初めての依頼と襲撃
ニコルの家に戻った勇は、無事に冒険者になり冒険者ギルドでの事や、自分が思っていた冒険者ギルドと違ったとニコルに報告する。
「フフフ、良かったわね冒険者になれて。でも、冒険者ギルドに行くとき凄い身構えていたから、どうしたのかと驚いていたけど、なるほどね、絡まれたりすると思っていたのね」
ニコルに笑われて恥ずかしくなり顔を赤くさせる勇は、急ぎ言い訳するもニコルは取り合わない。
「フフフ、いいのよそんな言い訳しないで、確かに柄の悪い人もいるし、そういうことがないとは言えないわ。でも、あんなにも身構える程のことじゃないわね」
ニコルにからかわれた勇は、恥ずかしさを誤魔化すために、何か手伝うことはないかと聞き、これ以上からかうのは可哀想だと思ったニコルは勇に手伝いを頼む。
「なら、手伝ってもらおうかしら。フフ」
今だにこやかに笑っているニコルをなるべく見ずに、ニコルに頼まれた手伝いをして時間が過ぎていく。
ーー日が落ち、勇がニコルの作った美味しいご飯を二人で食べているとき、今まで思っていた疑問をニコルに聞いてみる。
「ニコルさんは何で俺にこんなにも良くしてくれるんですか?」
勇は不思に思っていた。確かに色々と良くしてくれて助かっているものの、一緒に住ましてもらい、こんなにも美味しいご飯を食べさせてくれ、どうしてこんなにも良くしてくれるのか、無事に冒険者なれたので、もし追い出されても今ならなんとかやっていけるという考えもあり、聞いてみた。
「……フフ、そうね~不動くんに良くしているのは、勿論親切心だけではないわ、……実はね、襲ってきたドラゴンを消したのは不動くん……君なの」
突然の、ニコルの言葉に勇は驚く。
「俺がドラゴンを消した?」
「そう、君がドラゴンを消したの」
ニコルは頷き、勇の言葉を肯定し、戸惑う勇。
(どういうことだ!? 俺が……ドラゴンを……消した? 意味が分からない。ドラゴンを殺したならまだ分かる、いや、やった覚えはないけど、まだ分かる。だが、ニコルさんは確かに消したと言った、俺にそんなスキルはない筈だ)
「ニコルさん……本当に俺が、ドラゴンを……消したんですか……」
最後に確認の意味を込めて聞くも、ニコルは再び頷きドラゴンを消したと言う。
勇が混乱している中、ニコルの話は続く。
「不動くん、瀕死だったから君は覚えていないかも知れないし、私も意識を失っていたから直接は見てないわ。でも実は私、あるスキルを持っているの、それを使いドラゴンを消した瞬間を見たのよ……そのスキルの効果を、不動くんを信用して話すわ。絶対に他言無用よ」
ニコルの顔から何時もの笑みが消え真面目な顔をして話し出す。
「私はね未来と過去を見ることが出来るのよ」
未来と過去が見えると言う言葉を聞き勇は驚く。
「未来や過去を見ることが出来るスキルを使い、私は確かにこの目で見たわ、不動くんがドラゴンに捕まり食べられそうになっていたとき、不動くんがドラゴンを消した過去を」
ニコルからは、嘘や冗談を言っている感じがなく、勇は話を信じた。
未来や過去を見ることが出来るスキル、その価値は凄まじいであろう。
今言っていたように、過去を見て色んな情報を知ることも出来るし、未来を見ることで、例えば、元の世界では様々な賭け事があるが、競馬等の順位を当てる賭け事で未来を見てどういう順位でゴールするか当てることが出来る。他にも、戦争があった場合、未来を見て相手の戦術を知ること等がで出来てしまい、悪用や有用性はし他にいくらでもある。
「不動くんなら、このスキルの危険性を分かってもらえるわよね」
「……はい……」
「だから不動くん、この事は、絶対に秘密よ、私と不動くんの二人しか知らない秘密よ。お願いね」
言い終わったニコルは再び笑顔を浮かべる。
「さて、話の続きだけど。私は不動くんがドラゴンを消した、その才能を見込んでいるのよ。だから、恩を感じているなら何れ一杯恩返ししてね!」
勇はニコルの話に納得する。
「はい! 絶対に何倍にして恩返しします!」
勇の返事に満足したニコルは、また、いつも道理、勇をからかう。
「フフ、ならちょっとだけ今、恩返ししてもらおうかしら?」
「はい! 何でも言って下さい!」
