ウッズホール海洋研究所
ニューヨークから、北東に行ったところにウッズホールがある。
研究船パーズは、ニューヨークを出港し、ウッズホールに来ていた。船だと数時間で到着する距離だ。
ウッズホールはかつて海洋研究所を中心に栄えた小さな町である。
この小さな港町は、5年ほど前に海洋生物が消失する騒動で廃れかけたが、再び活気を取り戻しつつある。
その研究所では、いくつかの生物がすでに人工合成され、その中には海に放たれているものもいた。
博士たちは家族揃って、ウッズホールにある海洋研究所を訪れた。
そこには、港からは、徒歩で5分程度で着く。
「Welcome to our marine biology labolatory. I am David, and introduce our lob. Come on. (ようこそ、海洋研究所へ。デイビッドです。研究所を案内しますよ)」
この研究所の教授の一人であるデイビッド教授は、研究所を訪問した大城戸一家を、迎え入れた。
「Thanks. I am Hiroshi, nice to meet you. (博士です。よろしくお願いします)」
と言いながら、博士たち4人は、建物に入る。
建物の一階には大きな水槽が所狭しと並べられていた。
「おっ、シンシア、見てみろよ、ここにもイカがいるぞ」
「あっ、ほんとだぁ」
この海洋研究所は、もともとはイカの研究で栄えた研究所だった。
今では、多種多様なイカも、人工的に合成され、ゲノム編集で改良もされた。これらは、研究所内の種々の水槽の中に泳いでいる。
「すごいなぁ……。」
博士は、研究所内に並んでいる数々の水槽を見て、驚いた。
カリフォルニアのパトリックの研究所と同様、もしくはそれ以上に素晴らしいものだった。
各々の水槽に、種々の生物が飼育されていた。
「あ、レイア、貝もいるよ」
「Oh, there are seashells. They are so small and so cute. (ほんとだ、貝ね。ちっちゃくて可愛いわねぇ。)」
また、この研究所では、貝の人工合成と、その養殖にも成功していた。
この町では、貝の量産が可能になり、食用の貝が普通に手に入る。そして、この付近の海には数種の貝が生息している。
博士がベニクラゲの人工合成に論文を報告する時には、すでに作っていたようだ。
この研究室は、論文報告よりも、養殖に力を入れているようだった。
「でも、イカと貝がメインなようだな……。Excuse me, David, are they all? (これで、全部ですか?)」
「Yeah, they are all. There are all what we have in the lab. Aren’t you satisfied? (そうだよ、これで全部だよ。もしかして、不満か?)」
デイビッド教授が申し訳なさそうな顔をする。
「Oh sorry, but you do not have the vertebrate, right? (脊椎動物はいないのかなぁ? って思って……。)」
「No, we do not have that. We tried to produce the vertebrate, but it was too hard. (あぁ、あれは、挑戦したけど、無理だ。難しいよ)」
デイビットは首を振った。
この研究室の水槽の中には、脊椎を持つ硬骨魚類はいなかった。
やはり、脊椎を作るのには大きな壁があるのだ。
この研究室では、イカと貝だけだ。
「We have made the vertebrate, a kind of fishes. So, if you need I can share them to you.(私たちは、魚類を作り出したんですよ。もし良かったら数匹譲りましょうか?)」
「Really? It sounds great! I am so happy if you share the vertebrates. As you know it is super difficult to produce from zero, but it is easy to add change. So, we can progress the other project too. (本当か? 譲ってもらえるならありがたい。生み出すのは難しいけど、改良を加えるのは比較的簡単だからぁ。すぐにでも新しい研究を始められるよ。ありがとう)
「That is right, I will come to here again with the fishes later. (ですよね。またすぐにここに持って来ますよ)」
「Thank you so much! (どうもありがとう)」
デイビット教授は博士とガッチリと握手を交わした。
「So, as you came this lab and this town, you should eat the ‘clam chowder’. That became what that had been before. (せっかくここに来たんだ。『あれ』を食べていくといいよ。以前と同様の味になるまでになっているよ)」
デイビットは、博士と握手をしながら、レストランの情報を教えてくれた。
そして、オススメの料理を教えてくれた。
クラムチャウダーだ。
海洋生物が消失する以前は、この町を含めこの地域の名物だった。この研究所にいる研究者たちの努力により、貝が作り出され、その貝を使用し、めでたく復活したのだ。
博士たちは、デイビッド教授オススメのレストランでクラムチャウダーとサンドイッチを注文していた。
大きなコップのような器になみなみに注がれたクリーム色のチャウダーである。
まだ湯気がたっており、熱々のチャウダーだ。
「おぉ、すごく美味しいなぁこれは。デイビッド教授が勧めてくれただけのことはあるな」
博士は、一口目を口に入れるなり、ウンウンと頷く。
「うん、おいしい!」
「Awesome! (美味しい!)」
シンシアとレイアも、博士に続き、声を出す。
大城戸一家は、出されたクラムチャウダーに舌鼓を打つ。
実に5年ぶりに口にした海産物である。
「Hi, Amurru. It’s yummy. (アムルちゃんもどうぞ〜、おいちぃでちゅよ〜)」
レイアは、具をすくわないように気をつけ、スープの部分だけを、アムルの口元に持ってゆく。
アムルは首を前に出し、スプーンに食らいついた。
(実に美味しいではないかぁ〜! 素晴らしい!)
アムルは目を見開き、手をバタバタさせて、喜んだ。
研究船パーズは、数日の間、ウッズホールに停泊する予定である。
早速、博士たちは、ウッズホールの海産物を満喫していた。




