007─サイボーグ! ではないけれど、つなぎの風景
……章が切り替わってなかった。恥ずかしい。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。いっそ死にたい。
メッタメタだったじゃねえか。メタ過ぎだ。
なんなんだメタに触れる作品って。メタメタというかダメダメだ。
いやまあ、ダメダメなんだけれども。
弓良といい俺といい、本当に何やってんだ。
ダメダメ暮木兄妹。もとい、メタメタ暮木兄妹。どんな兄妹だ。嫌な兄妹だった。
いいや、知らないふりをしよう。知らないことは起こってない。章? 切り替え? なんだそれ、知らん!
「まぁた変な事考えてる……」
「なぜ⁈」
どうしてそんなことが言えるのか、という質問だったが、咄嗟の反応ではこれが精一杯だった。
俺も未熟だ。
「そんな顔してたのよ。あんたいつもまぬけな顔してるけど、今は特によ」
「まぬけ⁈」
自然に、超自然的に失礼な奴だ。超高校生級の失礼だ。
ほんのりと内心を読まれた動揺を隠しながら、別方向へと話のすり替えを試みよう。
これ以上話をメタくするわけにはいかない。
「いや……いや、ただパンツの事を考えていただけさ」
「パンツ?」
「しまった」
しまった。もっと訳の分からない方向へと話が転がってしまった。青華相手にこの時間、このタイミングでパンツの話を振るのもよろしくない。この間ここで青華のピンクのパンツを拝見してしまったのだから。
墓穴を掘った。
俺も未熟だ。
未熟過ぎた……!
「ち、違うんだ。本当は箪笥の事を考えていたんだ」
「箪笥?」
「あ、ああ。特に箪笥の角の事を考えていたんだ」
「………………」
じとー。
と、疑いの目を向けてくる。
まだ足りないか……。しかし、どうにか誤魔化さなければ。
本当ならここで無言を選択するなどするべきだったのだろう。謎の義務感、人魂に駆られたこの発言を、俺は数か月後悔することになったのだから。
「──箪笥の角を妄想して性的興奮を覚えていたんだ」
「? ……⁈ ──⁈」
青華が声にならない声を上げる。
「あ、ああああ、あんたっ、きゆう球、旧、ききき急にななななに言って」
「箪笥の角に、俺は果てしないロマンを感じるんだ……!」
……度し難いレベルの変態になってしまった。また属性が増えてしまった。
なんだよ箪笥の角に性的興奮を覚える変態って。
一周回る必要もなく新しい。
しかしどうだろう。咄嗟にこれだけの事ができれば未熟ではないのではないだろうか。
前向きに。明るく、ぽじてぶに。
「んっんん! そそそそんなことよりも!」
青華は別の会話に転換することを選んだようだ。
目標達成。
達した目標に対して被害が甚大すぎる気もするが──クールな俺は気にしない。
「……そんなことよりも、ええと……」
逸らした後の話を考えていなかったらしい。
可愛い。
「っもう! さっさと歩きなさい! この変態!」
「お前それ話を逸らした意味がなくなるだろうが!」
俺の反論も聞かずにズンズン進んでいく。
本当にズンズン聞こえるのだ。
おもしれえ。
そこから先日俺が凍らされた公園を横切り、数分。何か目印も何もない、何故かカーブミラーが設置された見通しのいいT字路に差し掛かる。
ここをクラピカさん従うと青華の家──凍羽家の別邸の一つ──に、逆に行くと俺の家に到着するルートに入れる。
これがギャルゲー、エロゲ―の類なら、あらゆるプレイヤーがクラピカさんの助言に従う事請け合いである。
そのT字路に着いて、俺たちの雑談と足が同時に止まる。雑談が本編、とはいかないのである。
「んじゃ」
「また明日──」
青華に背を向けてに歩を進め出す──
「次は氷漬け……」
そんな恐ろしい呟きを聞きながら。
遅くなりましたね。ま、カッコイイ私は気にしない。




