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027・中編2─「次回飛ぶと言ったな」 「ああそうだ大佐……!」 「アレは嘘だ」

うわぁあああああああ!

 「そ~んなに危ないならしっかりと捕まっておかないといけないわね~~ッ!」

 「ちょ、まっ、せいk、く、くびっ、首首がしまっt──」


 立ち上がることも難しいような体のくせになんて馬鹿力してやがる。


 「もう、もうっ! 降ろして! お~ろ~し~な~さ~い~!」


 今度はぐいぐいと顔面を押しのけて来る。背中に羽重を乗せたままだからそこそこ面白い絵面になってしまっているだろう。


 「なに言ってん、だ。降ろ、し、たらここに置き去りになっちまうぞっ」

 「置いて行けばいいじゃない! どうせ、どうせ私の事なんてどうでもいいんでしょ⁈ いつもないがしろにして、隠し事して……置き去りにして!」

 「別に蔑ろにしてるわけじゃ……!」

 「してる! メデスってのことも、この間の事件のことも私に隠してた! 私の、私のっ!」


 不完全燃焼だったのだろう。

 欲求不満だったのだろう。

 ずっと溜め込んできて、吐き出せずにいて、そしてそれがいま限界にきて爆発した。

 分かっていた。青華のその見た目相応の幼稚さは。予兆もあった。引き起こしたのは俺の不甲斐なさであることも分かってる。何で今このタイミングなのかは分からないが。

 理不尽な怒りだ。

 我儘な癇癪かんしゃくだ。

 きっとここで青華に怒鳴り返したって誰にも怒られることはないだろう。

 でも、それでも──


 「私の味方してくれなかった! 助けに行った私じゃなくて、千鳥ちどりの味方した!」


 頬を伝う、雫を見た。

 歪んだ小さな顔を見た。

 押し殺すような嗚咽を聞いた。


 「お、俺は……」

 「……って言ったくせに」


 かつて、羽重邸でも聞いた言葉。

 俺の一つの決意を表し──そして、俺と彼女の仲違いの言葉。


 「好きって、言ったくせにっ!」


 なにも言えない。

 その身体が震えていたから。

 その悲痛な叫びを聞いたから。

 その、涙を見たから。

 なにも言えないでいた。


 「本当はどうでもいいんでしょ? 邪魔だったんでしょ? なら、私なんて置いて行けばいいじゃない!」


 もう息すらもできないような錯覚を──


 「ってんなわけあるかぁーー!」


 そんなわけない。

 そんなわけにいくかよ。

 お前の気持ちも、俺の覚悟も、気持ちを抑え込んで、こんな所に置き去りにしていい訳が無い。俺と青華の関係はそんなに安いもんじゃ無かったはずだろうが──!


 「言ったよ、言ったとも! 俺はお前が好きだって! 大好きだよ! もうこれ以上ない程惚れこんでるよ正直! でもさ、それとこれとは全く別の問題だろ⁈ お前が好きだから、大事だから危険な事に巻き込みたくなかったから、たくさん隠してることだってある!」


 メデスの事も。王権戦争とかいう馬鹿げた戦いのことも。ただ青華を巻き込みたくないという一心で何も話さないできた。この一か月、話題に挙げたこともない。


 「でもさ、それの何が悪いんだよ。いいだろ隠し事くらい、誰にだってある事だろ。なんならずっとお前は重くてめんどくさい女だと思ってた事だって隠してたさ!」

 「なぁっ」

 「だってそうだろ。勝手に機嫌悪くして勝手に喧嘩始めやがって、しかもその原因が自分以外に味方したからって、こんな重い上にめんどくさい女が他に居るかってんだ」


 重いし、めんどくさいし、痛々しい。


 「それでも、側にいる。困ったら助けてやる。味方でいてやる。惚れちまったもんはしょうがない」


 けどな


 「俺は確かにお前に惚れてるし、大好きだけど、その前に俺はお前を友達だと思ってる。その友達が悪い事やろうとしてるのを止めることもできないんじゃあ、俺は友達ですらいられねえ」

 「そんなの勝手じゃない。だって、ち……羽重はあんたを誘拐して」

 「勝手なのはお互い様だろ」

 「でもでもでもでも──」


 せっかく少し落ち着いた青華がまた取り乱し始める。

 もう喋るのも辛いだろう体を無理に最小限ジタバタさせて最大限ダメージを与えて来る。


 「あぁ、もうっ!」


 仕方ねえ! 文句は受け付けないからな!

 少し深めに息を吸って腹を決める。

 今もなお抵抗を続ける青華の端正な顔──主にその唇に狙いを澄ます。

 手は塞がってて、話も聞かない。

 ならその口を物理的に塞いでやる。

 大きくかぶりを振って唇に向かって勢いよく突き進み──

レポート、課題、原神、FGO、期末テスト、夏休み故の忙しさ、etc,etc……

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