006・前編─奴らは悪魔だア
「で?」
「はい」
「はい、じゃないの。そんな言葉は求めてないわ。ったく、あーやだやだ、女の子の体見て、やれあの部分が好きだ、いやさここだって、汚らわしいったらありゃしない。ホントに、ふんとに!」
「いや、あの……」
「なに? なにか違うの? いろんな女の子の体見て鼻の下伸ばしてたんでしょう? なにか違うのなら言ってみなさいよ。ほら、ほらほらいつもみたいにキャンキャン鳴いてみなさいよ、この駄犬」
と。
まるでゴミを見る目というかまんまゴミクズを見るような目で見下してくる青華。
地面で正座させられてる俺から見ると長い髪とかで影ができててめっちゃ怖い。
「……ごめんなさい」
「ごめんなさい? 一体対して謝ってるのかしら」
「………………」
めんどくせえ……。
なんだこいつ、めんどくせえ……。
つーかなんで俺だけ正座なんだよ。他の奴等どこに行った。
そう思って周りを見渡すと無言で腕立て伏せをしている集団を見つける。全体が綺麗に並び、完全シンクロで一糸乱れぬ統率的腕立て伏せを見せつけている。
驚嘆の一言だ。
だってあいつら俺が顔を向けたら全員が一斉に同じ方向に同じ速さで顔背けたんだぜ?
「えーと……んー」
あれ、この場合は一体なにについて謝罪をするべきなんだ?
あっ、やべ、青華の顔がどんどん機嫌悪い方に変わっていってる。そろそろ手が出るころだ。さて、どうする……?
しかしそんな思案の甲斐虚しく、為すすべなく、俺の周囲が凍りつき逃げ場が塞がれた。
逃げるのコマンドが消されてしまった、あるいは、凍結されてしまった。残り移動可能範囲十センチ。
「ふぅん、くっだらない事で抗争起こして校庭の一部壊して、何を謝るべきか分からない? あそこの木が一本半ばから折れてるんだけど」
「ごめんなさい」
「しかもあんたが主導だったみたいじゃない? 死ねばいいんじゃないかしら」
まったく何も言い返せない。
「ミジンコだってこんなことしないわ」
「ミジンコごめんなさい」
「ミジンコ以下だって言ってるの」
「ミジンコですらないと⁈」
つーかミジンコじゃ無くたってやらないな。
しかし、このままじゃ確実に殴られる。ぐーで。
むう……。
「──青華」
と、できるだけ最小限の動きで立ち上がり、一歩、青華に近づく。
起死回生の一手。いくつかのリスクはあるが、俺の見立てだと成功率はそうは低くないはずだ。
その名も──話のすり替え作戦だ。
「な、なによ」
「俺は脚派だった」
「──は?」
「今回は、俺は、脚派だった」
何言ってんだこいつ、という青華の心の声が聞こえてくるようだった。
ま、そんなこと知らないが。
「いいか、俺は胸は重視していない。むしろ小さいのも好きだ」
「……っ⁈ な、ななななななに言ってるの⁈」
「俺は脚派であると同時に胸派であり、尻派だが、小さいのもそれはそれでいい。だから、気にしなくていいんだ」
「だだ、だからそんな話はっ……!」
「いや、いいんだ。分かってる」
包み込むように青華の手を握る。
「胸なんてなくたって」
「でもあるのとないのとでは?」
「ある方がいいっ!」
「………………」
「はっ!」
しまった! 思わず本音が!
いや、そんな事より、今のバカみたいな合いの手は誰だ!
再び、周囲を見回す。今度は探るように、ゆっくりと。そうすると、二人の男が目に入った。そいつらはグッと親指を立ててサムズアップし──ニイと悪魔のように顔を歪ませた。
そんな悪魔どもに俺は、親指を下に向けてやる。
「やっぱお前らかよ! なんなんだよ、この流れもう三度目なんだよ! いや、そんな事より、一体なんてことしてくれてんだ!」
なぜか青華がご立腹だというのに、そんなことしたら……
「すーずーとー?」
ほら、大悪魔がすぐそこに。
作戦は失敗だった。
はい、ハタスズです。ハタスズユイです。端的に言えばもう私立受験まであと約一週間、その後には国立、公立と控えています。実は私、私立二校、国公立二校で計四校を受ける事にしてるんです。なのでもう勉強に力を入れるためにこの投稿を最後に一か月ほど活動を休止いたします。もし、この作品を楽しみにしてくださっている方がいるとしたら、申し訳ありません。
まあ、そのうちにょっきり戻ってくるので、またその時まで!おばーん!




