021・後編─氷! 名付けよう! 君の幽体波紋の名は! 〚アイスジェダイド〛!
待たせたな
先がうっすらとしか見えない中、一本道を進んでいく。
実は俺自身が光っている関係上あまり遠くを照らすことはできないのだ。
こんなこと思いたくはないのだが……もしかして俺って役立た──いや、いや、いいや。そんなこと無い。そんなことはない!
不安を抱えて歩くその姿はこの世の誰よりも人間らしかったという(メデス談)。
さっきまでは小学校休み時間もかくやという騒がしさを誇った俺たちだったが、暗く狭い通路というロケーション故か誰も喋らなくなってしまった。雰囲気に呑まれて俺もふざける気にはなれなかった。
なんというか、前に進むごとに空気が重くなっていくような、そんな感覚に陥っていく。
というか、どんどん蒸し暑くなっていっていないか?
湿度温度共に急上昇している気がする。
後ろを見れば汗で服が張り付いて、頬を朱に染めた色っぽい女の子が、というシチュエーションだというのにあまり興奮できない(興奮しないとは言ってない)。
なんだか体も重くなってくる。
歩いていくと、足音の反響音も大きくなってきた。反響して聞こえる音が大きいという事は、だ。色々端折って換言すればこの通路の終点が近いという事だ。
終点。
果たして、それはまたしても扉だった。始点が扉なら終点も扉だった。終点というか、この先にはまだまだ通路が続いている可能性だって十分に高いけれど、それでもあくまでも終点と思いたい。
「なあ、これ開けたらまた初めの所に戻されてループする、なんてこと無いよな」
「大丈夫だよ……多分」
メデスが最後言い淀んだ気がしたが聞き返さない。絶対にいい事ではないだろうから。ハイパーヨーヨーの糸が切れた程度のことではないだろうから。
扉に手をかける──
「熱っ──⁈」
熱い! え、なんで? あっつ!
ホームアローンか!
俺は空き巣か!
「どきなさい」
「青華」
そうか。彼女の能力は氷。熱い扉を冷やすくらいわけない事!
と、こちらに向かって飛び蹴りを放ってくる彼女を見なければそう思っていただろう。その速さはまさに白鷺、跳ねの威力はバッタの如く。足に纏った氷の硬度はシベリア東部の永久凍土。
「──ぁあああ⁈」
青華の奴、「どきなさい」なんて涼しい声で言いやがって! どう見てもライダーキックのそれじゃねえか。俺が全力で蹴ったってこんなことにはならない。
「何百ミリもの暑さの金属製の扉ぶち抜いて外すとか、ありえねえ……」
スタンド要素なんてないけれど、直前に見直していたんだ。




