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エンシャント・クルーレ① ー『鳥』の章。異世界上司は美くびれ・美乳・美尻の最強くのいち!? 超絶忍術チートバトル!!ー  作者: 藤村 樹
『不壊城』防衛戦

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塒国(とやのくに)

 迎えの馬車がやってきて、俺はアシュナさんとともにこの国の『都』に向かうこととなった。


 急作りの『巨像』防衛部隊もいったん解散となり、ここで加茂吉と天音ともお別れとなった。

 アカデミー同期のよしみで今回はチームを組んでいたのだが、それぞれが配属されていた地方の部隊に戻ることとなったのだ。

 俺も、惜しみながらも加茂吉と天音に別れを告げた。


「うおおおおおおぉっ!! 泣くな、最高の親友よっ! 遠く離れても俺たちの絆は、不滅だあああああぁっ!!!」


 ……いつから俺たちは最高の親友になったんだ?

 せっかく俺もウルッときてたのだが、加茂吉があんまり派手に泣きわめくもんだから全部引っこんでしまった。苦笑いしか出てこない。


 なんでも、任務で各地の部隊が合流し、共同で行動することはぜんぜん珍しいことではないらしい。

 これだけ騒がしいヤツだ、お互い生きてさえいれば、またどこかで会えるだろう。そんな気がする。


 天音との別れ際、俺が握手をしようと手を差しのべた。すると彼女は頬を赤らめながら、両手でギュッと俺の手をにぎりしめてきた。


「今回の夜鷹くん、なんだかとってもカッコよかった……。またぜったいに、どこかで会おうね!」


 ……あれ? この感じ……。

 もしかしてこのコ……。

 俺に、惚れてるんじゃ……?


「じゃあね、夜鷹くん! また会うって、約束だよー!!」


 胸がドキドキして、頬がカーッと熱くなって、何も考えられない。

 手を振りながら颯爽と走りさっていく彼女の背中を、俺はただ呆然と見つめていたのであった。


 

『不壊城』はだいぶ『都』から離れた地域にあったらしく、結局、丸一日馬車に揺られて運ばれていくことになった。

 ガタゴトと揺れる馬車のなかで。俺は(ほろ)馬車の帆布(ほぬの)の隙間から、この国の風景を眺めていたのであった。


 遠くに見える雄大な山々、どこまでも青く広がる草原、清らかに流れる川……。

 上を見あげれば、大小さまざまな鳥が自由に空を渡っている。この美しい光景に、いつまでも見ていて飽きることはなかった。


 アシュナさんと慶兆さんは賓客(ひんきゃく)用の高級そうな馬車に乗っているが、俺は『都』に戻るほかの忍や侍たちが同乗する馬車に乗っていた。

 みんな戦いで疲れていて口数は少なかったが、彼らとも話をいくらか話をしてみた。


 こっちが記憶をなくしていたので、他愛のない話しかできなかったが、今回の召集はやはりあまりにも突然の出来事であったこと、行ってみたら想像以上の激戦であったこと、無事に家族のもとに帰れてうれしいとのことなど……。

 お互いに労をねぎらい、任務を果たした喜びを分かちあった。

 

 途中でうたた寝をしながら馬車に揺らされ、最終的に『都』に着いたのは、次の日の夜明け前だった。馬車を降りてアシュナさんと合流し、いっしょに彼女の家へと向かう。

 途中、『都』を一望にできる高台を通るところで、ちょうど夜が明けた。朝陽が射しこむのとともに、闇夜に沈んでいた街の光景が明らかとなる。

 俺を連れて先を歩いていたアシュナさんが振りかえり、街を手で指ししめした。


「そう言えばお前、記憶を失ってたんだっけなぁ。この国は『塒国(とやのくに)』。そして、この都は翼を持つ者たちの帰る場所、『あめつちのみくら』だ」


 ……ひとつひとつの建物は、江戸時代のような昔の日本の木造家屋に似ている。

 しかし、盆地の中心から渦を巻くように建物が配置されており、都市全体がまるで巨大な鳥の巣のように見える。


 都市の中心には大きな風車が立っており、ガラガラと回りつづけている。

 どうやら風車自体から風が吹きだし、渦状の都市全体を風がグルグルとめぐっているようなのだ。


 アシュナさんによると、あの風車の風もこの都市が守護している『巨像』の力を利用して生みだされているそうだ。

 この都市の住民は鳥を使って手紙を郵送したり、荷物を運搬したりしている。

 それらの鳥たちは、この風車から生みだされている風に乗って都市の上空を飛びかうのだそうだ。今はまだ夜が明けたばかりだが、鳥たちはすでに(さえず)りながら空を行き交っている。


 ……元の世界では考えられないような都市の設計、システムだ。都市全体が風の流れを考慮されて構築されているなんて。

 でも、それでこそ異世界。そのような現実との違いを、楽しんでいる自分がいた。

 


 さらにしばらく歩いて、いよいよアシュナさんの邸宅へとたどり着いた、の、だ、が……!


