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♂0:♀2:不問0
千沙都 ♀ セリフ数:32
〈都会でひとり暮らしをしている。時折、多感期の悩める妹の相談に乗っている〉
天子 ♀ セリフ数:31
〈千沙都達の母。シングルマザーで二人の娘を育て上げた。仕事先で仲良くなった“男友達”を家に連れ込む事がたまにある〉
[あらすじ]《7分程度》
「お姉ちゃん! もう我慢の限界! お母さんに何とか言ってよ!」
妹のヒステリーな声に鼻で息を吐く。またか。ある程度話を聞いてやって、落ち着いた妹との電話を切って数拍。今度は母から電話が掛かってきて―――。
【千沙都】
もしもし、お母さん? 珍しいね。何かあった?
【天子】
愛音から電話来なかった? あの子ったら、もうどうしてあんな…。
【千沙都】
(しれっと嘘をついて)
――来てないよ。何、喧嘩でもしたの?
【天子】
ほら、話したじゃない。最近遊びに来てる子、愛音とあんまり仲良くないって話。
【千沙都】
あー・・・、倉井さん、だっけ。
【天子】
そう! この間ね、倉井君が岐阜に行ったからって、お土産買ってきてくれたんだけど、愛音ったら、何て言ったと思う?
【千沙都】
さあ? 何て言ったの?
【天子】
「今回は受け取るけど、次回から私には買ってこなくていい」って! 折角倉井君が気を利かせてくれてるのに、あんな言い方無いと思わない?
【千沙都】
うーん。そうかねぇ。
【天子】
そうよ! 何をするにも、何に対しても気を遣ってくれる優しい子なのに。
(言葉を濁しながら)
…ほら、愛音って、少し障害入ってるでしょ? それにもね、全然そんな子に見えないじゃないか、とか言ってくれてね。
【千沙都】
待って、勝手に話したの? そんなデリケートな話。
【天子】
だって彼、自分の家の事いっぱい話してくれるから、こっちも話さないとフェアじゃないでしょう?
【千沙都】
はあ〜…そもそもさぁ、その障害入ってるっていうのも、お母さんが勝手に言ってるだけじゃん。
確かにあの子は、自分のキャパ越えるとヒステリー起こしちゃうけど、病院に行って診断した訳じゃないでしょ。
【天子】
でもどう考えても、普通とは違うでしょう? それにあの子だって、それで納得してるんだから。それに関してはいいのよ。
【千沙都】
……。
…それで?
【天子】
あ、そうだったそうだった! それでねぇ、倉井君ったら、それ言われて「ちょっと踏み込み過ぎたかなぁ」とか「愛音ちゃんに謝っておいて」とかって、随分落ち込んじゃってね。可哀想で見てられないのよ。
【千沙都】
あー…そう。
【天子】
(困り果てたように)
もう何であんな事言ったのかしら……。
【千沙都】
…愛音にとって、倉井さんは、未知数だからでしょ。
【天子】
え?
【千沙都】
そりゃあ、お母さんにとっては優しくて気も遣える、とっても“出来た”歳下かも知れないけどさ。
愛音にとっては、歳上の、得体の知れない成人男性でしょ?
【天子】
でも、あの子だって普通に働いてるし、仕事場で男の人と接する機会だって多いはずよ。工場勤務だし。
【千沙都】
そりゃ仕事ではね。でも家ってさ、完全プライベートな訳じゃん。その中にさ、知らない人がいきなり上がり込んでくるのは、愛音にとっては怖い事だよ。
忘れた訳じゃないでしょ、三年前のアレ。
【天子】
んー…確かに…それはそうだけど…。
でもあの人とは違うわ、暴言も吐かないし、愛音の事怖がらせたりしないし。
【千沙都】
…だからさぁ、知らない男の人が家に居るだけで、愛音にとってはストレス以外の何物でもないの。
【天子】
でも、でもでも。折角お土産にってくれたものを突き返すなんて…。
【千沙都】
今回は受け取って、次回からは要らないって言っただけじゃない。その、倉井さん? がお母さんにだけ買ってきたら良い話でしょ?
【天子】
でも…愛音の事だって…千沙都の仕事の事だってすごく心配してくれる良い子なのよ?
【千沙都】
何? アタシの仕事の事? 何かあったっけ?
【天子】
ほら、とっても良く出来た上司が遠くに異動になったって、落ち込んでたじゃない。
【千沙都】
(小声で)
そんな事まで話してるの…。
【天子】
何? 何か言った?
【千沙都】
何でもない。
…あのさ、倉井さんがアタシの仕事の心配したって、何も出来ないでしょ?
