大城戸レイア
世界中を旅しますので、登場人物によっては英語で会話をします。英語が苦手な方は、すぐ横の日本語を読んでください。基本的に簡単な英語しか使いませんので、興味のある方は英語もお楽しみください。
大城戸レイア(Leia)はイギリス人である。
日本から短期海外留学に来ていた大城戸博士と知り合って、5年前に結婚した。そして、4年前に可愛い娘を授かった。レイアは娘のシンシアと同じ金色の髪と青い目をしている。夫の博士よりも細く、華奢である。しかし、ポコっと少し膨らんだお腹の中では、二人目となる赤ん坊が、すくすくと育っている。
レイアは顕微鏡を覗いていた。
新しくゲノム編集したシロイヌナズナが海水中で育っているかどうかを顕微鏡下で確認していたのだ。
レイアは昔からシロイヌナズナをモデル生物とした研究をやっている。そして、今取り組んでいるのが、シロイヌナズナを海水に適応させる研究だ。
「Hi, Leia. Shall we eat lunch? (レイア、お昼にしようか?)」
レイアの後ろから博士の声が聞こえる。
日本語がまだ上手に話せないレイアのために、博士は彼女に英語で話しかけるのだ。
レイアが振り向くと、博士の姿があった。娘のシンシアをおんぶしている。
「Oh, boy. Is it time to? (あら、もうこんな時間)」
レイアは左手首の腕時計に目をやった。
ウウゥゥゥゥー!!!
サイレンの音が実験室にけたたましく鳴り響いた。レイアが顕微鏡の下に置いてあるペトリディシュに手をかけた時だった。
博士とレイアは目を見開き、お互いに顔を合わせた。そして、二人揃って、キョロキョロと辺りを見回す。
「なんだ?」と博士。
「What’s happen? (何があったんだ?)」とレイア。
シンシアも博士の背中の上で驚いた顔を浮かべている。博士の足元では、さーべるちゃんも目を、パチクリさせていた。
すぐにスピーカーから船内放送が流れた。
「非常事態です。国籍不明の船が、本船に接近しています。各自部屋に戻り、鍵を閉めて部屋に待機してください」
「海賊かなぁ?」
博士は呟く。
このあたりは海賊が出没することで有名な海域である。
もちろん、シンシアは海賊のことを知っている。
以前、海神ポセイドンであった時から知っているのだ。シンシアは、他人から物や命を奪うことが正義ではないと考えている。海賊を心底嫌っていた。しかし、神が人間の世界に手を出すのもどうかと考えていたので、これまで手を出さないでいた。
「へぇ、海賊かぁ。このわたしの目の前に現れるとはねぇ。長年の恨みをぶつけてやる」
海賊に対して、面と向かって灸を据える機会が巡って来たのだ。シンシアは目を輝かせる。もちろん、パーズを守るという目的もある。
シンシアは博士の背中から飛び降り、床にぺたりと着地する。
「さーべるちゃん!行くよ!」
「バウ」とさーべるちゃんは、答える。
すぐさま、さーべるちゃんとシンシアは、実験室の扉に向かう。
「あ、こら、シンシア」
「Hey, Cynthia! (シンシア、待って!)」
博士とレイアは大声をあげる。
二人の声を背に、シンシアとさーべるちゃんは実験室を飛び出した。
次回は、お待ちかねのバトルです。
ぜひ、ブクマをつけて、お待ちください。