021・後編—星の行軍
週の初めって月曜日のイメージが強いですよね。つまりは日曜日も週初めで、月曜日も週初めと言うわけですよ(錯乱)。つまり昨日のは先週分で、今日のは今週分……でもやっぱり日曜日にも投稿するんだろうなあ……結局どっちが週初め?
「あ──あ、青華……」
そこに現れたのは、俺が助けに来た少女。青華だった。
え、あれ、だってお前木に吊るされてるはずで、あれ?
「はは、これじゃあどっちが助けに来たのか分からねえな」
青華がどうしてここに居るかはともかく、これじゃ立場が逆だ。俺が青華を助けに来たはずが、俺が青華に助けられている。
情けねえなあ。
「ホントよ。あんたが遅いから自分でどうにかしちゃったわよ。……まあ、でも」
照れくさそうに、青華は言う。
「ありがとっ、助けに来てくれて」
風が一陣、吹き抜けたような気がした。
その一言だけで、これまでの俺の全てが報われて、その全てに意味があったように思えたのだ。
「……そういうのは、ちゃんと助かってから言うもんだぜ」
「そうね。それで? あんたはもうギブアップかしら? 鈴人」
「ハッ、冗談」
報われても、意味ができても、まだ終わってはいない。
これ以上、青華に情けない所は見せられねえ。
「まだやれるさ」
「そう。じゃあ鈴人、さっさと私を助けなさいよね」
「任せろ」
立ち上がる。
前を向く。
気力を振り絞れ、霊力を動かせ。
まだやれるんだろう暮木鈴人!
「おおおおおおおおお!」
自分を叱咤し氷の壁を破壊する。
砕いた向こうにはウルスが待ち構えている。俺の目的はさっきと何も変わらない。青華を助ける。それだけの為に俺は拳を振るう。
爆発が起こる。
もとより俺の武器はこの身一つ。制服が焼け焦げようが構うものか。
俺の体が炎に包まれる。強い衝撃が全身に響く。
もう、飛ばされたりしない。
目をつむりながら爆炎の中を一直線に進んでいく。
爆炎が発生している一瞬を駆ける。
拳を、振り抜く!
が、行動を読まれていたのか既に防御の構えを取られていた。
ウルスは後ろに自ら跳び衝撃を緩和し、後退する。
「アー、あのちびが居るってこたア、ノーフィアはドジっちまったようだなア」
「らしいな。そのノーフィアって奴がどうなったかは知らないがな」
「テメエもよくそんな体で動けるもんだ、爆発の直撃を食らってんのによオ」
「お前には言われたくない」
「ごもっともだなア。だがいくら動けた所で意味は無い。今の一撃、明らかに前の一撃よりも弱かったからなア。今のテメエじゃ力不足だ」
足りない。
今の俺では一撃の威力が圧倒的に足りない。あと一撃でどうにかなる訳じゃない。あれはどう見てもあと十発は受けても大丈夫そうだ。俺の体感的にはそのぐらいだと思う。
そうでなくとも最悪の場合を想定しておくべきだ。
圧倒的に今の俺には火力が、力が——
(ん? 力?)
頭の中に、黄昏色の景色がフラッシュバックする。
そうだ、あいつはあのとき確かに言った、『君が呼べば僕はいつだって出てくるからね』確かにそう言っていた。
大きく息を吸う。
こうなったらもうこれしかない。
得体のしれない物だろうが胡散臭いもんだろうが構わず使うしかない。
これはよく考えた結果だ。
「メデスッ──! 出てこい! あの時の返事を今返してやるっ! いつでも出てくるんだろう──⁈」
辺りが静まる。誰も動かなかった。誰も何も言わなかった。
そこに、明らかに別の存在が介入してきたのだ。
澄み切った冷水のような圧倒的存在感。
謎のゴスロリ少女メデスちゃんが。
「よく、考えられたかい?」
「ああ、よく考えたさ」
「それで、答えは」
轟音、爆発音だ。
ウルスがその能力を発動させた。
が、それが俺達を飲み込むことは無かった。
水の、水の膜が爆発を飲み込んだのだ。
「今大事な話をしているんだ。後にしてくれないか? 君だって、別に今すぐに命を散らしたい訳じゃないんだろう?」
メデスの圧力が一気に肥大化する。
「この気配、この圧は……テメエ、あいつと同じ……!」
同じ? それは、メデスと同じ存在を知っているという事か。
それはつまり王権戦争の関係者が、ウルス達の近くにいるということか?
「さて、それじゃ、返答を聞こうか」
「俺は、ああ、その王権戦争に参加してやる! だから、今直ぐにに力を寄こせ!」
「っくふふ、あはは、あはははは! そう来なくっちゃ! ……では聞こう! 汝、その意思に揺らぎは無いか!」
「ああ!」
メデスが俺の上に浮き上がる。
「ならば、このガニュメデスの名において、汝の王権戦争への参加をここに認めよう!」
視界が光に包まれる。
白い、黄金の光。
胸が熱くなる。
力が溢れてくる。
まるで、自分がこの場の王様にでもなったかのよう万能感が満ちる。
次に光が収まると、そこはまるで別世界のように見えた。
いつの間にか暗くなった空から黄金色の光が舞い落ち、足元の地面から白銀の光が湧き出ている。
爆発によって受けた火傷も消え、それ以外の傷も全て消えている。
「それこそが、王権の力の象徴にしてその源、星の力さ」
「星の、力」
なるほど。星。だから空は夜のように暗くなったし、空からは黄金色の光も降ってくるわけか。
ウルスに向き直る。
できる。あいつの化物じみた頑丈さもこの力なら、貫ける。
「ただし、今の君は力に目覚めたばかりで完全に引き出せるわけじゃない。出せて精々6割だ」
6割、むしろ丁度いい。
この力、全力で使ったら、人の命なんて簡単に奪えてしまう。
いや、ウルスのような鉄人、超人では無く、常人であれば、この力の1割でも簡単に死んでしまう。
これが10割引き出しても、世界から見たデュルビュイみたいなもんらしいから恐ろしい。
……分かる。この力の使い方が。動かし方が。
辺りの光が俺の腕に吸収されてく。
右腕に星の力を集中させる。
見える。彼の王の道が。
聞こえる。彼の王と共に歩んだ者たちの勇ましい声が。
凝縮された力がその方向性を与えられるのを今か今かと待っている。
ああ、行こう!
「機は熟した! さあ! その名を叫ぶがいい!」
メデスの声が聞こえると共に、瞬時、光の道が目の前に拓かれていく。
──宇宙に輝く星の光。
万物万象を照らす不変の光。
それこそ、兵どもの夢の跡。
人は死して星となる。
進軍せよ!
「これで終まいだ! 星の───行軍!」
黄金と白銀の光の奔流が全てを蹂躙せんと進軍を開始する。
ただ真っすぐにそのオレンジの弾けるような爆発を吹き飛ばし、王道の障害を取り除く。
「あ、あア──こりゃ、ダメだな」
そして、星の軍勢は障害を敵を飲み込んだ。
ブクマ、ポイント評価、感想に誤字脱字報告をお願いします(強欲)。ぜひ、この中坊ハタスズに養分を……。




