表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と海のリザレクション〜海神ポセイドンの幼女転生〜  作者: 幸田遥
第1章 太平洋航海編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/93

大城戸研究室、わきあいあい


 大城戸博士と久保信一は『マボヤ』を解剖していた。



 パトリック教授からもらって来た『マボヤ』から、早速、次世代の個体を作ろうとしていたのだ。

 博士と信一の2人で一緒に、実験室で作業中だ。





「これが久保くんの次のテーマだよ」

 博士は、マボヤにハサミを入れながら言う。

 マボヤの出水口からハサミを入れて、マボヤを器用に捌いている。



 このマボヤは、ポスドクの久保信一の新しいテーマとして使うためにもらって来たのだ。



 ウニの人工合成に関するデータは取り終わった。

 論文はもうすぐ投稿できる。実験の時間を無駄にしないためにも、もう次のテーマを始めるのだ。


 一方で、博士の今のメインテーマになっている『アジム』は論文にできない。

 どうやって作ったかが説明できないためだ。海神ポセイドンが作ったなどと、そんな論文を書いても、すぐに掲載拒否されるはずだ。



 ベニクラゲの論文は査読中であり、次の論文のためにも、もう一つテーマが欲しいと、博士は考えていた。また、エビクラゲも論文にしたいとも考えていたが、エビをもらった研究室との兼ね合いもある。共同研究は意外と面倒だ。もう少し様子見が必要である。何かいいものが欲しい、博士は常に考えていた。





 2人はそれぞれ、マボヤを1匹ずつ捌き、2匹の個体から精子と卵を取り出した。


 一般に、ホヤは雌雄同体である。それぞれの個体が精子と卵の両方をもつ。

 しかし、自家受精はしない。各々の個体から、1マイクロメートルほどの小さな卵が数百個取れた。白い精子も200マイクロリットルほど取れた。



「ほら、これで、明日になったら、孵化して幼生になるはずだよ」

 捌いたマボヤから、ピペットで白い精子を少し取り、卵に媒精した。もちろん、精子と卵が別々の個体由来になるように、だ。

 しばらく放っておけば、次の日には、幼生が生まれるはずだ。



「わかりました。手伝ってもらってありがとうございます」

 信一は博士に対して、軽く頭を下げた。


「いいよ、いいよ。じゃ、頑張ってね」

 博士は言う。



 ちょうどマボヤを捌く作業が終わり、一息ついた時だった。

 実験室の扉が開いた。

 博士と新一は2人揃って、扉の方に顔を向けた。



「Oops, sorry. Are you still busy? (あ、実験中だった?)」


 扉から入って来たのは、レイアだ。


 2人に同時に視線を向けられ、少し驚いた表情を浮かべている。手には、アムルを抱いている。

 その後ろに、シンシアとさーべるちゃんもいた。


「It’ good timing. We’ve just done. (いや。ちょうど終わったところだよ)」

 博士は答えた。




「Hi, Leia. Congratulation! (あ、レイアさん。おめでとうございます)」

 博士の横で、信一はレイアに言った。


「Huhu, thanks. (ありがとう)」

 レイアは、顔に笑みを作る。



「本当に可愛い赤ん坊ですね。にしても、黒髪に青目はめずらしいですね」

 アムルの顔をしげしげと見つめ、信一が言う。


「まぁ、ヨーロッパの方にはたくさんいるらしいよ。それに、遺伝学的にはシンシアの方が珍しいよ。日本人とイギリス人との子どもは、多くの場合、黒髪黒目になると思うんだけどね」

 と、博士は言った。


 黒目が青目に対して、顕性であり、黒髪が金髪に対して、顕性である。博士が潜性の青目の遺伝子と潜性の金髪の遺伝子を持っていたのであろうか。



 レイアは、2人の話を聞きながら、アムルをゆらゆらと揺らしていた。




「Oh, Leia, congratulations! (わー。おめでとうございます、レイアさん)」


 博士と信一の2人が話をしていると、技術補佐員のアーシーがやって来た。

 賑やかな話し声に気がつき、実験を中断して、寄って来たのだ。



「Welcome back, Leia! Oh, it’s so cute. Indeed, it has black hair of professor and blue eyes of you. (レイアさん、おかえりなさい。教授の黒髮とレイアさんの青目を受け継いだ、可愛らしい子ですね)」


「Thanks so much. It’s really cool, and the inside of head should be cool like father. (ありがとう。いいでしょ、頭の中も、この人みたいに聡明よ。はは)」


 アーシーは、実験用手袋を脱ぎ、アムルの手をツンツンとつつく。アムルの手は、ピクピクと弱々しく動いた。





 研究機関パーズは、カリフォルニアサンディエゴの港に停泊中である。

 2週間の停泊期間を終え、明日、パーズは日本に向けて出航予定だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i488219
秋の桜子さまよりいただきました。
好評連載中です!

i493381
砂臥 環さまからいただきました。
リンク先は、『『月』を照らす光〜月と海のリザレクション〜』です。
テーマソングです。
― 新着の感想 ―
[良い点] アムルくん誕生おめでとうございます! なんともスゴイ姉弟の誕生でもありますねー! しかしどんなにスゴくても赤ちゃんはかわいい! 誕生から団欒まで、ほっこりしながら拝読しました。 続きが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