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019・後編─ヤンデレもありだよねなんて思っていた時期が私にもありました。今でもダイスキです。

 「あーっとそうだな──」


 まあ、結論はとっくに出てる。やはりと言うか、なんというか。


 「あれなんだよ。そう。やべえよな、マジやべえよな、やべえよな」

 「ふんわっ!」

 「くんかっ!」


 殴られた。五七五調は怒られた。

 痛い。

 分かってた。ふざけたら何かしらのアクションを起こすであろうことは分かっていた。痛いんだろうなあとも思っていた。

 でも──


 「ふげっ、がぶっ、かひゅあ……!」

 「なんでっ、アンタはっ、いつもいつも……!」


 これは……やり過ぎ……じゃない?

 なんだか今は関係無いような私怨も混ざってないか⁈

 頭、首、鳩尾、股間、人体の急所であるところの正中線を殴り、ストレートでフリッカーでアッパーで上段蹴りでブラジリアンキックで膝蹴りでエルボーで頭突きで突きで、バリエーション豊かに蹂躙した後に数多くの関節を順番に極められる。

 女の子特有の甘い匂いが相まって頭がくらくらする。

 この状況では不適切な発言かもしてないが、この超密着状態には些かながら興奮せざるを得ない。


 「ぐべえ……へへへ」

 「死んでしまえこの駄犬」

 「きもっ」

 「不審者は通報」


 やめて警察は……!

 あっ、でも美少女達から浴びせられる罵倒をどこか心地よく感じてる自分がいる。

 そういえば羽重は青華の俺への暴力を止めてくれる立場じゃなかっただろうか。そんな羽重はあの拉致監禁事件で消えてしまったのだろうか。


 「ま、待ってくれ、話せば、話せばきっと分かる」

 「あんたが話す気ないんでしょうが」


 尻もちついて後ろに十歩。


 「少し前から気になってたのよ。あのメデスとかいう女の子は誰なのかとか、どうしてあの爆発男に襲撃されたのか、あなたが──何を隠しているのか」

 「いやその……」


 怒りも、恨みもそこには無かった。

 ──真っすぐ向けられた瞳に移る純粋な疑問と、迷子の子供のような不安が、俺を地面と縫い付けられるような錯覚に陥らせる。

 ダメだ。

 今の青華はどこか──違う。

 感情の抑制が上手くできていない、とでも言えばいいのか。

 自分で自分を止められない、止めようとも思わない状態。

 普段どこか大人びた態度で生活している青華だが、その精神性の深い所は見た目通り、年相応にまだ幼い。

 危ういバランスで保っていた青華の精神のバランスが大きく傾いてしまったのだろう。

 なぜ? 俺は一体どこで間違えた?

 さっきまともに説明しなかった時だろうか。荒ぶる青華から羽重を庇った時だろうか。それとも、もっと前からだろうか。

 そもそも羽重邸の時からその片鱗は見えていた。その後もしばしば。先程の俺への過剰な攻撃もその一端だろう。


 「ねえ、なんで何も答えないの? なんで何も教えてくれないの? なんで──私を突き放すの?」

 「突き放してなんか──」


 ない。

 本当に?

 本当に俺は青華を突き放していないのか?

 王権戦争などという殺し合いから遠ざけようとしなかったか?

 ──いや、そうだ。俺は突き放していた。

 直接的な言葉で突き放したわけでは無い。隠すことによって突き放そうとしたのだ。

 寄りにも寄って、青華の最も嫌う『隠し事』によって。


 「………………」


 何も言えない。

 ただ刻々と詰められていく距離を後ずさって離れる事しかできない。一、二、三、四とどんどんと後ろに下がって、下がって、下がって、下がったその時。

 急に後ろの手が空を切る。


 「え、わっ」


 と思うのも束の間。直ぐに地面へと手を付く。

 しかし、俺の体は急に下がった地面の角度と重力とその他様々の物理法則に従って落ちいく。

 つまり、坂から転がり落ちた。

 

 「っつぅ……」


 転がる軌道上に尖った石とかあって滅茶苦茶痛てえ。幸い、そんなに坂も高くない。というか普通に歩いて登れるな。いや、戻りたくはないけれど。

 しかし、俺にとっては別に悪い事じゃなかった。

 僥倖。

 痛みで逆に思考がクリアに整理された。

 そう。

 考えるのをやめた。


 「木、木、木、石、草、終わらない仕事、却下される有給、やってこない日曜日、休日を飛び越えてやってくる月曜日、コンビニから消えたエロ本、超機械的なでかい扉……」


 ん?

 何か混ざってなかったか?


 「へーい、鈴人くーん。だーいじょーうぶかーい」


 三人が追って滑って降りて来る。


 「大丈夫。怪我もないみたいだ。めっちゃ痛いけど。それより、ほら、何か見つけたぞ」


 俺が落ちてきたところから正面の崖。その数十メートル左に行った所にある

 ……うん。青華もとりあえず落ち着いたみたいだ。


 「これは……。誰か、この島の地図を見せてくれる?」

 「ええ。こちらへ」

 「うん、ありがとう」


 羽重がまるで分かっていたように地図を空中に投影する。

 スムーズ&ストイック。かっこいいぜ。


 「やっぱり。ここ、この島の中心に大分近い」

 「と言うことは」


 先程までの全てを忘れたかのような青華の合いの手。

 もう収まったようだ。超怖かった。


 「この中に、異世界を作り出した黒幕がいる可能性が非常に高い。けど──」


 メデスは扉に手を付けて目を瞑る。


 「うん、やっぱり中は大分広くて、深いね。また長い展開になりそうだ。黒幕に辿り着くまでに十万字超えるんじゃないの?」

 「やめろ、文字数を数えるんじゃない」


 俺も薄々そんな気はしていたが。展開が遅すぎやしないかと心配しているが。

 いや、いやいや、あと一万五千文字もあるんだ。それだけあれば……、まあ、多分エピローグまで入るだろう。

 ……入るよね?

 とりあえず本だけは回収しておいた。

いつから中編が二つあると錯覚していた? ざんねん! 後編でしたっ。さてさてあと何文字で第二部は終わりますかね。

投稿が遅くなったのには訳があるんです。モンハンとかサマーポケッツで浄化されたりとか。天善をKOしたり、島モンファイトで王になって藍ちゃんをボコボコにしたり。……蒼ぉ……鴎ぇ……。

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