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021・中編ーよく喋る敵はだいたいうるさい

テスト終わったやったね記念投稿。

 ウルスの手の中に一本の棒が現れる。

 ある種の武器を作り出す。それがあいつの能力か!

 ウルスは超人的な速さで接近し、作り出した棒を振り下ろす。それと同時、後ろに跳んでそれを躱す。

 宙を空ぶった棒はそのまま振り下ろされ、地面を抉る。


 (あ、あんなの生身で食らったら一たまりもねえ……!)


 しかし、そんな俺の心情など知る由もなくウルスは攻撃を続ける。基本大振りで避けられない訳じゃないが、それでも速い。これじゃあいつか受けてしまう。

 なるべく体力を温存しなければ、そう思って腕に霊力のプロテクターを作り出す。とりあえず、纏っていれば痛みは弱まる。原理はよく知らないが。

 そして横の大振り。

 これなら止められる、とそう思い霊力を纏った方の腕で受け──ようとした。


 「──っ⁈」


 ウルスの棒が俺の腕を捉えようとしたとき、ウルスの顔が酷く歪む。それは、酷く似合った悪人面だった。

 その瞬間、あることを認識した俺は咄嗟に腕を引き、体を逸らして棒を避ける。

 そんな、まさか……!


 「驚いてる暇なんか無エぞオ!」


 その言葉のとおり、驚く暇もなくウルスの左足の蹴りが俺の体に放たれていた。

 さっきの右の大振り、左手に持った棒を振った勢いをそのままに蹴りを打った来たのか!

 今度は避けることも受けることもできずに攻撃を受けてしまう。


 「ぐ、う!」


 軽く左に飛ばされる。


 「そ、それ……」

 「あア?」

 「霊力を霧散させたのか……!」


 腕の霊力剥がされた。さっき俺が棒の攻撃を受けずに避けたのはそれが理由だった。

 吸収ではない、と思う。俺は霊力を見えるほどに凝縮させて霊力そのものが物理干渉できるようにしている。それは、水蒸気を水に、水を氷に変える、水の状態変化と同じようなことだ。

 さっきプロテクターを剥がされたとき、霧散させられた霊力の粒子が舞い上がっていた。それは、吸収では無く、拡散、霧散と言っていい現象だろう。


 「そう、そうだ。こいつはこいつが触れた箇所の霊力を霧散させる。そしてエ……こんなこともできるゼ?」


 そう言って棒を俺に見せつけるように前に出す。そして、起こった現象も、俺を驚愕させるには十分すぎる事だった。

 棒が伸びた。

 形が変わった。

 それは、もう『棒』では無かった。

 薄刃で、片刃。刃の横には波々とした模様ができている。

 それは、そう、日本刀、だった。

 日本の伝統工芸品にして芸術品。

 『棒』から『刃物』に変わったのだ。

 変わった、だけじゃあここまで驚かない。そういう能力なんだと言うしかないのだから。

 しかしこれは、それだけで驚くべきことで、更にはそれだけで脅威である。


 「ここは日本だからなア……そオれエ!」


 また、飛び込んでくる。

 右から来る!

 後ろに大きく跳び、足に霊力を溜める。


 (振り切ったところで反撃に出る!)


 大振りの隙を突く形で拳を振る。

 が、それは刀の峰で防がれてしまう。


 「い、痛ってえ!」


 防がれたが、拳は勢いのまま振りぬいた。吹き飛んだウルスは唸りながら飛ばされていく。

 いや、そんな事よりも俺のダメージの方が深刻だった。まあ、それはあまりにも大仰な言い方だろうか。

 大仰と言うか大げさだ。

 こんなの青華に殴られたときに比べれば、全然痛くねえ。

 若干の痛みに悶えながらも、またウルスとの距離を詰める。

 拳を振る。

 数多の不良たちを沈めてきた喧嘩殺法パンチ。

 型とか術理とか全くないし、殴るだけだけど。

 また、刀の峰に拳が当たる。

 わざわざ刃の方じゃなくて峰を向けているのはなぜだろう。

 俺にとっちゃ都合のいい事だからツッコんだりはしないが。

 拳から血が滲みだす。皮が剥がれているんだ。しかし、ダメージを受けているのは、俺ばかりじゃない。

 みしり、と、刀にひびが入った。

 ウルスの顔が驚愕に染まる。


 「ちいっ! ちょっとヒビ入れたぐれエで、調子に乗るんじゃあねエぞ!」


 刀を横に大きく振られ、距離を取られる。


 「テメエ、いったいどういうカラクリだア? 素手で、霊力のプロテクターもねえ状況で、一体どうやってこんなことしやがった」

 「お前が言ったんだろ。そいつは触れた箇所の霊力を霧散させるって」


 血に塗れた拳を、ボロボロになった制服で拭う。


 「じゃあ、簡単だ。()()()()()()()()()使()()()()()()()()()


 簡単な事。直接触れた箇所の霊力が無効化されるのなら、霊力を使わなければいい。ただそれだけの事だ。

 馬鹿みたいに痛いし、もう泣きたいけれど、そんなのはもう今更どうと言うことは無い。

 あ、ちょっと涙出てきた。


 「あとはもう根性だ」

 「大した根性じゃねえかア。事前の情報じゃア甘ったれたガキだってエ話だったのによオ」

 「あ? 情報?」

 「こんなところ襲おうってんだア。俺だってブリーフィングぐらいは受けらア」


 こいつがブリーフィングをまともに受けられるのかという事を真っ先に疑問に思ったが、注視すべき点はそこではなく、事前の情報、の部分だ。

 情報ってそれは——どこかからか漏れてた、ってことか?

 確かに俺の体質的に、突っかかってくる奴もいる。それでなろう系お約束の決闘騒ぎもあったが、あれだってほとんど受けてないし、受けたやつも見ていた奴もほとんどいなかった。

 じゃあどこで漏れたんだ?


 「まア、いいかア。無くたって変わんねエ。俺はテメエをとにかく、殺して、殺して、殺して! 殺す、だけだからなア」


 そう言って、日本刀をまた棒に変える。しかし、ただの棒じゃない。先がとがった棒だ。

 恐らく、あれで突かれたら、本当に、ただじゃあ済まないだろう。

 間違いなく風穴が空く。


 「なるべく、キレーな状態で回収するつもりだったがア、そりゃやめだア。ああ、ああ! べっつに魂が回収できりゃあいいんだもんなア。腕が捥げようが、灰になろうが──」


 スッと腕を前に上げる。橙色の粒子が集まる。

 その動作と現象はまるで、そう。能力を使うときのあの男みたいな──

 何をしようとしているのか、そのことに思い当たった時には既に遅かった。


 「バン」


 瞬間。閃光が俺の視界を包み込んだ。

この話と間違えて前に投稿してしまいました。申し訳ありません。

是非よかったらブクマ、ポイント評価、感想などなどよろしくお願いします。

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