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014・後編─おかしくおかしな不思議島

本編を書いてあとがきラジオを書いてだと意外と大変。でも実は二日前には投稿できた。

 自称校長(幼女)が指を鳴らすと共に窓がシャッターで閉じられ、テーブルから空中に画面が投影された。


 「カッコイイー!」


 うわあ、うわあ! なにこれ超かっけえ!

 目の前の大理石のテーブルの中心がウィーンって開いてヴォンって投影されんだぜ? こんなのテンション上がって当然だ。

 校長が手を振って投影された立体画面を操作する。


 「貴方たちに行っていただくのはこの島。ここから南に行った所にある大島。その更に数キロ南東にある島。この島の調査が今回貴方たちに与える任務です」

 「? 島は、島だろう? 調査って……テロリストでも潜伏してるのか?」

 「その可能性も無くはありませんが、いえ、その島の様子や近海の生態系、その他もろもろ特に異常は見当たりません。しかし、おかしいのは島そのものです」


 島そのものがおかしい。

 あまり要領を得ない説明だ。これだけではなにも分からない。島民が皆黒魔術結社の人間なのか。ネッシーでも生息しているのか。はたまた黒めの組織の秘密工場でもあるのか。なにも分からない。もちろん、今からそれを説明しようとしているのだろうけれど。

 いくら疑問に思っても、俺たちの内、誰も何も言わなかった。別に緊迫した状況でも無ければ、圧力的な何かがあったわけでもない。タイミング的に誰も何も言わなかっただけなのだが。しかしそれだけでどこか緊張した雰囲気を作り出してしまう。

 青華もどこかそわそわした様子だ。


 「まずこれがその島の航空写真です」


 投影画面が切り替わる。

 立体的に映されているのに向けられているのは平面……違和感だ。

 写されたのは特に変哲の無い島。大きな人工物なども見られないし、民家のような建物も少ない。その数少ない建物はどれも島の南部に密集している。

 こっちが一通り確認したところで再び画面が切り替わる。


 「そして、こちらが去年作られた先の航空写真と同じ位置から見た地図です。……おかしいでしょう?」


 切り替わって写されている画面は一面青。

 それはつまりそこにはただ海が広がっているだけという事を示していて──


 「つい一年前には岩の一つも存在しなかったはずの海原の真ん中に、ハッキリと島と言えるほどの大きな土地が出来上がっているのですから」


 そこからはトントン拍子に、と言うやつだ。なんの障害もなく日程が決まって、装備も支給されて。ただ俺の腕に着いた世にも恐ろしい爆弾だけはそのままだ。霊力を制限したままでは俺を任務に行かせる意味は無い筈だが……、考えるだけ無駄だろう。どうにか爆発する機能だけは取ってもらった。

 中身の火薬は取れてないけれど。

 ふとした衝撃で爆発する恐れがあるらしいけれど。

 島そのものの立体図が投影されたときにはやっと本来のスペックで機会が動いた事には感動すら覚えた。

 だから──そのような、あんあことやこんなこと、そんなこんななすったもんだがあった末、今ここに至るというわけだ。

 説明終了。

 そして本日。至った今ここ。ゴールデンウィーク初日の四月二十九日である。

 入学してからひと月もない程でこんな事をさせられているということに少なからず疑問と遺憾の意を表明せざるを得ないが、しかし、そんな事を口に出して言ってもあの自称校長の小さな微笑みによって黙殺されてしまうだろう。なにせ、ここ最近で俺の都合のいいように進んだことなんて一つとしてなかったのだから。


 「あっつい……」


 渡船から降りた俺は装備品の入った小さな鞄をしっかりと背負い直しながら恨み言のように小さく呟く。

 小さな雲こそ浮かんでいるものの、概ね快晴と言ってもいいであろう天気。気温は二十五度。八月ほどではないが、六月や七月並みの気温だ。そりゃ文句だって呟きたくもなる。

 近場にコンビニなんかがあるわけもなく、とりあえず俺たちはこの島の住民を探して歩き始めたのだった。

 だったが始まるのも早かったが、それこそ終わるのも早かった。そもそも民家の数が少なかったという事もあるが、そんなことよりも、この島の民家、建物に人間が生活していた──生き物が生息していた痕跡が何も見たらなかったからだ。


 「おかしいわ」


 青華の一言だった。

 先頭を歩いていた彼女が振り返って、俺と羽重を──いやさ主に羽重に向けて言い放った。

 おかしい。まだ道を一本真っすぐ抜けただけだというのに確かな違和感を彼女は訴える。

 俺もそう思い始めていた。


 「生活音が一つも聞こえなければ、民家には汚れ一つない。それに、この島では鳥すら見られない」

 「ああ、デザインはやけに古めかしいわりに、最近できたみたいに綺麗だし、家の中には特に何もない。人間が生活してる環境とは思えない。こりゃいきなりできた島って言われても納得できるな」

