028・中編─諦めたらそこで試合終了ですよ
エタってないよ。全然続くよ。
(いっそのこと、もう足を完全にぶっ壊す覚悟で……)
と、半ば覚悟を決めたその時。背後から爆発的に溢れてきた白い粒子に俺と青華は包まれた。
「軽い、ってか速ッ!」
己の身に唐突に起きた異変に俺たちは目を白黒させる。空中に居るのにも関わらず、突然体が軽くなったことが感覚で分かる。自分の目に見えて飛翔速度が急激に早くなったことが目に見えて分かる!
「重力の影響を限界まで軽減した。これ以上は体が内側から破裂する」
「ちょっとソレ大丈夫なんでしょうね⁈」
「やめ、暴れんな……!」
事故る事故る。
コレ滅茶苦茶スピード出てるから少しコースがズレるだけで壁面衝突まっしぐらだ。メデスもさっきから無干渉決め込んでやがるから、もういざという時の備えも……。
ん?
あれ、備えが無い?
「備え……?」
そう言えば、どうやって地上に降りればいいんだ? コレ。
少しでも速度を落とせば捕まってしまう現状じゃ、減速はもとより、穴を抜けてから高度を下げることもできない!
二度の加速により既に爆発的に伸びた跳躍距離により、大穴の出口が急速に迫っている。出口は目前、敵の魔手はもう指の先が掛かろうとしている。
取れる選択肢は無く。
ご都合主義を招くだけの運も無く。
危機を免れる為の保険も無く。
命を惜しむ時間すら無く。
正に八方塞がりという状況。
だから、俺は──
「鈴人ッ⁈ アンタなにやって……!」
「………………」
考えることを諦めた。
弾けるような衝撃を受けながら、一気にマッハ0.2上げてマッハ0.5の亜音速の世界へと突入する。
限界を超えた出力で放出される霊力に耐え切れず、脚の皮膚が裂け、赤黒い血液が噴き出した。
そして、次の一秒後。
世界は満天の星に包まれた。
言い訳をすると、忙しかったんです。この三か月、留年を回避するために策を講じたり、普通免許を取ったり、イドを攻略し、アクアマリ―を倒したり、忙しかったんです。




