018・中編2—外国人設定はやがて忘れ去られるもの
「——調子に乗るなっ!」
「——っぐう!」
かってえ!俺の方がダメージが大きいんじゃないか?
なんて、考えてる場合じゃない!
頭突きのおかげで男の動きが止まった!
一、霊力を腕の周りに纏わせ——る余裕は無いから何もせず!
二、肘などに霊力を溜める!
三、溜めた霊力を放出し、殴る!
「お——おおおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
全力の一閃。
男の拳が疾風だとするならば、俺のはまさに彗星の如き一撃。
それが目の前の男の腹に突き刺さる。
だが——まだ、まだこれじゃあ足りない。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
連打、連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打連打!
ひたすらに拳を打ち込む。
顔に、胸に、腹に、ひたすら打ち込む。後半からは、霊力を込めるのも間に合わなくなる。
込めるのではなく、ずっと垂れ流し続ける。噴出し続ける。
殴った。殴った。殴った。殴って、殴って殴り続けた。
しかし、相手もやられてばかりでは居てくれない。ガシッと腕を捕まれる。
「Don't get on with it!」
何を言ってるのかは解らないけど、怒ってるのは分かる!
「お、おお?」
俺の腕を掴んだまま体ごと振り回して……?
振り回して?
……振り回して⁈
「ちょ、ま、うぎゃあああああああ!」
飛ぶ、さっきも風に十メートル程飛ばされたが、今度はもっとだ。
およそ三十メートル。
平坂が俺に飛ばされたのは、俺が平坂を飛ばしたのは、このくらいの距離だった。
ああ、そうか。こんな気分だったのか。あいつ。
ずん、ずん、ずん。
青華とは違う、体の大きさによる圧力。一歩一歩確実に近づいてきている筈なのに、歩んでいる筈なのに、もう二十メートルは近づいてきているように見える。
ふと、男がおもむろに腕をこちらに向けて、水平に構えた。
「?」
あいつの能力は突風を起こす事じゃなかったのか?
手の平が夏場の道路のようにゆらゆらと……。
「嘘だろ⁈」
目の前で起こった現象に思わず声を上げる。
力の限り思いっきり横に飛ぶ。
何か——透明な何かが先ほどまで俺が居たところを切り裂いて行った。
道路に大きく切れ込みが入っていた。
(あ、危ねえ……あと少し遅かったら……)
あと少し遅かったらと思うと、ぞっとするし、ぞっとしない。ここがギャグ時空、あるしはギャグパートなら真っ二つになってもあるいは無事(真っ二つは無事ではないとは思うが、そこはまあ、ギャグだから)なのだろうが、残念ながら、残念ながら、ここはギャグ時空じゃないし、今はシリアスパートだ。残念なことに。
「なぜそこまでギャグパートにこだわる?」
「うるせえ、地の文を読むな。これ、設定上は俺の心象だったり、後語りだったりすんだよ。そんな事より今のは何だよ、お前の能力、突風を起こす事じゃなかったのかっ?」
「そうだとも言えるが、そうだとも言えない」
「?」
つまり惜しいって事だろうが、どういうことだ? 突風を起こすことも能力だがさっきの……かまいたち、のような現象も能力という事か?
と、聞いて敵から答えてもらえるとは思ってはいなかったが以外にも、男は、俺の予想を裏切ってきた。
「俺の能力は空気のCompression ratio……圧縮率、だったか、まあ、そんな感じのものを扱うことだ」
「?」
聞いても解らなかった。
英語も何を言っているのか分からなかった。
後語り的な俺(天の声)が解説すると、空気を圧縮し、それを一気に解放することで突風を起こしたり、突風を起こすときよりも多くの空気を圧縮し、それを解放した後にまた一定の逆方向、上からと下から、右からと左から、そのようにすることで地面を切り裂いたりすることができたのだ。ちなみに、夏場の蜃気楼にようにゆらゆらして見えたのも、空気が圧縮され過ぎて光が屈折して見えていたのだ。
それはさておき。
「お前は」
「ん?」
「お前たちは何が目的なんだ?」
やはり、襲撃するからには目的がある。どんな正義にも理由が有って、どんな悪にも理由が有る。理想が在って、目標がある。
ぞんな俺の問いに対する答えも、やはり、今度こそ敵の口からは聞けないようだった。
「…………」
「今度はそっちがだんまりかよ」
一瞬顔を曇らせた気もするが、気のせいだろう。
今の俺の心情が、そう錯覚させただけなのだろう。
「お前は、あんたはそんなに悪い人には見えないよ。だってあんたは、あくまで俺を殺さずに抑えようとしてくれてただろうが」
「……俺の目的はここから先に誰も通さない事だ」
「そうかよ」
やっぱり、何も答える気は無いか。
なら——
「やっぱり、お前を倒すしか無いらしいな!」
俺が前に飛び出すと同時に、目の前に緑色の粒子が舞い上がった。
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