「よーこそ、あたしんチへ♪」

「なっ……あっ……!!」


 でっっっっっっっっか!!!


 開いた口が塞がらない。家というより城? とにかくデカイし、豪華すぎる。

 忍がこんな目立つ家に住んでいいのか? 大阪城より立派なんじゃないだろうか。


 アシュナさんの自宅は、盆地のなかでも比較的高地のほうにあった。身分の高い人ほど、高い位置に住宅を建てられる傾向はあるとのこと。

『八百万』は階級ではなく、称号に近い。だが、その名は国が最高戦力として認め、重用することを世に示すもの。

 指令権はなくとも、全ての忍からの憧れと尊敬を集め、最大級の名誉をもって国民から迎えいれられるのである。


『八百万』として認定された者には、それにふさわしいだけの褒賞、すなわち土地と財宝が惜しみなく与えられる。

 その得られる待遇こそが、すべての忍の実力を磨く原動力(モチベーション)となるのだから。


 ましてその『八百万』の頂点であるアシュナさんともなれば、ご自宅がショボいわけがないのである。

 言うなれば、メジャーリーガーのショー○イ・オー○ニみたいなものなのだ!

 

「「お帰りなさいませ、アシュナさま!!」」

「ホイ、ど~も~♪」


 邸宅のなかに踏み入れると、外見に負けぬ豪華な内装。カコン♪と涼しい音が聞こえたと思ったら建物のなかに庭園があって鹿威(ししおど)しがあるんですけど!?

 そして高級旅館のような広い玄関には、これまた高級旅館のような使用人たちがズラリと並んで俺たち(というよりアシュナさん)を待ち構えていた。

 使用人たちはアシュナさんと俺のあとに付いてきながら、さまざまなものを手渡していく。


「アシュナさま、お着替えはこちらです!」

「お手拭きです!」

「ご入浴の準備もできております!!」

「ホイ、どーも♪ ホイ、どーも♪」

「あっ、俺までスミマセン……」


 ついでに俺もさまざまな物を手渡され、両手がいっぱいになってしまう!

