025・中編─これが……賢者の遺産!
「あの、質問なんですけど」
「なにかしら」
「そのスク水はどこで買ったんですか」
……いや、これも違うだろ! なに言ってんだ俺は⁈
「ふむ、いえ、申し訳ありません。この水着は貰いもので、どこで買ったかまではちょっと……」
「貰いもの……そのサイズの水着が……?」
それも二着。
まるで彼女たちの為だけにあつらえたようなそれらの水着。
そんなものが貰いものだというのか。そんな素敵な人が存在するのか⁈ 俺にも回してくれねえかな。
「これは着る人によってサイズが自動で調節される優れものですのよ。そして私の手元にはもう二着ございます」
「なっ⁈ それはまさか!」
「ええ! あなたと後ろのかわいらしいお嬢様もご一緒に!」
「よしストップだちょっと待て」
「はい?」
とんでもねえ。
これはまさか、この男装のお姉さまはまさか。
「もう一度聞きましょうか。え、誰と、誰がきるって?」
「あなたと」
「誰得だよ。なあ誰得だよそれ」
誰が俺の旧スク姿見たいんだよ。
「さてはあなた、私が着ることを期待しましたのでしょ? そうなのでしょう? そうだと言ってごらんなさい?」
「ぐぬぬ……」
「少なくとも私はイロイロと満足いたしますわ。なにせ私、可愛い女の子もかわいい可愛い男の子もだーーーい好きですもの」
変態だ! 度し難い変態がいる!
「あなたは──まあ可愛くもカッコよくもないですけれど、まあ別にいいでしょう。そこそこ筋肉質なのは残念ですが身長百六十と数センチ。許容範囲です」
「うれしくない」
「さ、はやくお召しになってくださいまし! さあ! さあ! さあ!」
「うれしくないつってんだろうが! いや待って! 待つんだ! 後ろの! 後ろのかわいらしい方からにしよう! きゃー! 助けてー! この人変態ですぅー!」
「ちょ、大人しくなさい! 脱がしにくい!」
「助けてメデスちゃーん!」
………………。
いねえ!
あいつ俺の中に逃げやがった!
変態の気配を感じ取って一足先に逃げやがった!
「ふへへへへ」
「い、い、い、ひぎゃぁーーー!」
十分ほどして。
「ぜー、はー」
どうにか。どうにかパンツだけは死守できた。
虎柄鬼のパンツは強かった。
鬼のパンツはいいパンツだった。
銃もナイフも取り上げられたことになるけど。
あれ詰んでね? これ。
「あら? そういえば先程、あの少女をメデス、とお呼びになりました?」
「呼んだ、けど、それが、どうか……」
「いえ、メデス、メデス……んー、どこかで聞いたような、聞いてないような」
まあ、どちらでも構いません。
と、彼女は手を叩いて一拍告げる。
「あなた、そうだったのですわね」
そう、とは一体何のことだろう。
彼女が何を言っているのか分からない。
メデスも引っ込んで、青華も羽重も動けない。
パンツ一丁で何ができよう。
というか、目を細めてこっちを睨んでくるものだから動けない。人外の圧ってのはこう、物理的に重く感じるというか。何というか。とにかく動けない。
どうしましょ。
「困りましたわねぇ。私の一存では処理できない案件じゃございませんの?」
なんだか困っているようだ。
「この男がそうであるなら、さっきのはやはり……となると……。ああ、いやですわ、いやですわ。こんな仕事になるのでしたら無理やり有給取ってハワイにでも行けばよかったですわ」
ああ、なんて事だ。最悪の場合、この場の全員殺されてしまうかもしれない(どんなに最悪でも自分だけは助かる保証アリ)。殺されなくても電気を流すタイプの拷問で連打を強いられて、「連射パッドを使おうなんて考えるなよ」なんて言われて、そのまま独房に入れられるんだ……。監視役にジョニーがいるんだ……。
「そこの裸の変態のあなた、お名前はをお聞かせくださいますか?」
「く、暮木……です」
絞り出される声。
裸にしたのも、変態に仕立て上げたのもお前だ、とはとても言えない。
「下は?」
「鈴人」
「では、暮木鈴人さん。この場でパンツのみの状態で大人しく待っているか、裸の状態で大人しく私に付いてくるか。どうぞお好きな方をお選びくださいまし」
大変遅くなりました。ちょっと色々ありまして……




