018・中編ー戦闘開始……戦闘?
日本語うますぎい!
突風。
人一人を吹き飛ばすような風が自然に、天然で、このタイミングで起こるわけがない。
人為的、目の前の男の能力だ。
つまり、あいつの能力は、『風』か!
風を起こす能力。様々な二次元作品で使い尽くされた能力ではあるけれど、ハッキリ言ってそれらの作品で見るほどに弱いイメージのように弱くは無い。
むしろ逆だ。風はつまり空気だ、空気なんて見えるものじゃない。
不可視の力があらゆる方向から襲い掛かってくる。厄介極まりない。
「ぐ、ううう!」
このままじゃぶつかる!
俺の飛ばされた先には橋の端、手すりのようなものがある。
この勢いでぶつかったら、怪我どころの話じゃない!
十メートル程飛ばされ、後は約二メートルのところで、力のままに無造作に手を横に出し、霊力を噴出させる。
倒れはしたものの、何とかぶつかるのは避けれた。
「お前は、悪運が強いというやつなのか、不幸と言えばいいのか。今ので終わっててくれれば、命は助かっただろうに」
「まるで、俺を本当に殺したくないって言ってるようじゃないか」
「さっき残念だと言ったと思うが? 進んで人を殺したいと思う人間などいるものか」
お前が言うのか。他でもなく、学校を襲撃している襲撃者の一員であろうお前が。
「それにしても面白い動きをするな。霊力の逆噴射で移動を可能にするなど、相当の量の霊力が無いとできない芸当だ。というか普通はできない。それとも、霊力ではなくそういう能力なのか」
「…………」
相手はテロリスト、大人で、こういった戦闘においてのプロだ。まっとうに戦って勝てるわけがない。
どうする? 一気に抜けるか……いや、それだと後ろから狙われるか、さっきの感じだと風に押し戻されるだけだ(押し戻されるというよりは吹き飛ばされる)。
「だんまりか」
一か八か突っ込んでみるか? 少なくとも後ろから攻撃されることは無い。
というより、俺にはこれしか攻撃も移動も手段がない。
突っ込んでいこうと覚悟を決めた直後、またもや突風が吹き、俺の体を飛ばしていく。今度は前に、だ。
「突っ込んでこられては面倒だからな」
「っ!」
男が拳を構えている。
とっさに男の拳が当たるであろう箇所、胸部にガードの体制をとる。
男の拳が振り抜かれる。
突風の煽りをうけ、一陣の風となったその拳は容赦なくガードの上から俺の体を殴りつける。
その威力によって飛ばされた体は、橋の上を転がりやがて止まりうつぶせに倒れた。
(なんつー威力だよ、腕が痛てーや。制服も破れてる。かろうじて、折れてはいないか)
腕の痛みに悶えながら立ち上がった俺に今度は前から突風が吹き、次は横、上、後ろと様々な方向から風が俺の体を引きずろうとしてくる。
連続に、断続的に吹き付ける突風になす術無く飛ばされ続ける。
瞬間、一段と強い風が俺を男の方へと飛ばす。
男はまたも拳を構えている。
しかし、次に振りぬかれた拳は突風による加速は無く、ただ速い、だが目に見えているだけ威圧感の有る普通の拳だった。それでも外国人の成人男性。やはり普通に、どころかかなり痛い。
しかも、飛ばされない分今回は連続だ。
だが、一撃一撃が意識を刈り取りにかかってくる。
蹴られ、殴られ、突かれ、嬲られ。
怒涛の連続攻撃。
「ぐう……があ!」
一撃、最後の一撃だけ突風により加速され文字通り風のような拳が俺の体に突き刺さる。
(ここを逃すと、次はもう無い!)
吹き飛ばされそうになる体を、足から霊力を噴射し、無理やり前に飛ばす。
そしてその勢いを保ったまま、男の額に頭突きを食らわせた。
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