勇は何でもと言ったものの、ニコルの何時ものからかう気配を感じて、選択を誤ったと、遅れて気付く。
「ご飯を食べ終わったあと、一緒にお風呂に入ってもらおうかしら。何でもと、言ったんだから断りはしないわよね?」
勇は慌てる。
「い……一緒ッ!? 俺、男ですよ‼ そんなの駄目ですッ‼」
勇の慌てようをニコルは楽しみながら、トドメの一言を言う。
「男ならば、自分の言葉に責任を持ちなさい」
ご飯を食べ終わり食器を片付けるニコル、席を立ち勇に流し目を向ける。
「私が先にお風呂に入って待っているから、必ず来るのよ。フフ」
頭がいっぱいいっぱいで言葉が出ず、ニコルの背中を見つめることしか勇には出来なかった。
勇をからかい、ご機嫌なニコルは自分の部屋に行き、部屋にあるベットに体を預ける。
(ふ~、不動くんはやっぱり良い子ね。あの様子ならちゃんとスキルのことは黙ってくれるでしょう)
勇の何倍にもして恩返しをすると聞いて、狙い道理という思いと、この一ヶ月一緒に暮らして、本当に勇のことが気になっている自分がいるということに、ついつい言ってしまった一緒にお風呂に入ろうという誘いで、改めて自覚したニコル。
(フフ、スキルのことは話しちゃったけど、もうひとつの、秘密は黙っていなといけはいわ、じゃないと、こんな平穏に暮らしていけないもの……)
ニコルには、スキルとは違うもうひとつの言えない秘密がある。
(……だけど……不動くんには、いつかこの秘密を知って貰いたいな……何て思うのは、駄目かしら?)
もし自分の秘密を知って勇が離れて行ったらと考えると、それだけで胸が苦しくなる。
(フフ、駄目ね、暗い雰囲気を出していたら不動くんが心配するわ)
気分を切り替え、ニコルは妙案を思い付く。
「そうだわ、一緒にお風呂に入った後で不動くんに夜這いを仕掛けようかしら」
うつ伏せで寝転がっていたニコルは起き上がり、夜這いするための着替えを選んぶ。
「やっぱりこっちの、エッチな下着が良いのかしら? それともこっちの清楚な下着?」
う~んと勇に見せる下着を悩み、何時もの落ち着いた歳上お姉さんの雰囲気はそこにはなく、つい言ってしまった一緒のお風呂で、ちょっと暴走気味なニコルは、下着選びで時間があっという間に過ぎていく。
モクモクと湯気が立ち込めるお風呂場で、勇はお風呂に浸かり、本来は気持ち良く、体から力が抜けるはずのお風呂で、ガチガチに体を固くしている。
(風呂に一緒に入るのは冗談だと思うから、先に一人で入ったが、ニコルさんは、本当に一緒にお風呂を入るつもりなのか。……いや、そんな訳ないよな。うん、ないない。ある筈がない、先に風呂に入って正解の筈だ)
落ち着いて勇は考えてみる、……どう考えても何時ものからかいだ、そうだ、そうに決まっていると。その結論にたどり着き、ガチガチの体から力を抜けていく。
「不動くん入るわよ~」
「!?」
ビクッと体を再び固くさせ、慌てて風呂場の扉に目を向ける。
扉を開けて入ってきたニコルを見て、勇はその美しさに目を奪われる。勇の姿を見て、ニコルは満足し、勇を何時ものように、からかう。
「フフ、そんなに見つめられたら恥ずかしいわ」
口では恥ずかしがっているニコルだが、そうは見えない勇。
「それじゃあ不動くん、私の体を洗ってくれるかしら?」
「ニコルさんの、かッ体を、俺が洗うんですか!?」
驚く勇に、さあ早くと、急かすニコル。
٠٠٠٠٠٠勇は覚悟を決め、湯船から勢いよく立ち上がる。だがそれは失敗だった。
ニコルの目線が、立ち上がった勇の下の方に向いていることに気付き、慌てて湯船に浸かる。
「あら、恥ずかしがることはないわ。フフ、さあ、私の体を洗ってくれるかしら」
ーーーーそれから、いったいどうなったのかは、想像にお任せする。風呂場でのこと、そして、その後自分の部屋で寝る勇に夜這いしてきたニコルと、どうなったのかを٠٠٠٠٠٠
朝方、勇はギルドに来ていた。依頼が貼ってある掲示板から自分でも出来そうな依頼を探していく。
「これなら俺でも出来そうだな」
勇が手に取った依頼書の内容は、薬草採取の依頼だ。採取する薬草は、ニコルの手伝いで見たこともあり、これなら自分でも出来そうだと、この依頼に決める。
