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冒険に夢を求めている者へ
初めに書いておくが、これは指南書ではない。
君達がこの道を諦める様に一筆一筆旅の間に書き記している。
君達は大空の下を駆け回る炎や、森林の中から愛らしく姿を表す水滴の群れを見た事があるか。いや、無いだろうな。
だが、見なくて良いあんなもの。
夕食を何回も横取りされ、我が熟睡しているというのに頭を割く様な鳴き声を上げる。
もうあの子らに、心を開かないと深く決めている。
そもそもの話だが、不可思議で不明な現象を見たり、もしくは操ったりする事ができる人達のことは良く知っているだろう。
天命士
きっとこれを読んでいる君達は期待に胸を膨らませているだろうから先に忠告しておくが、
安易にその道を歩まない事だ。
その薄っぺらな脳でお気楽気分にその地に踏み入れば、途端に自身の足や腕が捥げる事になる。
それでも、我達が生けるこの地に来たいのなら歓迎する。
しかし、我を探さない事だ。
もう既にその生はないかもしれん。
蝙蝠の白昼夢 著:アルダナ・ヴェリタ