愛音の事だってそう。倉井さんとか関係なく、感情のコントロールっていうのは、あの子自身が向き合わないとどうにもならない事なの。周りが心配してたってあの子自身が動かないと、解決しないでしょ?
【天子】
それは、そうだけど……。
【千沙都】
話戻すけど、愛音はちゃんと今回受け取って、次回からは要らないって伝えたよ。
それに対して、倉井さんとか抜きにして、お母さんはどう思ったのよ。
【天子】
え、だから倉井君が落ち込んでて――
【千沙都】
(遮って)
だからその倉井さんは抜きにしてって言ったよね?
【天子】
ワタシは…愛音が受け取らないなら、それでいいわ別に。
【千沙都】
……はあぁぁ〜………。面倒くさ、何だそれ…。
【天子】
え、何? どうしたの、いきなり?
【千沙都】
こりゃ、愛音もマトモに会話するの諦める訳だわ……。
まあいいや、じゃあもう愛音に色々言うのはやめたげてね。
【天子】
どうして? 倉井君と愛音を仲直りさせてあげなくちゃ。
【千沙都】
(色んな言葉を噛み殺しながら)
ぐぅ…! うぅ…! ……はあぁぁ……。
あのね、お母さん。
愛音は「次回から要らない」って伝えるだけでも、多分すごく勇気を出したの。愛音にとって、男の人っていうのは、言う事ややる事に歯向かったら、何をしてくるか分からない生き物なんだから。
【天子】
でも……。
【千沙都】
愛音にとっては、そうなの!!
……だからね、愛音が望まない限りは倉井さんと会わせたりするのはやめな?
【天子】
……そうね…、暫くはそうしようかしら。
【千沙都】
は〜…そうだよ。そうしな。
…後、二人でお風呂入ったり、一緒にベッドインは流石にやめときな?
【天子】
え!? ちょちょ、待って!? 何で知ってるの?
【千沙都】
お母さんにとって倉井さんは恋人じゃなくて、ただの“オトモダチ”であって、如何わしい事もしない、“健全な仲”だっていうのは、重々承知の上で言うけどね。
【天子】
ちょっと待って、そんなの愛音も知らないはず…!
【千沙都】
それ、世間一般では“イチャコラついてる”だとか“恋人同士”とかって言うんだよ。“そういう事”しててもおかしくないとか言われても擁護出来ないからね。
良いお年頃の娘と一緒に暮らしてる実家でする事じゃないんだ、知らないフリしてあげてる愛音に心底同情するよ。
【天子】
え、じゃあ…愛音知ってるの?
【千沙都】
一万歩譲って、仕事で疲れてるであろう“彼”に、風呂と寝床を提供するのは良いけどね。
それに託つけて、そういう事をするのは良くないとアタシは思うよ。二人でラブホ行ってやってろよ。
【天子】
違うの。彼とは本当にそういう関係じゃないのよ!
【千沙都】
知ってるよ。お母さんがそういう関係になるのを面倒臭がってるのも、“そういう事”をしない関係…つまり本当の男女の友情? ってやつを謳歌してるのも。
でも世間一般から見たら、そこまでしといて“そういう関係”にならないなんて、あり得ないって思われるの。
そんで、愛音はそう思われる事もちゃんと分かってる。
それと、倉井さんは愛音が嫌がったらもう家に来ないって言ってたらしいじゃない。それをお母さんは、「愛音が嫌って言うのはワタシの自由を奪ってる」って言ったって。
【天子】
ちょっと待って…全部伝わって……?
【千沙都】
赤の他人にこんな、複雑かつ面倒な事話してないだけいいじゃない。もしかしたら話してるかもだけど。
で? 愛音は倉井さんが家に来るのが嫌だって、どうやって伝えたらいいかな?
【天子】
あ、いや…その、
【千沙都】
次回はお土産要らないって伝えられただけでも、すごく頑張ったんだよ。
自分の家の状態と、世間比べて目眩がするって言ってた。
「どうやったってイヤって言えないのは、おかしい。私もあの家に住んでるのに」って泣いてたよ。
ねえ、お母さん。
倉井さんじゃなくて、もっと愛音の事考えてあげなよ。
【天子】
でも……。
【千沙都】
まあ、あの子も成人してるし、本当に嫌になったら家出て勝手に暮らしてくんじゃない? そうなったらアタシも出来る限り協力するし。
だって、今の環境に居るのって、可哀想で見てられないの。
【天子】
……っ、
そうね…ちょっと、考えてみるわ…。
【千沙都】
そ。じゃあ、もう切るね。
……………………。
……あ、もしもし。愛音?
アレもう無理だわー、出奔決定〜!
STORY END.
2023/08/31
台本タイトル変更




