表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/107

027・前編─ランニングマン

原神が悪いんだ、俺を誘惑するゲーム達が悪いんだ!たとえ1ヶ月以上休みがあろうと、ゲームたちが悪いんだ!


 「各員、散開!」

 「守っちゃるからねえー。安心してねえー」


 青華の指示とメデスのやる気のない宣誓と同時に全員がバラバラに駆け出す。

 やることは単純、走り回る事。これだけが俺に与えられた指示だった。


 「うおぉおおおおうおうおうおぉおお!」


 霊力の噴射を使っての全力加速全速力。

 生来、体の頑丈な俺の体も軋みを上げる、年に一回あるかないかの大仕事だ。

 弾幕シューティングのボスキャラみたいな無差別攻撃による被害が周囲に巻き起こっている。

 青華が作りまくっている氷柱を避け、糸による弾幕を避け、何もない所でつまずいてもなお、転ばずに体勢を立て直す。トンデモスピードの中で隙を見て拳銃を発砲して攻撃を試みるも、糸に阻まれたり避けられたり。そもそも九割くらいは的外れな方向に飛んでいく。センスが、ない……!


 「ヒュッ!」


 おわ、掠った。ついでに変な声も出ちゃったよ。

 弾も切れたし、息も上がってちまった。

 が、まだまだ序盤。こんなところでへばってるわけにはいかない。

 青華の準備が終わって、上のフタが開くまでは走り続けなきゃいけない。そうやってただひたすらに走り続けること……それが俺に青華から与えられた指示だった。


 「第一段階でのアンタの役割はこの部屋の中を駆けまわる囮役。あの女の攻撃をできる限り広範囲にバラけさせて私や羽重をできるだけ危険にさらさないこと。……一番危険な役だけど、できるわね?」


 できないとは言わせない。そんな圧を身に受けて、笑いながら引き受けた。

 できないなんて言えるわけがない。ああやってもう一度信頼してくれたことが、どうしようもなく嬉しかったから。

 小躍りしたね。嬉しくて嬉しくて震えたね。

 サンバのリズムを刻みながら走り出したのはいいものの、思ったより攻撃が激しい。これじゃあどんなに気を張ったところでその内まともに攻撃をうけるだろう。難易度的にはNORMALからHARDの間ってところか。こちとらEASYだってノーボムノーミスは難しいってのに。抱え落ち常習犯の俺としては帰りたくなるような状況だ。

 あとどの位の時間走り続けるのだろうか。まさか一時間以上とは言うまいな。そうでないことを信じよう。メデスは直ぐに天井に穴が開くと言ってたな。その直ぐがどのくらい直ぐなのか聞いておけば良かったぜ。


 「もう寒いのか暑いのかも良く分かんなくなってきたな」


 辺りに乱立した氷柱によって雪でも降り出しそうなほどに室内温度が下がっている。その上での全力疾走なのだから、冬場の東北地方で半袖短パンフルマラソンって感じだ。


 「青華ちゃん! もうそろそろ日の入りだ。 ()()()()()()()!」


 息を吸う肺ものども痛い。汗で視界も滲んでいるし、今にも足がもつれて転びそう──


 「──あっ」


 いや、おいおいおいおい! 嘘だろう⁈

 体がバランスを崩し、瞬間、僅かな浮遊感を得たのちに氷柱にぶつかるまで転げ回った。

 ついに転んだ。氷も糸の残骸も何もない所で、自分の足に引っ掛かって転んだ。

 憐れこの上ない。

 憐れというよりは惨めかつダサい。

 チクショウ、最近こんなんばっかだ!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