神々の協議
その日は、比較的暖かい日だった。雪野、平水、加賀、宮崎はいつものアパートの部屋の中で、まったりしていた。
「やっぱり、コタツって、いいね~」
冬から春に向かっている間に訪れた、わずかな春のような陽気。そんなところに、スタディン神とクシャトル神は来た。
「どうも、お久しぶり」
「スタディン神、クシャトル神。こちらこそ、お久しぶりです。どうぞ、コタツの中にお入りください」
スタディン神とクシャトル神がコタツの中に入ると、話を切り出した。
「実は、とある神々が見当たらないんだ」
「誰ですか?」
「メフィストフェレス神と呼ばれる古代の神だ。オメトルの崩壊後、その痕跡の一切を消し去り、どこかへ消えている。君達は、会った事はないはずだが、それでも、名前は聞いたことがあると思う。ホムンクルス神の側近中の側近、第2位の実力者として、ホムンクルス神政権の中枢にいた存在だ。さらに、彼の存在が消えてから、オメトル・ホムンクルスとオメトル・イフニも消えている。彼らも、メフィストフェレス神と共に、どこかへ旅立ったものと思われる。現在の所、その行き先が分からない。そこで、君達の力を借りたい。全世界正史委員会中央評議会の空間から、全ての宇宙空間に対して捜索するための電波を送る事ができる。だが、それには、神の力が必要なのだが、我々、3人だけでは足りないのだ」
「分かりました。社の方は、すでに、権力から離れています。俺達が再びいなくなったとしても、別に構わないでしょう」
スタディン神とクシャトル神は、安心したようだった。
「じゃあ、いきましょう」
彼らは、神々しか通る事が許されない道を通り、全世界正史委員会中央評議会空間へとたどり着いた。
「では、こちらへ…」
そこは、会議室だった。半円状のテーブル、複数の椅子、何もかもが変わっていない、時が流れている事さえ感じさせないような空間。そして、その中に、7人の神々がいた。
「では、これより、第1回協議会を開催します。なお、司会は、儂が取り仕切り、スタディン神とクシャトル神が書記、その他、ユキノ神、ヘイスイ神、カガ神、ミヤザキ神を、会員とします」
こうして、協議会が始まった。
「議題は、メフィストフェレス神の捜索。これより、意見を取る。何かあれば、挙手をする事」
手を挙げたのは、雪野だった。
「では、ユキノ神」
「俺として考えるのは、どこか一点から全方面に対して、捜索電波を送る事だと思います」
「では、この意見に対して、異議を申し立てる、又は、他意見があるものは、挙手を」
誰も手を挙げなかった。
「では、それを採用し、第1回協議会を終了する」