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エンシャント・クルーレ① ー『鳥』の章。異世界上司は美くびれ・美乳・美尻の最強くのいち!? 超絶忍術チートバトル!!ー  作者: 藤村 樹
狂乱の宴

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道すがら① ー修行の旅ー

 さて、俺と生駒さんたち一向に加えて、同期の早乙女ヒナが加わった。北の端まで続く公道を、皆で歩いていく。


 都市部を抜け、ひらけた砂利道に出た。青空の下、どこまでも続く道をみんなで歩いていくのはなんとも気持ちがいい。だが……。


 アシュナさんの邸宅を出発してから、何者かがずっと尾行している気配を感じる。今まで感じたことのない、俺が知らない人の気配だ。


「生駒さん、後ろ。アシュナさんのお屋敷を出てから、ずっと……」

「ハァ……」


 俺が生駒さんに訊ねると、生駒さんはこれ見よがしに大ぉ~きなため息をついた。どうやら生駒さんたちも、ずっと気がついていながら無視していたようだ。

 生駒さんは後ろを振りかえると、尾行者に向かって声をかけた。


「オイ、小太郎! そんなヘタな尾行で俺たちが気づかないとでも思っているのか。いい加減、勝手に付いてくるのはやめろ!」

「ギクッ!!」

「いくら付いてこようが、俺たちはお前を弟子にはせんぞ。いい加減あきらめて、地元に帰れ」


 物陰から出てきたのは、ドングリまなこでツンツン頭の、可愛らしい少年。

 年は十にも満たぬほどだろうか。しかし、腰に差しているのは立派な真剣だ。


 ……彼の名前は、弥勒院(みろくいん)小太郎(こたろう)。名門の武家貴族の子。

 かつて人攫いに捕まったところを助けてもらって以来、海燕一派の熱烈なファンとなり、しつこく弟子入りをせがんでいるらしい。


 ちなみに、彼の尾行術はバレバレであった。

 気配の隠しかたがまるでなっておらず、アシュナさんの変装術に匹敵するくらいにひどいものであった。


「なんでだよ、生駒さん! ボクも生駒さんや海燕さんに剣を教わって、強くなりたいんだ! 早くボクを弟子にしてくれよ!!」

「ダメだ、これから行くのは危険な任務なんだ。それに小太郎、お前はまだ未熟すぎる。基本の構えくらいできるようになってから出直してこい」

「ブー! ブー! ×※○★$◆!!(聞くに堪えない汚い言葉)」


 う~ん。なんだ、このきかないガキは。生駒さんが困ってるじゃないか。

 名家の子供らしいが、知らなかったふりしてシバいてあげちゃおうかな。


 そんな老婆心から、俺が拳をゴキゴキ鳴らしながら前に出ようとしたところ、海燕さんに優しく制された。

 自分の子を慈しむ父親のような、優しい笑顔。


「フフ。よいではないか、生駒。戦いを見るだけでも勉強になるであろう。危なくなったら、避難すればよいでゴザル」

「しかし、お師匠さま……!」

「これだけ幼きころから強くなろうと家を飛びだすとは、頼もしい限りでゴザル。それに、このヤンチャっぷりと無鉄砲さ、小さいころのオヌシとそっくりではゴザランか?」

「うぐっ! そうでしたっけ……?」


