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二人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
78/84

【名ばかりの博愛】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀1:不問0


 膝掛ひざかけをした女性 ♀ セリフ数:18


 文庫本を読む青年 ♂ セリフ数:18


[あらすじ]《3分半程度》

 博愛主義者、なんて言葉に憧れをもってはならない。子供が理解するには時間の掛かる言葉を使って、愛する対象をしぼれない事を公言こうげんしているに過ぎないのだ―――。












【膝掛けをした女性】

 ワタシ、誕生日にはオランダのチューリップが欲しいわ。


【文庫本を読む青年】

 オランダ産にこだわる理由は?


【膝掛けをした女性】

 ふふ、何となく。チューリップと言えば、オランダかしら、と思って。


【文庫本を読む青年】

 …サボテンをらした過去がある人に、花を贈る馬鹿は居ないよ。


【膝掛けをした女性】

 ……一週間で枯れるなんて思わないでしょう? 次の日には水をあげようと思っていた矢先やさきに枯れてしまうなんて誰も思わないわ。


【文庫本を読む青年】

 水をあげようって思った時点であげればいいでしょ。何で先送りにしてんの。


【膝掛けをした女性】

(少し恥ずかしそうに)

 実は、昔…パンジーを水のあげ過ぎで、枯らしてしまった事があって…


【文庫本を読む青年】

 もうアンタは花に触るな。


【膝掛けをした女性】

 ヒドイわ! パンジーもサボテンもちょっと失敗しちゃっただけよ。ヒトは失敗から学ぶ生き物だから、次は大丈夫だわ。


【文庫本を読む青年】

 その自信はどこから湧いてくるんだよ。 ……ともかく、チューリップは他の男に頼んで。ボクはもうプレゼント決めてるから。


【膝掛けをした女性】

 まあ! 何かしら。


【文庫本を読む青年】

 言わない。


【膝掛けをした女性】

 あら、残念。…でも良いわ、くれるのは確実だものね。


【文庫本を読む青年】

 当たり前でしょ。恋人なんだから。


 というか何でチューリップ?


【膝掛けをした女性】

 よくぞ聞いてくれたわ。チューリップの花言葉がね、私にピッタリだって言ってくれた子が居たの。


【文庫本を読む青年】

 ……それ、何番目の“子”?


【膝掛けをした女性】

 うーん…四番目だったかしら。貴方の後の“子”だったからあんまり覚えてないわ。こういうのは、始まりより経過が大事だもの。


【文庫本を読む青年】

 ………で、花言葉が何だって?


【膝掛けをした女性】

 そう! その話だわね!


 チューリップの花言葉って「思いやり」と「博愛はくあい」なんですって。これほど私に似合う花も無いわ! と思って、誕生日にはチューリップが欲しくなったの。


【文庫本を読む青年】

 思ったよりしょうもない理由過ぎて、今読んでた内容全部飛んだ。…もっかい最初から読も。



 …というか、本気で自分に「思いやり」があると思ってる? 勘違いもはなはだしいよ。


【膝掛けをした女性】

 あらヒドイ! ちゃんと皆の事を平等に愛してるし、皆も私を好きでいてくれる。これ以上にない博愛だわ!


【文庫本を読む青年】

 ………アンタが愛してるのは、自分を愛してくれて、都合が良くて、自分より地位の低い男だろ。


【膝掛けをした女性】

 私の元へとどまった子達が、結果的に“そういう子達”だっただけだわ。

 それに、自分を愛さない人達に目を向けるなんて時間の無駄だもの。


【文庫本を読む青年】

(これ以上何も言いたくないという風に)

 ……あぁ、そう。


 それより時間いいの? そろそろ六番目の催促さいそくが来る頃じゃない?


【膝掛けをした女性】

 ああ、良いのよ。その子はもう愛していないから。


【文庫本を読む青年】

 ………………ふーん?


【膝掛けをした女性】

 良い子だったのだけれど、私の愛に見合う子ではなかったみたいなの。残念だったわ


【文庫本を読む青年】

 別に聞いてないけど。

 って事は何? 今日一日ここに居るつもり? やだよ、帰れよ。


【膝掛けをした女性】

 まあ! 照れ隠しね? 私は貴方を一日中眺めることになっても、別に構わないわ!


【文庫本を読む青年】

 ボクが構うんだって。こっちは暇じゃないんだから。


【膝掛けをした女性】

 私の相手をする以外の用事があって?


【文庫本を読む青年】

 馬鹿にしてんのか。現在進行形で忙しいんだけど。


【膝掛けをした女性】

 ふふ、ねなくてもちゃんと分かってるわ。だけど、今日くらいは私を独り占めしてもいいんじゃないかしら?


【文庫本を読む青年】

 嫌だね。本を読むほうが大事だ。


【膝掛けをした女性】

 んもう、意地悪いじわるね。


 …仕方ないから、今日はおいとましてあげるわ。明日は一緒に居させてちょうだいね。


【文庫本を読む青年】

 …気が向いたらね。












STORY END.

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