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005・前編─第一次性癖戦争

よろしい、ならばクリークだ。

 春の、それも四月の末にしては太陽が仕事し過ぎてまるでもう夏にでも入ったかのような、そんな天気の午後。

 おい太陽、そんなに働くと過労で倒れるぞ、とでも言いたくなるような直射日光を浴びる女子の肢体を眺めながら、俺は、日陰で体を休めていた。


 いつも何かの説明をしてばかりで申し訳ないが、これは説明しなければならないだろう。

 俺の通っている高校では、特異犯罪(能力を使った犯罪)に対応する警備員、警察官、または、能力を使った格闘技やスポーツの選手を育てるというだけあって、体を動かす訓練の時間が午後の時間いっぱい取られている。

 今日は基礎体力訓練という事で、男は筋力トレーニング、女子はランニングと言うメニューが課された。

 男子の内数名(主に俺や筋太郎)は直ぐに筋トレを終わらせ、こうして日陰で休んでいる。……筋太郎だけはなぜか俺の隣でまだ筋トレしている。

 正直うっとおしい。


 長々と説明して申し訳ないが、実はここまでの話は実はそこまで重要じゃない。むしろ重要なのはここからである。

 本番開始だ。

 今の時代の学生諸君に問いたい。

 君たちのイメージする体育着とはなんだ。

 全国の学校では半袖短パンに長いジャージなどが使われているだろう。きっと、大抵の学生諸君はそうイメージしたはずだ。

 だが、どうだ。学生諸君ではなく、もっと上の年齢層の人々は。その方々はどんな体育着、あるいは、運動着を想像し、また、連想しただろう。先程挙げた物を想像した人もいただろう。しかし──もっと別のものを想像する人がいるはずだ。


 今の世ではほとんど絶滅してしまってみることのできない、伝説の体育着──そう、ブルマーである。

 ブルマーとは、ブルマとも呼ばれる女性用の運動着の一種であるが、その昨今の運動着との運動着との違いは、その形状にあると言えよう。簡単に言えば、そう、下着のようなデザイン。つまり、パンツだ。女性用下着のような形状の運動着だ。


 俺はその存在を知った時、どうしてブルマの存在する時代に生まれなかったのかを激しく後悔した記憶がある。

 もう察しているだろうが、そう。今、俺の……いや、俺たちの目の前に広がる光景は、そう、まさに楽園アルカディア

 嗚呼、白い太ももが眩しい。


 「なあ、筋太郎」

 「なんだ」

 「俺、この学校に来てよかったと、心から思うよ……!」

 「ああっ……!」


 ガシッ、と手を組む。

 もう涙まで出そう。

 これが男の友情か。

 嫌な友情だった。


 「見ろ、あの揺れ動く凶器ウェポンを」

 「見ろ、あの白き極大魔術カタストロフを」

 「ん?」

 「ん?」


 あれ、おかしいな。もしかして今、意見が食い違ったか?

 こいつ今、女子が走る度に揺れる胸に対して言及したか?

 友情崩壊の危機。


 「おい、おいおいおい、筋太郎。自分で何言ってんのか分かってんのか?」

 「何? 鈴人、お前俺の意見に対立しようってのか?」


 ああ⁈

 と、ガンつけ合う男二人。

 よろしい。ならば戦争クリークだ。


 「今の女子の格好を見てみろ。あの校長の趣味で無理やり押し通したという体育着を。素晴らしいだろう。こればかりはあの校長に感謝してもしきれない。確かに胸もいい。胸には夢と希望とロマンが詰まっている。だが、だが! 今はどうだ! この限定されたシチュエーション、格好、これが見られるのはこういった時間で、しかもこの学校に限られている。つまりは期間限定なんだよ。さらには俺の知能じゃ表現しきれないあの素晴らしき肉感、普段は隠されているエリアまで見えているのも高得点……やはり、見るべき時に見るべき箇所を見る。それがプロなんじゃないか?」

 「いいや、それは結局その期間限定と言う幻想に囚われているだけではないか。いつも変わらぬ魅力が女性の胸部にはあるのだ。走っている今の状況ならば、それに動きが追加される。動きがあるだけでそこにはさらなる力が追加される。断言する! それに目を奪われない男はいない!変わらぬ魅力、場合によっては凶器にすらなりえるポテンシャル、そういった総合的な視点から分析していくのがプロなんじゃないか?」


 俺らは一体いつから何のプロになったのだろうか。自分でもかなりの質量の疑問を抱いたが気にしない。

 先にも言った通り、これは──男の戦いなのだ。

 負けられない戦いがそこにはあった。

 ──しかし、俺と筋太郎の対立だけでも相当な争いになっているこの戦火にまた新たに、戦を拡大させる薪が投じられた──!


こういう話だけは早く書けるのですよねえ……学校でもダチとこういう話ばっか。因みに、私は脚派。

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