 海燕さんの隣では、ツグミさんが腕を組みながらウンウンとうなずいていた。どうやらこの3人は、かなり昔からの付き合いであるようだ。

 海燕さんも、仇討ちに人生の多くを費やすことになってしまったけれど、本当はとても心優しい人なんだろうな。


「生駒よ、オヌシにとっても、弟子をもつのは学びがあるはずでゴザル。これも、よい機会かもしれぬでゴザルぞ」

「お師匠さまが、そこまで言うのでしたら……」

「弟子にしてくれるの? やったー!!」

「この旅に同行するのを許可しただけだ。本弟子にするのは、帰ってからいくつもの課題を合格してから……」

「わーい、わーい! 強くなるぞー!! ブン! ブン!」


 小太郎は生駒さんの話なんか聞いちゃおらず、喜び勇んで剣を振りまわしている。

 子供が興奮して剣を振りまわしてるもんだから、そちこちにぶつかりそうで危ないったらありゃしない。


 だが、生駒さんはそんな小太郎をほほえみながら見守っている。

 なんでも生駒さんが弟子を取ることは今回が初めて許可されたそうで、なんやかんやでうれしそうである。


 さて、こうして旅のメンバーが完成し、俺たちは再び北へと向けて歩きだした。

 季節は秋が終わりかけて冬にさしかかろうとしていたころだったからか、北に進むにつれてびっくりするほど寒くなっていく。


 ひと山越えれば雪がぱらつきはじめ、もうひと山越えたら雪が降りつもっていた。

 一面美しき銀世界で、旅をしてる感があって非常によい。すっげぇ寒いけどね。


 当然、道中で遭遇するのも氷雪系の魔物も多くなってくる。

 雪男(イエティ)氷蜥蜴(アイスリザード)青粘性生物(ブルースライム)など。いずれも冷気を操る強魔物だ。


 また、たまたまではあるが、名のある固有(ユニーク)魔物とも遭遇した。

 山深い雪道を歩いているとき、洞窟の脇を通ったのだ。近くには洞窟の入り口を封印していたと思われるお社があったが、粉々に壊されていた。

 その壊されたお社のそばを通ったときのことであった。


 突然、恐ろしい鬼のような風貌の、巨大な氷の魔人が立ちはだかった!!

 氷の魔人はその厳つい風貌からは想像できないような、キンキンの甲高い声でわめき散らした。

 

『グワッハッハ!! 我は『氷天(ひょうてん)魔王』!! 我が百年の眠りから覚めたところで出くわすとは、運がなかったな! すべての人間どもを氷漬けにしてくれる、手始めにお前らからだッ!!!』


 BAGOOOOOOOOOOOOOOOOOON !!!!!!


『ああああああああああああああああああああああああああああああンンンンンッああああ゛っ!!!』


 ワンパンチで、K.O.

 決して弱い敵ではなかったのだが、出会った相手が悪かった。


 敵はBランク上位~Aランク下位くらいの強さはあったのだろうが、こちらは生駒さんとツグミさんを揃え、背後には海燕さんまで控えているのだ。

 俺もこれまでの修行と実戦で着実に強くなっていたし、負ける気がしない。

 俺と生駒さん、ツグミさんの同時攻撃で敵は跡形もなく吹っ飛んでしまった。


 さて、敵は固有武器『氷天(ひょうてん)魔鉾(まほこ)』をドロップしたので、こっそり拾って『宵食みの翼』に合成しておく。


『氷結ブースト・改』、『氷結耐性』、『氷剣』ゲット!!


