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003・後編─回想終了

 回想終了。

 あの時は本当にびっくりした。

 飛ばされて、角で右へ左へ曲がっていくんだもん。

 あの件では俺、勝手に腕輪足輪付けられて、また外されて、飛ばされただけなんだけど。

 ガチムチのおっさんたちと戯れたたけなんだけど。せめて校長(見た目ロリ―)と戯れたかった。

 なんなんだよ、まったくなあ、俺の霊力の制限には四つ必要的なこと言ってのに、二つになってるし、結局霊力は使えないし、命の危機は残ったままだし。

 ロクなことがねえ。

 これも全部メデスと校長が悪い。

 さて、普通に走っているおかげで人の通りもある道を抜けて幾つか角を曲がればそこはもう一本道。あそこは亀有(大嘘)。

 一つの橋が架かり、サイドに海が広がる。後は橋を渡れば到着ミッションコンプリートだ。


 (よし、直線一本ダッシュ……これ何メートルあるんだっけ……)


 と、盗んだバイクで走り出そうかというその時、背後から走って来る音が聞こえてくる。

 その音は(恐らく)一直線に走って──飛んだ(音がした)。

 そしてその飛んだ直線方向への力はほぼ減衰することなく俺の背中に突き刺さる。


 「ぐっは」


 前のめりに倒れる。

 かろうじて顔面直撃は避けたが避けられたとしても結構危ない攻撃である。

 青華だってたまにしかこんな事……し、ない……うん、しない。しないと思う。しないんじゃないかな。まあ、覚悟はしておこう

 うん。うんうん。さてさて、俺にハイキックかましてきやがった奴のご尊顔でも拝んでおきましょうかね。

 にっくきお顔でも拝見させてもらいましょうかね。

 顔を上げてみると(俺を蹴ってそのまま俺の前に着地したらしい)顔や体には特にこれという特徴は無いがただ一つ、その頭。思わず二度見してしまうような天然パーマ。


 「……いや、つーかお前かよ!」


 もはや覚えている人がいるかも分からない影の薄い、そして出番のなかった天パ。

 はん天翔あまとだ。

 さっきの飛び蹴りからすると、ペガサスでもいいかもしれない。


 「あんなに無防備に背中を晒されては攻撃しないわけにはいかず……やむを得ず……!」

 「あんな見事な跳び蹴りがやむを得ないものであってたまるか!」

 「反省はしている。だが、後悔はしていない。俺は、後悔だけはしない男だから」

 「かっこいい!」


 ここまで話してようやく立ち上がる。


 「で、お前も遅刻か?」

 「おう」

 

 おうって……普通に言うけど、お前……まあいいか。

 こいつの遅刻なんて今更だ。

 んでもって、俺も天翔も遅刻常習犯。

 

 「今日は?」

 「ちょっと昨夜は彼女が」

 「一瞬でバレる嘘を即答すんな、俺ら意外とまともに会話できないお前に彼女なんているわけないだろ」

 「……ええと」

 「考えるなや!」


 そのままあったこと話せばいいだけだろう。大喜利してるんじゃねえんだぞ。

 珍しいだろ、話している途中で次の返しが思いつかなくて悩む奴。

 まあ、こういうところが天翔らしい、とも思うが。

 天翔は基本的にはボッチ気質でコミュ障の人間だ。俺と筋太郎きんたろう、後は親兄弟としかまともに話せないだろう。慣れた人間としか話せない。

 普段から人間と話をしない奴が急に大喜利しようとしたって無理な話だろう。


 「まあ、実は単純に寝坊。そっちは?」

 「朝起きたら間の前にゴスロリ少女とか、バカな兄弟とか」

 「なんで前半に一瞬でバレる嘘を即答した」

 「バカな兄弟の方も否定しろよ」

 「少なくともお前は馬鹿だ」

 「そんな馬鹿な」


 そんな馬鹿な、だ。

 他の人の朝食を全部食って行った弟とちょっとの失言で蹴り入れてくる妹は馬鹿じゃないのか。

 常々、俺は世間の妹幻想やらなんやらと兄弟に憧れを持つ奴らに苦言を呈したいと思っていたのだ。

 兄妹なんていても、そんなにいいものじゃない。

 下兄弟が可愛いのなんて本当に小さい頃だけだ。

 全く何であんなのに育ったんだ? 誰に似たんだか。


 「そういえば、お前は妹キャラと幼馴染キャラが好きだったな」

 「馬鹿野郎! 俺はもっといろんなキャラが守備範囲だ! この天然パーマは広いジャンルに絡みつくんだよ!」



 そんなこんなで、もはや走るなんて考えは霞と消えて、歩き続けて大体十分位でようやく学校に着いた。

 なんでこんなに遠いんだよ。

 橋ぐらいもっと短くしとけや。

 まあ、言ったって仕方ないんだけどもさ。

 その後、校門をくぐって捕まって、職員室に呼び出されたことは言わずもがな、というやつである。

 遅刻で捕まったのも呼び出されたのも俺だけだったことをここに報告しておく。

ええ、理解しております。理解しておりまする。私の作品がなろう受けするタイトル、内容でも、一般に出回っているライトノベルのような面白さも、無いことは重々承知しております。

でも、それでも、私は──評価が、ほしい……!

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