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025・中編─甲子園

育英優勝おめでとう!(今更)

 「なにがぁあ⁈」


 なにが、分かっていたのだろうか。後でしっかりと聴取したいものである。

 が、今は痛みでそんなことどうでもいい。


 「くっふ、ぐぉおおおお……オエッ」


 がぁああああうあああう……。

 み、みぞみ、鳩尾にもろはいっtオエッ。

 吐きそう。

 朝食全部吐き出しそう。昼飯代わりに食べたカロリ〇メイト吐き出しそう。


 「なかなか、やりますわね。まさか私の球を打ち返すだなんて。流石、エースといったところですわ」


 なんだ、何のエースだ?


 「ふ、そっちこそ。ダークホースなんて呼ばれてただ運がよかっただけだと思っていたけれど──あの学校を破っただけはある、といったところかな。賞賛に値するとも。でも、優勝は譲れない。これだけは、絶対に」


 甲子園か? 甲子園なのか?

 いや、今はそんなこと考えてる場合じゃねえ。

 頭がガンガンして、体に力が入らない。つい数十分前に血を流していたことも大分マイナスに働いている。

 これじゃすぐに動く事はできない。

 逃げるにしてもなんにしてもだ。


 青華も羽重も動けない。今の状況ではメデスに頼るしかない。頼るしかない、んだけどなあ……! こいつ人をバットにするんだもんなぁ……! 今の所打率十割(二分の二。俺を蹴った分もカウントしておく)の強打者であるところのメデスさんは俺の足を離す気配がないんだもんなぁ……!

 え、ダメ? これ俺まだ腹筋に力入れてないとダメ? 足持たれた状態で体を真っすぐにしておくのって結構きついんだけれども。我ながら呆れた体幹と腹筋である。若干割れてるかどうかのくせして。


 と、俺の吐き気が少々極々僅かに収まった頃。その時、メデスとラウルムの両者の間には甲子園決勝のピッチャーとバッターさながらの──スリーボールツーストライクツーアウト満塁。これを押さえれば初優勝となるダークホースとこれを打てば逆転優勝となる過去に栄光のある県立高校とのデッドヒートのような──緊張感が漂っていた。

 人の域を超えた両者の睨み合いには周囲の静けさでさえも死に絶えるような須臾しゅゆの叫びがあった。


 息苦しさを感じる。

 吐き気もするし、頭も痛い。

 視界だって少し暗いし、心臓の動機も激しい。

 もしかしたらダメージを受け過ぎただけかもしれない。

 おもむろに、ラウルムはその燕尾服を脱ぎ去った。大きく肩を回し、いつ間にか左手にはグローブが嵌められている。いない筈のキャッチャーと意思の疎通を図っている。

 メデスは俺を斜め前方へと振り上げる。ホームラン予告だ。メデスはラウルムのはるか後方、ただ金属質な壁が広がるだけのそこに電光掲示板を確かに幻視していた。


 もうやだ、なんなんだこいつら。

 蒸気機関によって構成されたこの地下において、その熱気と湿気は奇しくも夏の甲子園球場のようである。

 そうして、遂にその時がやってくる。

 二人の呼吸が今──合わさった!


 「くらいなさい! 燃やせ闘魂、吼えろ投球! 『魔球・毛糸弾』!」

 「これが僕の三年間の集大成! 見ていてください、先生。一気加瀬の激流! 『蛟龍こうりゅう ・ミズチノオ』!」

 「やめてぇ! 俺の体を超次元野球バトルに巻き込むのやめてぇ!」


 俺は螭の尾っぽじゃねえ。

 しかしもう球は投げられ、俺は振られた。

 迫る光球に恐怖を覚える。

 もう正中線にはくらいとうない!

 あんな前代未聞な吐き気はもう嫌じゃ!

 いくら泣いても喚いてもこぼした水はもう盆には戻らない。ゲームのようにリセットしたり、生き返ったりなんてはしないのだ。ファイア〇エムブレムのように。


 「こ、な、く、そぉー!」


 せめて急所だけは!

 体を全力で捻る。

 ──世界がその活動を急激に減速させた。ともすれば止まったとさえ思うほど。ドラマやアニメなんかでよくある、交通事故に遭うシーン。あれによく似ていた。人の瞬きや、雨粒がアスファルトの上で弾けるようすすらよく視認できるあれ。だいたい死の間際に発生するあれだ。あの現象は確かに時間の流れから切り離された状態に見えるが、実際の所、世界は何事もなく正常に回っているし、時は止まっていない。ただそう見えるだけ感じてるだけという、あくまでも本人の主観的感覚に過ぎない。

 つまり何が言いたいのかといえば。

 そのくらい、死の恐怖に直面してるし、どんなに世界が遅く感じたところで俺の動く速さは変わらないのだ。


 「うぎゃっ!」


 めでたいことに。

 辛うじて正中線直撃は避けられた。

 しかし、個人的に思う男性の柔らかい部位ナンバー1であるところの脇腹に直撃。

 そして打たれたボールは──


 「ッ⁈ まずい! キャッチャーフライだ!」

 「やりましたわ!」


 俺の全力の抵抗によって思った場所に当たらなかった球は真上、天井に向かって真っすぐに飛んで行く。

 そして天井にあたる直前、光球が突如拡大し(⁈)天井の半分以上を消滅させ(⁈)地下に青天井を作ってしまった(⁈)。

 え、なにこれ。

 え、なにこれ。

従兄弟が仙台育英通ってるんですよねぇ……野球部とは何の関係もありませんけど。同級生も何人か育英行ってるはずです。まぁ、地元なので当たり前っちゃあ当たり前ですけれど。育英はうちの方から行く人は7時前には家を出るとか。もしかしたら世の高校生はそれが普通だったりするのかもしれませんね。

かんなぎの聖地巡礼にも行きました。原チャ転がして大和から富谷を通り、利府、塩釜を走って七ヶ浜まで。途中塩釜神社とマリンゲートも寄っていっそこのまま市営汽船に乗って婆ちゃんちにでも行こうかなと思いつつ鼻節神社へ転がって行きました。多分、幻想郷ってのはあんな感じのところだと思います。

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