015・後編─20001号
人間、課題に追われるとそれ以外何もできなくなるものなんです。だから投稿が遅れても私悪くない。
アイスがない。
この事件の容疑者は四名。
青華。
メデス。
弓良。
羽重。
犯人はこの中に居る。
先ず、メデスは外していいだろう。自分でアイスの話を出してきたあいつが犯人だとは考えられない。
逆に最有力容疑者は青華だ。あいつなら俺の荷物を勝手に漁るくらいはするだろう。俺の物は自分の物だと思ってる奴だ。ジャイアニズムの体現者と言ってもいい。
弓良は──そもそも俺が家を出た時には起きていなかった、と思う。確証はない。しかし、起きていたらアイスの気配を瞬時に察知し、鷹のように狩っていくだろう。
メデスを除いた容疑者の中では一番可能性が低いのは羽重。
──けどなあ。あの無表情でやることは茶目っ気過多だから絶対にないとは言えない。全く、羽重は他に二万体くらい同じクローンがいたりしそうだ。……その場合、ロリバージョンの羽重が見られるかもしれない。
ふむ。じゃあやっぱり青華か。今の俺は青華に強く言えないどころか、話し一つできないのだけれど。
どうしたものか。
やはり、メデスに水を出してもらうしかないのか。
「普通に水筒の水飲んじゃだめなの?」
「そういえばお前いつ出てきたんだよ。そんな描写なかっただろ」
「話をすり替えたね? いや、いつといえば、君を罵倒した直後なんだけど」
「いや、だからそんな描写なかっただろう?」
「描写とか言わないの。そんなの君の真後ろに出ればいいだけの話じゃないか。というか今までだって君に気づかれずに出てた事だってあったでしょ」
確かに、言われてみれば確かにそんなこと両の指じゃ足りない数あった。
そのせいで色々と迷惑を被った記憶もあった。何だこいつ。
「うるうる」
「擬音を口に出すな」
いや、可愛いから許しちゃうけども。
一口。水筒に口を付けて、日陰の中の石段に腰かける。ひんやり冷たい。今日の気温にはちょうどいい心地よさがある。
「で、お前はどう思う?」
「ん? まあアイスは青華ちゃんだと思うけど」
「そっちじゃねえよ」
つーかお前青華のことちゃん付けで呼んでんのか。
「この島の事」
「あるはずのない島、ね。まあ、自然にできた物でないならそれは人間が作ったものという事になるんだろうけど」
「人工島って、そりゃあお前、ありえないだろ。一年でこんなでかい島造って、家建ててなんて、できるわけない。できたとして、そんなのは人間じゃない」
「人間じゃないかもね。特異者か、あるいは別の何かか、僕はそう思ってるよ」
できるわけない。
そうは言ったものの、しかし、もしかしたらというような考えは俺の中にもある。
人間ではできないのなら、メデスのような存在ではどうだろうか。
メデスの言いたいことは分かるが、もしもそんな何かがいるとしたら俺たちでは対処できない。デス・オア・ダイの二択だ。
程なくして、俺とメデスはまた周囲の探索を再開した。
途中、駄菓子屋らしき店を見つけ、テンションが有頂天な俺だったが、商品がないという事実に打ちのめされ、更には見つけた自販機に金を飲まれと散々な目に遭った末に結局、大した成果を得られず、探索終了間近を迎えてしまったわけだが。
「わけだが。おかしいよな」
「おかしいね」
時刻は午前十時四十五分。そろそろ集合場所に向かおうかというところで、少し前から感じていた違和感を口に出してみた。
明らかにオレンジ色に色付きだしている空を見上げ、メデスの肩を抱く。
「いや、肩を抱くのはおかしいでしょ」
「まだ午前中の筈なんだよな。本来ならまだ昼飯を食うにも早い時間だぜ? なのにカラスが鳴きだしそうな景色じゃねえか」
「時間の流れまで異質となると、この島……いや、この島から数百メートル、あるいは数キロに亘って、限定的な別世界が発生しているのかも」
「また訳の分からない事を……いや、そんなことってあるのか?」
「無くもない……けど、それだって特殊な、それこそ神域くらいなもの。それは自然な発生とも言えるけど、例としては本当にそれくらいで本来ならありえない」
どうにも、メデスが言うには作られたのはこの島では無くて、この島のあるだけの世界、という訳らしい。




