012・後編—面白い話をしてって言われるのってちゃんと返せる人はいるのだろうか
(なんか静かだと思ったら、どっかいったのか。飽きたのか、呼ばれたのか、興味無かったのか……)
高確率で飽きたな。2ポンド賭けてもいい。
そりゃ静かな筈だ。居ないんだから。
それがどうしたという問題だが。
「本当ですね。いつの間に居なくなったんでしょう?」
「さあ、青華のことだから飽きたんじゃないか?」
「へえ、凍羽さんは飽きっぽいんですか。めもめも」
そのメモは一体いつ、何の役に立つんだ。
おい、やめろ。重要そうにグルグル囲むんじゃない。
俺のインタビューの時より興味深そうにするんじゃない。
「それで、普通じゃない暮木君」
「普通じゃないとか言うんじゃねえ」
気にしてんだぞ。
人は皆、普通でありたいんだよ。
「そんな暮木君と凍羽さんはどういう関係なんですか?」
「どういうって……」
俺と青華の関係……?
言われてみればそこまでハッキリした関係ではないような。
「あえて言うなら……友達?」
親友、と言えなくはないだろうど、なんてーか、恥ずかしい。
「えー。詰まんないですね。面白くないです」
「なんで、関係性で面白さを求めなきゃいけないんだよ」
「もっと浮ついた話とかないんですか?」
断じて俺と青華の間にそういった関係は無い。
大した理由もなく凍らされるラブコメとか嫌だよ。
「まあ、浮ついたってか、浮いた胸がキュンキュンする話ならあるぜ」
「胸がキャンキャン? ああ、青華さんの事ですね」
「胸が女性雑誌ってどういうことだよ!あと絶対にそれ本人に言うなよ!」
どんな聞き間違いだ。
関係ない事だが、胸って2行も続いていると何かイヤらしい話をしているような感じになってるな。
「関係無い事ですけど、胸って2行も続てると何かイヤらしい話をしてるような感じになってますね」
「言うなよ! わざわざ言わなかったのに!」
わざわざ言わなかったのに。初対面の女子の前だと思って言わなかったのに。
「で、何の話ですか?」
「地上数十メートルからの器具なしスカイダイビングの話」
「胸がキュンキュンします!」
以下、下らない話である。
閑話休題。
霧崎さんの胸をキュンキュンさせたところで要望には応えた為、次に進んでもらおう。
このままではいつまでも話が先に進まない。
「さて、暮木君のせいでそろそろ時間も押してきてますから、ちゃちゃと取材しましょうか」
「お前から脱線したんだよ」
霧崎さんは俺の抗議を無視して話を進める。
「それで、暮木君。最後の質問なんですけど、椋木さんから見て『特異者』はどう見えますか?」
「どう見えるか……。そうだな、芸人?」
タネも仕掛けもあって、『普通の人』にはできないことをやる。それはまるで、芸人のようじゃないか。
「芸人、ですか」
「おう」
「なるほど、面白い考えですね。……じゃあ、最後に写真いいですか?」
芸人については深く聞いては来なかったが写真が欲しいらしい。
霧崎さんはカメラではなく、指で四角形を作りこちらに向けている。
?写真を撮るんじゃないのか?
「なあ、写真を撮るんじゃ……」
「ああ!動かないでください!」
「えっ」
「私の能力は『写真』なんです!」
「じゃあ、そのカメラは何の為に持ってるんだ!」
「キャラ作りです」
「雑だな!」
(?)の付かない楽しい会話で俺の昼休みは終わったのだった。
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