「ひづき、獲得したスキルについて教えてくれ!」

『まったく、仕方ないわね……』


 獲得したスキルに関しては、『魂珀の腕輪』を通してひづきに聞けば、教えてもらえるのだ。 


 さて、それではさっそくゲットしたスキルをひとつひとつ見てみよう。


『氷結ブースト・改』……すべての氷属性攻撃の威力が5倍になる。

 うん、ストレートに良スキルである。ありがたく使わせていただこう。


『氷結耐性』……氷属性から受けるダメージが半減。これだけでも素晴らしいのだが、もっと嬉しいのは状態異常『氷結』の確率低下。

 状態異常『氷結』におちいるとしばらく身動きが取れなくなってしまうので、これはとてもありがたいスキルであった。


『氷剣』……物理攻撃に氷属性を付与。

 忍術でも物理攻撃に氷属性を付与することはできるが、『導』を消費する。一方、こちらはスキルを発動するだけで効果を得られるので、かなり省エネだ。

 忍術のように、『導』をつぎ込むほど威力が際限なくあがるということはない。

 だが、『氷結ブースト・改』と組み合わせることで、常に攻撃力が5倍となる。かなり凶悪なスキルの組み合わせであると言えるだろう。

 敵が『氷結無効』あるいは『氷結吸収』のスキルをもっている場合には、逆効果になってしまう点には注意が必要だけどね。


 さすが『氷天魔王』。アッサリ葬られてしまったが、持っていたのはかなりの良スキルであった。

 ……それにしても俺、『河繆氷』を倒したときといい、氷属性のスキルばっかり持ってるな。

 物語の進行の都合上仕方ないとは言え、このまま氷属性のキャラになっちゃったりして。ハハハハ……。


 こんなに簡単に強くなってしまって、なんだかホントに申し訳ないくらいである。

 別に悪いことしてるわけではないんだけどね。


 一方、アシュナさんから依頼があって、海燕さんたちに指導してもらっている剣の修行に関してはどうかというと……。

 これが、ダメ……! マジでダメダメ、てんでダメ。


 俺がダメというより、海燕さんたちが強すぎるのだ。

 単純な剣の勝負だと、海燕さんどころか生駒さんにさえ、刃先を掠めることすらできやしない。

 俺はあくまで忍なので、刀の使いかたが得意なわけではないのだが、それにしたってこんなに力の差があるものなのかと思ってしまう。


 ちなみに一緒に生駒さんに挑みかかった小太郎もコテンパンにやられており、頭から雪に突っ込んで、雪面からケツだけ外に出ている状態だ。

 ヒナは俺たちの盛大なやられっぷりを見て、オロオロとうろたえるばかり。


 そんな俺たちを見かねて、海燕さんは『武藤開心流』の極意について教えてくれた。


「我が『開心流』はその名のとおり、心を『開く』ことに極意があるでゴザル。まずひとつ、心を開き、剣を肉体の(かせ)からはずすこと。剣を心のおもむくままに動かすでゴザル」

「うぁっ!?」


 老獪な外見からは想像もつかないような、軽やかな剣。それは広い野原を駆けまわる子供のように自由な太刀筋だ。

 それでいて、獲物を狙う蛇のように変幻自在で、鋭い一撃でもあった。


 余計な力や気負いがないから、関節の可動域がヤバいことになっていることが分かる。

 俺は構えていた剣をかいくぐられ、あっさりと竹刀で打ち据えられてしまった。


「そして、もうひとつ。心を『開』いたその先にあるのは、そなたの真の願い。心・技・体が揃い、想いを剣に乗せれば、その一撃は巨岩より重たいものとなる」

「ぐあああああっ!!」


 一転、気迫のこもった、とてつもなく重厚な一撃!!


 上段から振りおろされた一撃を受けとめたのだが、とてもじゃないが耐えきれず、そのまま地面に叩きつけられてしまった。

 まさしく、海燕さんの人生そのものがつぎ込まれたかのような重たさであった。


 雪のなかに深く(うず)もれてしまい、雪面からケツだけ出ている状態になってしまった。

 脱出しようともがいている俺を見おろしながら、海燕さんは語りかけてくれた。


「鳴瀬殿、剣の道は我ら侍の領分でゴザル。剣の技術を高めることは容易なことではゴザラン。しかし、その極意を学ことができたなら……。そなたは、忍の道を極めることができるかもしれぬでゴザル」


 忍の道、か……。

 たしかに、剣は俺たち忍の専門ではないかもしれないけど、海燕さんから学べることはたくさんありそうだな。

 でも、俺、雪のなかに埋もれてるからちょっと助けてほしいんだけどな。竹刀がひっかかってうまく出られないんだが……。


「夜鷹くん。お師匠さまは間違いなく、国内最強の侍だ。この旅のあいだだけとは言え、お師匠さまの指導を受けられる君はとても幸運だよ」


 生駒さん。ホント、ありがたい話ですよ。アシュナさんといい、海燕さんといい、国内最強の忍や侍から指導を受けられる俺は本当に運がいい。

 それはよく分かったんだけど、雪から出るの手伝って……。


 剣の修行はまだまだ道のりが長そうだが、俺は修行を積みながら、旅を続けたのであった!




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