ジム通い
この話は短いので、変則的に投稿します。
日本に帰って来てから、博士はジムに通っている。
毎日のように、実験の合間を縫ってジムに通っているのだ。この生活も、もう4ヶ月になる。
父親として、娘と息子を守らないといけないと言う使命感が、博士を駆り立たせていた。
博士は、ベンチプレスを終え、汗を拭きながら、休憩室の椅子に座った。
「相当筋肉がついて来ましたね」
と、博士のインストラクターの中山美希が、博士に話しかける。
「中山さんのおかげですよ」
博士は、息を整えながらも、中山の方に目をやる。
「結果に直結させるのが、弊社のモットーですからね」
そう言って、中山は笑顔を浮かべた。
「それにしても、素敵な筋肉ですね。大城戸先生は、教授なのに、文武両道を目指してらして、すごいですね。尊敬します。私は、筋肉バカなので、勉強はからっきしだめですので、勉強ができる人は尊敬します」
中山は、博士の筋肉を見つめる。
半袖のTシャツの袖から覗く、博士の腕の筋肉は、4ヶ月とは比べものにならない。
一般の平均と比べて細かった腕も、明らかに、鍛えている人のそれに匹敵する太さだ。もちろん、専門の方々には遠く及ばないが。
「子ども達を守らないといけないですからね」
博士は、落ち着いた低い声で、返事をした。
その言葉を、自分にも言い聞かせるように。
「お父さんは偉大ですね」
中山は、笑顔で頷いた。
「ええ、大変ですけど。いいもんですよ」
博士は、頷いた。