 「あっちでネズミは見つけた」

 「なら動物は一応いるのね」

 「………………」


 無視続行。

 会話一つしてもらえないのは中々クルものがある。

 まあ。

 そうされても仕方ない。それだけの事を俺はしたのだから。


 「住民もどこかに消えた、というよりも最初から存在しないっていうのが正しいでしょうね」

 「今直ぐにでも移住できそうな感じだよなあ……。人間が生活してる環境とは思えないけど、生活できる環境ではあると思う。まだしっかり見て回ったわけじゃないから分からないけど、もしかしたら売店とかなにか店が見つかるかもしれない」

 「お店があってもそもそも店員の人がいない」


 羽重に冷静に突っ込まれる。

 確かに。その通りなんだけれども。ぐうの音も出ない。

 しかし、店員はいなくとも商品はあるかもしれないというのが俺の考えだ。こんな不思議島だ、むしろすべてが例にのっとって存在しているわけでは無いと考えるのが妥当だ。


 「とにかく、ひとまずは手分けしてこの建物のある南部を調査。地図の通りに東部を羽重、中央部を私」


 端末から投影された地図に線を二本書いて集落部を三分割する。俺の担当する西部が一番広くなっているが、そこはそれ、男だからな。特に物申す気もない。


 「集合時間は今から二時間後の十一時ちょうど。遅れたら氷漬けよっ。それじゃ散開!」


 ……とりあえず西側に行ってしまった羽重を呼び止めるか。

 

 「メインパーソナリティの……はぁ、コレ本当に私がやらなきゃだめですか?」

 「そりゃあダメなことはないが、けれど君以外にこの仕事ができるのか? ハッキリ言って面倒くさい人間しか来ないようなこのあとがきラジオのパーソナリティが」

 「こんなの誰にでもできますよ。ただおしゃべりしていればいいんですから。ほら、見てくださいあそこのカンペ。あれさえ守ってれば他は何もしなくていいんですから」

 「そうだな──おや、真面目にやれば今回のギャラを倍にしてくれるらしいぞ」

 「さあ始まりました今回のあとがきラジオ! 名乗り遅れました、メインパーソナリティはこの私、清楚・純潔・大天使なメインヒロイン、霧島写でぇーっす!」

 「名乗り遅れ過ぎだろう。そしてギャラが倍になると言われてやる気を出す人間が清楚であってたまるか」

 「いいですから自己紹介してくださいよ」

 「年上に容赦ないな君⁈ んんっ、今回のゲストの学生会ちゅっ……学生会長だ」

 「あっ、今嚙みましたね」

 「噛んでいないが?」

 「えー? 本当ですか~? 学生会ちゅうさん。本当に噛んでないんですかぁ~?」

 「学生会長だ。ほらカンペが出ているぞ。あれに従って進行するのではなかったのか」

 「そんなことよりもさっき噛みましたよね?」

 「やっぱり君にパーソナリティは無理かもしれない!」

 「ふうむ、そろそろやめないといい加減ウザがられてしまいますかね。この辺が潮時でしょうか」

 「今も大分ウザかったけどな」

 「しかし学生会長。自己紹介なのに名乗っていませんでしたね。噛んじゃって恥ずかしくなって名乗れなかったんですか?」

 「断じて噛んでいないし、恥ずかしかったわけでもない。本編でも出ていない私の名前をこんなところで出すわけにはいかないという制作側の配慮だ」

 「へえ。でも私あなたの名前知ってますよ」

 「おっともしかしたらここで火事が起こるかもしれないが君は気にせずにここでギャラが倍になったパーソナリティを続けてくれ」

 「知ってたんですけどねえ。何だったかなあー忘れちゃったなあー。だから火事も起こらないかもなあ」

 「よかったな。さて今回の話のおさらいをしたいというのがこのコーナーの趣旨だったな?」

 「はい──って言ってもこの物語、進行が限りなく遅い上に雑談ばっか、主人公がヘタレと、おさらいしても面白くないんですよね」

 「それは困ったな……そういえば羽重ちゃんは方向音痴なのだな」

 「右と左を間違えるレベルなんて相当ですよ。そんなことするのはヤムチャくらいのものだと思っていましたが、本当に要るんですねえ、方向音痴の人」

 「まあ地図を読めないという人だっているからな。携帯端末の地図を見ていても迷う、なんて事もあるそうだ」

 「へえ……あっ、ヤバッ窓の外で超監督が怒りの表情を浮かべてますよ」

 「鬼の形相とはああいうのを言うんだろうな」

 「ええとここまでお読みいただきありがとうございました。あとがきラジオ今回のお相手は、実はこの世界を裏から操っている霧島写と」

 「表から操っている学生会長でした」

 「ひゃっほう! ギャラが倍だぜぃ!」

 「あっまだマイク止まってな──」

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