 しかし、ある程度歩いたところで廊下はくつろいだ雰囲気の暖色の照明に変わった。使用人たちもそこで立ちどまり、再び横に整列した。


「「アシュナさま、お疲れさまでした!!」」

「何か用事がありましたら、なんなりとお申し付けくださいませ」

「ホイ! ど~も~♪」


 最後に旅館の女将風の女性が三つ指ついて頭をさげると、ほかの使用人たちもそれにならった。どうやらここから先は付いてくるつもりはないようだ。


「ここから先はあたしの私用区画だ。使用人たちは呼ばなきゃ入ってこない。お前もほっとするだろ?」

「あれだけたくさんの使用人さんがいて、スゴいっすね……。なんか俺まで良くしてもらって悪い気がしますよ……」

「彼らにはあたしの家の使用人にふさわしいだけの給与を与えているから、悪く感じる必要はない。遠慮なく使ってやってあげろ」


 いや、俺がお金支払ってるわけじゃないですし……。そんなこと聞いたらますますお願いしづらいんすけど……。

 そんなことを考えながらもアシュナさんに付いていき、とうとう彼女の自室にたどり着いた。


「さ、ここが私の部屋だ。くつろいでいーぞ♪」


 ……彼女の私室が豪勢なことには今さら驚かない。部屋のなかの調度品など、殿さまや大名さまの部屋はこんな感じなんじゃないかと思う。

 家財には金箔や銀箔がふんだんに使われながらも、しっかりと落ち着いた上品さとのバランスが絶妙に保たれていて、ただただ居心地がよい。

 おまけに、室内には香も焚かれていてとてもよい匂いがする。おそらく、使用人たちが折を見て、部屋の手入れをしているのだろう。


「あたしもどこに何があるんだかよー分からんが、そのへんに小部屋があるだろ。自分の部屋にして、好きに使っていいぞ」

「はぁ……」


 なんかテキトーだな、この人も。まぁ、こんだけ家が広ければ細かいことも気にならないのだろう。

 そう言えば、普通にアシュナさんの自室に入ってきちゃったけどいいのかな? まぁ、彼女もあんまり気にしてなさそうだから、いっか。


 ……にしても、ホントに美人だなこの人。ファスマ=エルローズのことを『イケメン』と呼んで小馬鹿にしてたけど、アシュナさんもまったく引けを取らぬほどの麗人だと思う。

 髪は紫がかった黒髪だが、瞳は橄欖石(ペリドット)のような透きとおったグリーンイエローをしている。それに、整いすぎた目鼻立ち。

 天音や綾乃も非常に可愛らしくて魅力的な女子たちだが、『美貌』という観点から言えばちょっとこの人には敵わないかもしれない。


 元いた世界では風太とともに沙耶の部屋に遊びに行ったことは何度もあるけど、ほかの女子の部屋でふたりきりになったことなんて、あるわけがない。

 まずい、なんだかドキドキしてきたぞ……。


「さて、と」


 そう言って、アシュナさんがおもむろに忍装束の上に着ていた羽織を脱ぎはじめると……。

 俺は驚愕のあまり、目玉をひん剥いた!!!


「ちょちょちょっ!! 何してんスか、アシュナさんっ!!!」

「んん~?」


 彼女はそのまま忍装束も脱ぎはじめ、一糸まとわぬ姿となってしまった!!


「いいだろ、あたしの部屋なんだから。あたしは自分の部屋ではいつもこうだぞ?」

「ダメに決まってんじゃないスか!! 俺がいるんですよっ!?」

 

 この人はなんと、裸族だったのだ!!

 彼女が気にしないのだからそのまましれっと眺めていればよいものの、それは高校二年生の俺にはあまりにも刺激が強すぎた。

 なにせ相手は年上で雲の上の存在とは言え、絶世の美女なのだから!!


「いいから、なんか着てください!!」

「チェッ、なんなんだよ~。自分の部屋なのに~。これじゃくつろげやしねぇ!」


 アシュナさんは舌打ちし、ブー垂れながらも着替えに準備された浴衣を羽織ってくれた。

 対して俺はというと、顔が火照ってうつむいてしまった。だって、どんな顔をしてたらいいのか分からない。

 しかし、俺の様子がヘンなのにアシュナさんは目ざとく気付き、顔を覗きこんできた。例のごとくニタニタと、悪魔のような笑みを浮かべている。


「んん? ……ははぁ、なるほど。お前、ガキのくせして生意気にもあたしに欲情してんのか。それならあの反応もナットクだ」

「ええ!? ちっ、ちっ、違いますよ!!!」

「ガキだと思ってたが、まさかそんな目であたしを見てたとはな。どれ、お前のアソコもどうなってるか見せてみろ。あたしの裸を見せてやったんだから、いいだろ」

「なんでそうなるんですか!!」


 ほ、本当になんでそうなるんだ!

 マズイ、先ほど衝撃的なものを見せられた今の状態は、とてもじゃないが見せるわけには……!!

 

 あろうことか、アシュナさんが俺のズボンを強引におろそうと襲いかかってきた!

 俺は必死に抵抗したが、パワー、スピード、技術、すべてにおいて超越している彼女に、俺が敵うわけがなかった。


「フフン、抵抗しても無駄だよ。あたしに勝てるとでも思ったのかい?♪」

「やめてー!!!」


 必死の抵抗むなしく。ズボンはなすすべなく脱がされ、俺の股間は露わになってしまった!!


「キャー!! キャー!!」

「……ッ……!」

「キャー!! ……え?」


 見られてしまった。

 しかも、ガチガチの戦闘形態に入ってしまっていた(せがれ)を。こんな姿を見られて、もうお婿(むこ)になんていけない。

 だが、しかし……。


 悪ノリしまくっていたアシュナさんだが、ハッと息を飲んだあと、神妙な面持ちをして俺のズボンをあげてくれた。


「……お前、顔つきはガキだけどアソコは大明神なんだな。次からこのような行為は慎むことにする。悪かったよ」


 そう言うと、アシュナさんは手を合わせて深々と頭をさげた。俺の股間を拝んでいるのだ。


「なっ、なっ、なっ……」


 いったい、なんなんだよォーーーッ!!!


 俺は心のなかで、声を限りに叫んだのであった。




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