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008・後編─それは、裏切りの言葉

遅くなったうえに短いです。かかっ

青華の重いバットの振り下ろしによって一旦と距離が離れる。その瞬間。羽重の足が地に着いた瞬間。青華を中心に広がるようにして庭全体が白く染まり、周囲とは違う、輝くほど透明な氷が羽重の足を覆い、固定する。


 「実は私の能力ってそこまで射程距離は長くないのよ。精々が三から五メートル。離れれば離れるだけ弱くなる」


 なぜそれを話すのか。特にそれに意味はないのだろう。

 人の気配ももはや感じられなくなったかのように思えるほどに白い庭で、独白は続く。


 「正直射程範囲外で生成された氷なんて簡単に壊されちゃうわ」


 ピピッっと辺りに乱立する白い氷壁を指さす。


 「この白い氷は私の能力の影響をより広くするための、言わば増幅装置。これを経由することで能力の影響範囲を広げることができるのよ」


 バットを杖代わりに体を重そうに引きずって歩みを進めていた青華がとうとう羽重の前まで辿り着く。

 氷は更に羽重の腕までも侵食している。


 「純度の高い氷は丈夫よ。もう、あんたは動けない」


 種明かしはここまで、今度はそんな意志を感じる。

 ゆっくりと重そうな腕を持ち上げる……っておい、まさか……。


 「やめろ青華!」


 気づいた瞬間にはもう体が動いていた。

 内側から込み上げる感覚に任せて無理やりに拘束を()

 いつものように霊力の噴射によって青華と羽重の間に入り込む。丁度、振り上げ終わった直後、振り下ろす直前のタイミングだった。

 衝撃に備えて骨折覚悟で防御を試みる。

 ああ! でもやっぱ怖え!

 強く目を瞑る。

 しかし、二秒三秒といつまで経っても腕に痛みは走らない──いや、バットは確かに振り下ろされた。

 ゆっくりと目を開く。

 確かにバットは振り下ろされていた。俺の足元、左足の真横に。どうやら、直前で軌道を横にズラしてくれたらしい。

 一瞬、安堵の念が胸中に広がる。だが、それは本当に一瞬だった。酷く険しくなった青華の表情が目に入ったからだ。


 「お、おい青華──」

 「あんたも……」

 「──青華?」

 「あんたも、私の味方はしてくれないのね」


 その一言に、何も言えなくなってしまう。

 やりすぎだ、もうその辺でいいだろ、そんな軽く気安い言葉でさえ、声になることがない。

 自分の呼吸が浅くなっていくのが分かる。


 「……って……た癖に……」

 「……っ!」


 もう既に青華にかかっていた羽重の能力も解除されていたらしい。小さくも決定的な一言を残して青華は俺とすれ違うように走り去ってしまった。その瞳から、大粒の涙を光らせて。

 動けず、もうその場に座り込むしかなかった。

 追い駆けるなんてできるわけもない。俺は青華を裏切ってしまった。

 それを示すのが、最後に青華が残した言葉なのだから。

 

しょうがなかったんです。今現在もテスト直前で、なんだか勉強せずに執筆するのも罪悪感を覚えちゃって……。

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