依頼書を受付嬢に渡し、薬草が生えている場所を聞き、必要な物を店で買い集め、自分の装備を最後に確認したら、ついに初めての依頼を達成すべく、フィンブルを出て受付嬢に聞いた薬草の採取場所に向かう。
ーー魔獣に会わず無事に採取場所の林に着いた勇は、目的の薬草を探し集め始める。
薬草を探し集めている勇を、不審な人影が隠れて見ていた。
(へへ、ようやく標的が町を出て人気がない所に移動しやがったぜ。これで、彼奴を殺して残りの報酬が手に入る)
勇を狙っているのは、ベンが勇を殺すため依頼した暗殺者だ。だが、勇は暗殺者に気付かない。隙だらけな勇の背後を暗殺者がナイフを持って襲い掛かる
鋭いナイフの刃が襲い掛かる直前、勇は暗殺者に気が付き体を大きく捻りナイフを避ける。
「!? 誰だお前は‼ ーー痛ッ!?」
完璧にナイフを避けることが出来なかったようで、勇の左肩から血が出て、傷口部分の服が血で滲む。
勇が「誰だ!」と聞くも、暗殺者は応える筈もなく、ナイフを構え再び勇に襲い掛かる。
右から左から、さらには真っ直ぐと心臓目掛けてナイフが勇を襲い、なんとか避けるも、避けきれず切り傷がどんどん増えていく。
(何でこいつは俺をに襲い掛かり、殺そうとするんだ⁉)
突然の状況に勇は驚き混乱するも、取り乱す訳にはいかない。襲い掛かるナイフは確実に自分を殺そうとしているのだから。
ーーーー暗殺者に襲い掛かられてから、いったいどれくらい時間がたったのだろうか? 一生懸命にナイフを避けている勇は、長時間ナイフを避け続けると感じているが、実際はほんの数分だ。だが、そのほんの数分で混乱しているのは暗殺者の方だった。
(コイツどうなってやがる!? 襲い掛かった最初の頃は、ナイフが当たっていたのに、もう掠りもしねー!?)
暗殺者の男は大慌てだ。自分は、この道何年もやっている、それなりに腕の立つ暗殺者なのに、どう見ても素人の勇が自分のナイフを避け始め、ついには完璧に避けられる、その事に驚愕と苛立ちを覚える暗殺者。
ーー不動勇は天才である。昔はその才能を嫉妬や妬みからクラスメイト達に苛められ、最近は苛められないようにずっと普通を目刺していた、だがそれは、勇に嫉妬や妬む程の才能が、あるということだ。
ここ、異世界でも勇は常に普通を目指しているが、すでにクラスメイト達とは別れ普通を目指していた勇を縛るものがなくなり、段々と本来の自由で明るく好奇心旺盛だった、苛められる前の勇に戻って来ている。
第一、普通なら今のように異世界を生きていくなど、出来ないし考えもしない。普通の人なら、クラスメイト達と一緒に精神を操られ輝久勝利に付いていき、勇者の仲間(笑)の一員だっただろう。
ーー暗殺者のナイフを避け続け勇はついに攻勢に出る。
暗殺者のナイフが左から横一閃に勇の首目掛け振るわれ、そのナイフをスキルで、一瞬で小さくなって避け、暗殺者が一瞬で小さくなった勇が突如消えたように見え、目を見開き驚愕している隙に、スキルを解除して一瞬で元の大きさに戻ってき、元の大きさに戻る早さの力が乗った拳を、暗殺者の顎目掛けアッパーカットする。
薬草を取っていた林に鈍い音が響き渡る。暗殺者は突然の顎への強打に目を回し気絶した。
「ふ~、なんとか倒すことが出来た~」
緊張が抜けて地面に腰を落とす。
(だけどコイツは一体何者なんだ? どうして俺を襲って来たんだ?)
勇は男の正体を考え、恐らく盗賊なんだろうと予想し、盗賊の対処を考える。
(う~ん、この盗賊を一体どうしようか? フィンブルの衛兵に預けるにしても、運ぶのは一苦労だし、どうしたものか٠٠٠)
勇は悩んだ末、盗賊をここに置いて行くことにした。このまま気絶して魔獣に食われても、自分を殺そうとした奴なんだから別に良いし、起きて逃げて行ったら、盗賊の運が良かったと考え、盗賊を放置して残りの薬草を探し集め、集め終わったらフィンブルに向かい歩いていく。
ーーその後勇が盗賊と思っている暗殺者の男がどうなったのかは分からない。ただ٠٠٠ベンの元には現れずフィンブルにも二度と現れなかった
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