムンクルス神の後継者として、現在、全ての神の頂点に君臨していると、そう思っているようです。最初にそのような序列を設けたのは、ホムンクルス神ではないのですが…」

しかし、その直後、何らかの震動を感じた。

「敵艦隊を補足!応戦します!」

虚数時間と言う特殊な状況下で、数百隻にもなろうかと言う、巨大な艦隊が現れた。向こう側から、呼びかけてきた。

「久しぶりだ。スタディン、クシャトル、マギウス神、それに残りの皆さん」

「メフィストフェレス神か!なぜこのような行為を?」

「単純な事だ。この世界に、神は何人いると思う?一人で十分だ。多くなりすぎた神々は、時に粛清と称し消されていった。一方で、常に一人の神が世界を制していたのも事実。その方こそが、ホムンクルス神であったのだ。しかし、その方が亡くなられた後、その後継者として、正式に選ばれたのは、このおれ自身だったんだよ」

「それは間違っています。ホムンクルス神は、一切の後継者を考えておられませんでした。考えておられたのは、ただ、保身の事だったでしょう。どなたも、ホムンクルス神の正式な後継者ではなく、そもそも、後継者自体がおられないのです。オメトルも、もう間も無く崩壊し、痕跡はエネルギーのみになるでしょう。そうなれば、このような無益な争いが、真に無駄であり、別のことに目を向ける事ができるものと思います」

オメトル・スタディンが、言った。しかし、メフィストフェレス神は、それを聴いて激昂し、通信を切断した後、すぐに、こちらに対して攻撃を加えだした。

「さて、どうしようか」

完全に、相手の攻撃を防いでいるこの船の中で、悠長に構えていた。

「やってられないから、さっさと終わらそう。そうしないと、全ての宇宙が消滅しかねない」


次の瞬間、メフィストフェレス神が乗り込んでいる船以外の全ての船が消滅した。

「なにが、おきたんだ?」

まったく状況を理解できないメフィストフェレス神に対して、悠々と、スタディン神達を乗せた船が近づいてきた。

「お前は、もう負けているんだ。このような力の差を見せ付けられてもなお、こちら側と戦おうと言うのか?」

メフィストフェレス神は、決断した。


メフィストフェレス神は、詠唱を始めた。それは、滅びの呪文と呼ばれている、禁呪だった。その事に気づいたスタディン神は、慌てて、平水の耐神盾を持ち出した。とりあえず、滅びの呪文の効果は、船の中には来なかったが、メフィストフェレス神が乗っていた船と、作った宇宙は、瞬間的に消滅した。


「さて、とりあえず帰るとするか」

「そうね。後ろで神々もお休みのようだし」

オメトル・クシャトルとオメトル・スタディンの二人は、全世界正史委員会中央評議会の空間へと、船首を向けた。

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