シーピーズ艦隊
研究船『パーズA』は南極大陸上陸を目指して、ニュージーランドを通り過ぎ、南極大陸目前の南極海航海していた。
その時、『シーピーズ』の艦隊が研究船『パーズA』を出迎えた。
2隻の空母と、10隻の大型戦艦だ。
研究船パーズAの操舵室では。
「沖田船長! 何やら前方に船らしき影が多数見えます!」
操舵手の森脇が声をあげた。
彼は新任の研究船パーズAの操舵手である。
彼は、研究船パーズAの前方に、艦隊を見つけたのだ。船の数が多いため、目立っていた。そのため、見つけやすかったのだ。
「そうか……。五代、レーダーはどうなっている?」
沖田一二三船長が、落ち着いた声で言う。
沖田船長は、南極に着く前に研究船パーズAが何かに遭遇することを予測していた。
もはや驚くことではない。
「すごいですね……。大きいのは空母でしょうかね。空母が2隻と、大型の戦艦が……、10隻ですね。沖田船長、どうしましょう?」
研究船パーズAの航海士の五代がレーダーに艦隊を発見した。
航海士の五代もまた研究船パーズAの新任の航海士である。
「この船は研究船だ。武器は積んでいない。我々には何もできん……。しかしだ、この船には、女神が乗っているんだ。なんとかなる……。とりあえず、非常サイレンで、乗客に状況を周知だ」
沖田船長は、冷静な声で五代航海士に言う。
「はい!」
五代航海士が、非常サイレン用の赤いボタンを押した。
ウウゥゥゥゥー!!!
サイレンの音が、パーズ船内に響きわたる。
「非常事態です。国籍不明の艦隊と接触します。各自部屋に戻り、部屋に待機してください。念のため、衝撃に備えてください!」
五代航海士は、マイクで、アナウンスを読み上げる。
初めての非常事態周知用のアナウンスだが、落ち着いた声であった。
大城戸ファミリーの居住部屋では。
「やっぱり……か。まぁ、奴らも全力をぶつけてくるだろうな。そう簡単には南極大陸に近づけさせてはくれないよな……。」
博士は、飲んでいたコーヒーのマグカップをコトリとテーブルに置く。
博士たちは、お菓子タイムの途中だったのだ。
「でも、空母とか船がどんだけいたって、敵じゃないよ」
シンシアは、大好物のチョコパイを頬張っている最中だ。
(もう一度、あの爆弾を使われたらどうするんだ?)
アムルが博士とシンシアに脳波を送る。
アムルは、白いせんべいを食べていた。
「さすがに、あの爆弾は何発も撃てないだろう。それに、ここでは打てないはずだよ。自分たちの本拠地が近くにあるからね」
博士は答える。
北極海の時には、周りに何もなかった。
しかし、南極には『シーピーズ』の本拠地がある。
『シーピーズ』が水素爆弾をもう一度使う可能性はゼロに近い。しかし、ゼロでもない……。
「じゃあ、この間の恨みも込めて、やってやろう。なぁ、アムル。本気でいこっか!」
シンシアは、そう言って、チョコパイを食べるペースを上げる。
艦隊を迎え撃つ前に、チョコパイを急いで食べてしまおうとしたのだ。
(なぁ、兄者! 戦いの前に、なぁ。なぁ。一口だけ、なぁ?)
アムルは、ここぞとばかりにシンシアにチョコパイをねだる。
「……ったく。そうがないなぁ。はい」
シンシアは食べかけのチョコパイを半分に割って、アムルに手渡した。
そして、残りをパクリと、一口で、口に含んだ。
(やったぁ、ありがとう、兄者! 俺、頑張るから!)
アムルは、受け取ったチョコパイに目を輝かせる。
「よし、行くよっ! 急げ、アムル!」
シンシアは、勢いよく椅子から立ち上がる。
(わかったよ、兄者!)
小さい手で、チョコパイを握り、口にぎゅうと押し込む。
「Oh, Amurru. Be careful, not to get stuck in your throat. (あら、そんなことすると、喉に詰まらせちゃうよ)」
レイアは、それを見て、クスリと微笑んだ。
(ウヒョ〜甘〜い。口の中いっぱいにチョコレートだぁ〜)
アムルは満面の笑みを浮かべる。
それと同時に、雷雲を呼ぶために力を入れ始めた。
チョコパイを食べて、元気が出たのだ。
シンシアとアムルがチョコパイを食べている間に、博士はすでに、神具トライデントとケラノウスを準備し終わっている。
「よし、行こうか!」
博士も大きく気合を入れた。




