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後世から見たクォーツ民意国

五分くらい間違ってジジババ勇者の方に投稿しちゃったああああ!

すいませんでしたあああ!

突然サファイア王国を打倒し、民意こそが至高であると宣言したクォーツ民意国の誕生は世界に衝撃を齎した。


 当時、王政こそが世界そのものと言っていい中、民意を宣言したのは歴史的に見ると意義のあるものだが、王や貴族達が受け入れられるはずもない。

 国家転覆を恐れた各国は、可能ならば排除するべしという意見で纏まっていた。可能ならば、である。


 クォーツ民意国の隣国は、内乱を終えた直後のサンストーン王国と、水攻めによって軍が壊滅したルビー王国、エメラルド王国の三国で、どちらも即座に軍を派遣できる余裕がなかった。


 その中でもサンストーン王国はかなり早期に想定を行っていたようで、クォーツ民意国に関する情報が数多く残っており、クォーツ民意国の制圧は財政破綻を招くと結論されていた。

 結果、国防方針は明確で、必ず暴走を起こして攻めかかって来る敵を皆殺しにするというものだった。


 更に周辺各国のみならず王政と複雑に絡んでいる数多の宗教勢力も、既得権益を脅かしかねないクォーツ民意国を警戒していたらしく、新国家に対する意見交換が活発に行われていたようだ。

 尤も最大勢力の一つであるエレノア教は、クォーツ民意国を静観していたが、後に誕生する神王国に対しては明確に敵対している。


 さて、クォーツ民意国の成立だが情報が不正確である。


 成立当初はそれなりの資料があった筈だが、この後に巻き起こる超長期間の混乱で失われ、国外から見たものに頼るしかない。そのため指導者たちの名前も不確かで、誰がどのように率いていたかも詳しくは分かっていない。


 しかし、行動ははっきりと記されている。


 常識的に考えるならば、成立したばかりの国家を統制するために内に目を向けるべきだ。それなのにクォーツ民意国は即座に周辺各国に襲い掛かっており、明らかな暴走状態に陥っていた。


 一部の民意を擁護する者達はこの行動を、独裁者が権力を握り他国に攻め入った。民意は野蛮な行動を忌避していたのに従わされたと主張するが、筆者はこれを無理筋だと断言するしかない。


 王政を打破したばかりの民衆が、独裁者の命令で意にそぐわぬ軍事行動を起こすだろうか?

 否である。

 不満があって立ち上がり、そして成功体験を得た者達ばかりなのだから、受け入れられない行動を強いられたら、また政権を打倒するはずだ。


 つまり民意国は民意として他国への侵略を支持し、そして返り討ちにあってから責任を他者に求めることになる。


 ◆


 

 ★スーパー無茶苦茶国家、クォーツ民意国★

 関わる者達に頭痛と覚悟を齎す呪物。


 時代、国家背景、歴史。それらを無視して民意を優先すると碌なことにならない見本。


 まあ、サファイア王国がやらかしてるため、なにもかも悪い訳ではない。


 サンストーン王国に奇襲戦争を仕掛けました→負けちゃって戦死者多数、事実上の王位継承者も死んじゃった。


 その隙を突かれてルビー王国とアメジスト王国が攻めてきました→周辺を巻き込んだ水攻めしちゃったけど許してね。あ、経済もボロボロだよ。


 これで切れない方が無理。

 立ち上がった民衆によって民を虐げる王政は打破され、民意が国家を守る盾と剣になる。


 という話で終わればよかった。


 資料が極端に少ないのだが、クォーツ民意国成立時は青空の会、もしくは青空の市民の会。などと呼ばれていた合議制の政治体制が敷かれていたようだ。


 しかしながら貴族を皆殺しにしたということは、政治に携わっていた者達が皆無になったことも意味している。

 そのため基本的には、医者、商人、学者などのインテリ層が指導者になったと思われているが、彼らは貴族達に、こうすればいいのに。ああすればいいのにと思っていただけの素人だ。とてもではないがまともな運営が出来るとは考えられない。


 そして民意が暴走すると確信している隣国が、当時の推測を残してくれていた。


 利権に群がって指導者層になるのはいいけど、民意は成果を出さなかったら人を殺した実績持ちじゃん。民衆は来年どころか今日成果を出せとせっついてくるけど、あいつらそれに耐えられないだろ。絶対うちに攻めてくるわ(超意訳)。


 ジェイク・サンストーン国王陛下が日記に残した心の声である。


 この当時、影も形もなかったのに突然現れた民意を主体とする国家は、王政を転覆させる危険な思考として認知されていただけだ。

 しかしジェイク・サンストーンが評される理由の一つに、いきなりの概念で運営されている国家の欠点を冷静に分析し、その上で危険だと判断していた点がある。


 ひょっとするとジェイクは、この時代の誰よりも民意について理解し、その上で今現在は運用できないと判断していたのかもしれない。


 そんで案の定、もしくは危惧通りにクォーツ民意国は、アメジスト王国に攻め入った。その数なんと10万以上。


 尤も数が盛られていたかもしれないが、それでも2,3万が激突すれば決戦だった時代に、10万近い兵が動くのは異様という他ない。


 ついでに言うとサンストーン王国にも4万ちょいの軍勢を派遣した。


 問い ……なんで?


 答え 知らね。


 ま、まあ、ルビー王国は水攻めで一軍が消滅し、サンストーン王国は内乱が終結したばかりで、隙があると思ったのだろう。


 それはそうとして、なぜ二正面作戦したか?

 だから知らねえよ!


 多分、なんとかなるだろうと思ったんじゃないかなー。多分ねー。多分……。


 この後も、世界のどこかで新たな思想や政治体制が生まれる度に、それを【輸出】しようと画策するので、これはクォーツ民意国の専売特許ではないが、流石にこれは酷すぎる。


 勝てるだろうという楽観で突き進んだ民意は、兵ではなく民が隣国に流れ込み混沌の世界を生むと……。


 片方は痛み分け。片方は木っ端微塵に粉砕された。


 はあ、本当にこの時代の考察は嫌だ……頭がおかしくなる……(心の声)

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
>なんで? A.奪い続けなければ飢え死にする蝗の群れだったから …だからってやって良いことと悪いことがあるんだよなァ!
この部分だけ二人とも意見一致してるの笑ってしまった なんでやろなぁ・・・・・・・・・・・・・・
なんで?なんで?知らねーよ! 大変そうだなあ
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