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013・前編─笑われたくないのか、笑われたいのか。キャラが定まらない。

先日、ようやく夏休みに入りました。先、9月の20日まで休みです。やったね。

 「あっはっはっはっは!」

 「あー……」


 どうしてくれようかこのガキ。

 部屋に着くなり入ってきた俺を見て大爆笑の目の前の校長をどうしてくれようか。

 ボロボロの学生を見て何が楽しいか。ドリフのコントでも見ないレベルでボロボロなんだぞ。


 「あっはっは、ヒ、ヒーフー、ヒー!」


 笑いすぎだろ。

 まあいいや、笑顔ならそれで。なにせ可愛いから。


 「うん。うん、大分笑わせてもらった、もらった。まさか自分から突っ込んでいくとは思わなくて……ふふっ」

 「いやあ、あはは……」


 そっちが大爆笑でもこっちは乾いた笑いしかでねえよ。

 しかし、乾いた笑いとは。ならば湿った笑いがあるというのか。俺は寡聞にして存しない。唾が飛ぶほど笑う事をそういうのだろうか。こういうとただの明るい素敵な笑いが汚いものに思えてしまう。


 「さて、じゃあもう少し雑談でもしようか。君が思ったよりも早く来たものだから少し時間があるからね」

 「雑談て」

 「男の子的には猥談の方がよかったかな?」

 「……っ⁈」


 わわわわわ猥談だとう⁈

 こんなに小さな女の子と一緒に猥談だとう⁈ どうしよう、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるものではない事とか教えた方がいいのか⁈ おしべとめしべの話か⁈


 「冗談さ」

 「………………」


 冗談か……。期待させておいて落とすとは……梯子を外されるというのはこういう気分なのか。

 この外見で悪女の素質を感じさせる。


 「悪女、というよりも『魔女』だからね。どうしたものかな。なにか面白い話でもしてくれない?」

 「無茶ぶりを」


 面白い話をしろとか、もうこれパワハラだろ。


 「えーとじゃあ、俺が中学の頃の話なんだけど、当時一番仲の良かった友達にその友達と一緒に共通のゲームをやってたんだけど。そのゲームでそいつが欲しがってたキャラを俺が当てちゃってその後しばらく連絡とか全部無視されていたんだよ」

 「へえ」


 当時はまさか一か月近く無視されるとは思ってなかったな。


 「それで結局メッセージが帰ってくるようにはなったんだけど、その帰ってくるようになったメッセージの内容が、『今日は味噌汁が濃い目だったから中吉記念日』だったんだよ」


 なにが面白いかと言うと別に何も面白くない。自分でもびっくりするほど面白くない。他に話すネタといえば父親がある人気芸人に双子かと思うほどに瓜二つだという事と、酒鬼乱心事件とか、雪山全裸事案とか、海に飛び込んだら水着が脱げたことぐらいしかない。


 「何にも面白くない。もっと豊かな経験を積んだ方がいいと思うよ」

 「その本気で心配そうな声音が一番心にくる!」

 「私としては、むしろ後から挙げてたものの方が気になるけどね」

 「おっと、これ以上は有料だぜ。聞きたかったら俺にパンツを見せるしかない」

 「しょうがないな」


 そう自称校長が言った時には側頭部に強い痛みを覚えていた。より具体的に説明すれば、自称校長を名乗る少女が跳び上がって俺の側頭部に竜巻旋風脚。次のカットには俺は床に這いつくばっているという図だ。コマ送りにしないと見えないんじゃないだろうか。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 そして──確かに校長は俺の要望を叶えてくれていた。

 この角度からなら見える。楽園アヴァロンの光景。これが星の内海。そうか。この子が楽園アヴァロン・妖精ル・フェ。確か本人は魔女を名乗っていた気がするけど。

 俺は床に這ったまま話し始めた。


 「これは去年の年末に青華が家に来た時の話──」


 と、そこで。遠慮も配慮も微塵も無いような不遜なノック音が室内に響いた。


 「どうぞ」


 先程まで座っていた応対用の白いソファーからいつの間にか奥の高級感あふれる机にゲンドウポーズで座っていた彼女は、俺が引くレベルでお上品なキャラを作ってその来客に対応していた。

 引いた。引いた。ドン引いた。

 「どうぞ」というよりも、「どぅぞ」だったもの。


 「失礼します。呼び出しの張り紙を拝見してきました」


 どうやら俺の他にも呼び出されていたらしい。

 っていうか、この聞き慣れたアニメ声は──と溜めるまでも無く今日俺が土下座し続けていた少女。凍羽青華さんじゃないですか。

 今なお床に這ったままの俺の状況を考えれば、土下座しているも同然なのだが。

これから投稿頻度は早くなる──かもしれない。

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