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エンシャント・クルーレ① ー『鳥』の章。異世界上司は美くびれ・美乳・美尻の最強くのいち!? 超絶忍術チートバトル!!ー  作者: 藤村 樹
新たなる風

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黒き鉄と穢れなき炎、あとアオリ特性

 ここで再び、場面は工業区画へと移る。この工業区画では、『八百万』どうしの激闘が繰り広げられていた!


「トゲトゲトゲトゲ!! 突き抜けろ、『磔殺(たくさつ)針先(はりさき)地獄(じごく)』ッ!!!」


『八百万の(はち)』・玖ノ宮(くのみや)アリサの背後に立つ人型から、無限とも思える数の針が撃ちだされた!

 

 それらの針は彼女の『(しるべ)』によって具現化されたもの。1本1本にさまざまな属性が付与されており、あらゆる属性に対応できるようになっている。

 通常であれば、彼女の攻撃に耐えられる者などいるはずもなく、どんな物体でも跡形もなく破壊されてしまう、はずであった。


 しかし、『八百万の(よん)鉄國王鵡(てっこく おうむ)の全身を包む黒鉄の装甲は角錐のブロックとなって浮かびあがると、組み合わさって彼を護る盾となった。

 巨大な十二角錐となった盾は、針の威力を効率的に分散させ、アリサの針の嵐を見事に防いでみせた。


 ……この変幻自在に再構築される黒鉄の破片こそ、彼の固有武器にして固有スキル『破元鉄搥(はげんてっつい)』である。

 彼はその黒鉄の性質を思いのままに変えることができ、その組成は現実世界で言うところのタングステン鋼に近い。

 しかし、そこに彼の大地属性の『導』を混ぜこむことにより、ヒヒイロカネやオリハルコンを超えるほどの硬度・剛性・魔耐性を実現してみせたのである。


「フハハハ! バカのひとつ覚えにまたそれか、玖ノ宮。威力任せのゴリ押しで単調なんだよ、お前の攻撃は。だから『捌』どまりなのだ、ゴミクズが!」

「ムカムカ……ッ!!」


 鉄國王鵡の、この尊大な態度。それは彼の生い立ちによるものである。


 鉄國家はかつてこの国が王制を取っていたころの、王家だったのだ。

 時代の変遷のなかで王位こそ剥奪されてしまったものの、未だに高い地位を維持しつづけている。


「フハハハハ!! この俺の『破元鉄槌』で貴様らを圧し潰してくれるわ!!」

「戦いの最中にしゃべりすぎだ、王鵡……。集中力が足りぬ……」

「!? なんだと、スザク!!」

「お前は黙って守りにだけ徹していればいい……。あとは俺がやってやる……」

「偉そうに指図するんじゃねぇ! この俺に命令していいのは、俺自身だけだ!!」


 アリサの攻撃を王鵡が防ぐその裏から、爆風で舞いあがるかのように軽やかに飛びたった者がひとり。

 その者は宙で優雅に身を翻しながら、極熱の炎を撃ちはなった。


不穢(ふえ)凰火(おうか)』!!


『八百万の参』・炎豪(えんごう)スザクの固有スキル。

 この世の理を超えた熱量をもつ聖なる炎は、炭化現象を通り越してあらゆる物質を一瞬にして蒸散させる。

 そのため、彼が放つ炎は穢れることを知らず、清らかなまま燃え盛りつづけるのだ。アンデッドタイプ・暗属性の敵には、特に有効。


 ……炎豪家は火の神を主神として崇める亜虞(あぐ)教の教祖の家系である。亜虞教の総本山である寺社には天まで届くほど高い塔が建っており、火の鳥の神が1000年に1度、翼を休めに訪れるという。

 

「!! アリサ殿、危ない! 『白水面(はくみなも)』・『参ノ口』!!」


 湖水は空中に散布していた霧のなかから3つの『湖面』を形成し、猛烈な噴流(ウォータージェット)を撃ちだした!


 本来であれば1都市を粉砕し、洗い流すほどの威力をもつ技。

 しかし今は、スザクが放った『不穢の凰火』をかろうじて相殺するのがやっとであった。


 水蒸気爆発による衝撃が波及したあと、あたりには熱された大量の水蒸気が残り、濃厚な霧で包まれた。


「湖水か……。以前より腕をあげたな……。いや、真の力を隠していた……?」

「スザク、てめぇ! 偉そうな口を利いてしくじってんじゃねぇぞ! お前こそ黙って、俺に力を貸せ!!」

「口を慎め、王鵡……。人に物を頼む態度ではないぞ……」


 スザクはそう言いつつも、王鵡が上空に浮上させていた黒鉄の破片に向かって火を放ち、『不穢の凰火』をまとわせた!

『破元鉄槌』の鉄片は、王鵡の術によっていくらでも生成することができ、盾とは別に上空に待機させていたのだ。


「フハハハ! まとめて消しとぶがいい!!」


 合同忍術、『煉鋼砕破弾(れんこうさいはだん)』!!


『不穢の凰火』をまとって熱された黒鉄の破片が、上空より降りそそがれた!!

 それはまさしく、大気の摩擦で燃えながら落下する隕鉄※の雨。メテオストームとも言える驚異の破壊力をもった合同忍術なのである!


「!! アリサ殿、全力で迎撃しますよ! 『白水面』・『壱の口』!!」

「イライライラ……。仕方ないわね、『磔殺針先地獄』・『逆鱗(げきりん)』!!」


 湖水とアリサは全開で技を放ち、なんとか上空から降りそそぐ鉄片を全て撃墜することに成功した。


「今の攻撃を防ぐとは、仮にも『八百万』の一員というわけか。だが、すでに満身創痍といった感じだな。フハハハ!」

「フム、愉快なり……。戦いとは、かくあるべきものだ……」

「ハァッ、ハァッ……。くそっ、まだまだ余裕って感じでムカつくわね! ムカムカムカ……」

「フゥ、フゥ。ええ、アリサ殿。ここは時間稼ぎに徹するべきであるようですね」


 湖水はアリサにそう提言しながら、戦況を冷静に分析していた。


 ーーやはり、地力では向こうが上。

 現状、スザク殿に対して私の属性相性がいいのが数少ない救いといったところですか……。


 しかも、向こうは言い争っているようでありながら、息の合った絶妙な連携を見せている。

 私とアリサ殿は、共闘するのは今回が初めてだというのに……。


 そこまで考えたところで、湖水はついつい王鵡とスザクのふたりを指差し、思っていたことを口にしてしまった。


「王鵡殿、スザク殿。さてはあなたたち、実は仲良しですね……!?」


 真顔で指摘する湖水。彼のこの発言に、その場は凍りつくこととなる。


「湖水、キサマぁっ!! どこに目を付けてやがるッ!! ()()にされてブチ殺されてぇのかッ!!!」

「湖水よ、どうやら貴様は禁に触れたようだ……。生きて帰れるとは思うな……」

「ちょっと、湖水! あんた天然のアオリ特性持ち!? 時間稼ぎするのに敵を怒らせてどうすんのよ、ムキーッ!!」

「い、いえ、そんなつもりは……。しまった、逆に怒らせてしまった……」


 4人の『八百万』による激闘が、続いていく……。





※隕鉄:鉄でできた隕石のこと


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