012・後編─知っているのか! エ〇ミーラ! 奴の能力を!
短くてごめんなさい。
「しかしだな暮木。見苦しいと言えばそりゃあ、何をおいてもお前の土下座だろう。なんだあれは」
「……おぉ」
今日初めてまともに土下座についてツッコミを貰った。
普段ツッコミ役のキャラは急にボケると反応してもらえないというのはあまりにも酷ではなかろうか。是非にご一考願いたい。
そもそもボケではないのだけれども。
「なんだと言われてもな。この世で最も美しい土下座としか言いようがないよ」
鏡に聞いてもきっとそう言うだろう。
「あの凍羽の席の横でずっと土下座をし続ける行動にはもはや狂気すら感じとれたぞ」
「それだけ全力の土下座なんだよ。あれに匹敵する土下座はそうそう見られない──そう、首が掛かった商談に臨む平社員にしかあれほどの土下座はできないだろうぜ」
「土下座だぞ。お前がやっていたのは土下座だぞ。なんでそんなに誇らしげなんだ」
「お前のなんでも知ってる筋肉に聞いてみろよ」
「なるほど! その手があったか」
なるほどじゃねえよ。
本当に筋肉に語り掛けているところを見ると、一緒に歩きたくないな。関係者だと思われたくない。
そう思った俺は横に一歩距離を取ったのだった。
「なんと後耳介筋が知ってた」
「知ってたのかよ」
そしてどこだよ、後耳介筋。
「後耳介筋とはな」
「いいよ、後耳介筋の説明はいらねえよ」
「知ってると言えば暮木」
「なんだよ」
「お前、掲示板を見たか?」
「掲示板?」
この学校掲示板なんて……いや、あった。霧島の作った新聞が貼られてたアレか。
全体連絡等は大体メールで送られてくるから全然存在感は無いけれど、その分何か貼ってあったら目立つという代物である。
「説明ご苦労。で、その掲示板なんだがな」
「おん」
「なにやら幾何学模様が描かれた紙にお前と凍羽、それからもう一人。羽重の名前が書かれていたんだ。校長室への呼び出しの連絡だったんだが……」
「が?」
「あれは呼び出しというよりも脅しと言った方がしっくりくるな」
「それはどういう──」
いや、いやいやいや。
もう聞くまでも無かった。
それを視界に捉えた時に全てを察した。一度体験したから分かる。
あの校長室で「ばびゅん」の一言で飛んできた高速の一発。
青い一条の光がこちら目掛けて飛んでくるじゃないか。
もう訳分かんねえ。
とりあえず。
「じゃあ逃げるからまたな!」
回れ右と同時に走り出す。回れ右しながら走り出す。
廊下を駆け抜け、階段を駆け下り駆け上がり、女子更衣室を疾走し、窓を飛び降りた。 畜生。やっぱり追尾してきやがる。
あの威力で追尾とか反則だ。レギュレーション違反の疑いもある。しかも「ばびゅん」で飛んでくるんだぞ。
「これどこに逃げればいいんだ……⁈」
(校長室じゃないの?)
「知っているのか、メデス! 助かる方法を!」
(通知が来てる上、脅しなんて言ってたんだからそうでしょ)
「天才か」
(君の頭が残念過ぎるだけじゃない?)
なんか今日のメデス俺につめたい。
とにかく。
校長室だな?
よし。
「………………」
(どうしたの?)
「校長室さ」
(?)
「今向かってる方向と真逆だ」
すごく痛かった。
この後二、三週間お休みします。テストなので。皆さんはそろそろ夏休みに入られた頃でしょうか。私はズレてる上に直前に期末ですよ。やだなぁ。




