★【静かに戦ぐ花魁草】
台本タイトルは【しずかにそよぐおいらんそう】と読みます。
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♂2:♀0:不問0
鹿嬭 ♂ セリフ数:15
〈中堅の語り部。鹿華の二番弟子。鹿華が消息を絶ってから、『彼を待つ』という選択をした孤独な剣士〉
純彦 ♂ セリフ数:16
〈中堅の語り部。鹿華の十三番弟子。一癖も二癖もある兄姉達を少し遠い所から眺めている。『待つ』事も、『探す』事もしていない〉
[あらすじ]《3分程度》
世界各地を語り歩く語り部は巨万と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮の偶然で鉢合わせしてしまった時の物語である―――。
【純彦】
鹿嬭兄さん。
【鹿嬭】
……………。
【純彦】
…鹿嬭兄さん。
【鹿嬭】
(胃の中の空気を全て吐き出すように)
……〜〜はぁ…。
【純彦】
……鹿嬭兄さん!
【鹿嬭】
…珍しいな、お前が大声を出すとは。
【純彦】
語り追が妙な事を言っていたからな、心配になって来てみれば。…何してるんだ。
【鹿嬭】
…斬れないモノだと思ってな。
【純彦】
……。日善兄さんの石化像…。
妖の甘言につられ、世界の理を覆そうとした阿呆な兄だ。だけれど、この末路には同情する。
【鹿嬭】
…。琳加がよく言っていた事を思い出してな。
途端に、日善が…憎く思えた。
【純彦】
琳加姉さん…。俺は会えなかったがな。
師匠が三番目の弟子にしたにしては、大人しくて可憐な人だったらしいな。
【鹿嬭】
…そうか、お前が鹿華様の弟子になった時には、琳加はもう…世には居なかったか。
【純彦】
…で、その琳加姉さんが何だって?
【鹿嬭】
………。
【純彦】
…はぁ、話す気は無いか。
だがな、鹿嬭兄さん。この石化像は師匠の最後の慈悲なんだろう?
【鹿嬭】
…死んでも尚、図々しい弟だ。
【純彦】
良い加減、感情で突っ走るのやめないか。
華倖兄さんが炎で溶かそうとしても無理で、アンタも随分昔に切り刻もうとして、無理だったんだろう?
この石化像は―――
【鹿嬭】
……、神の呪いだからな。
だがな、純彦。コレが、この石化像があるだけで鹿華様の歴史がヒビ割れる。
コイツが石化したせいで、鹿華様があんな顔をされて…嗚呼、僕でもあんな顔をさせたことなど…。
そもそもコイツに慈悲なんて、ああ、狡い。僕には何の言葉も掛けてくださらないのに、コイツには貴方様の、身体に沁み渡るようなお言葉を何度も何度も……
【純彦】
鹿嬭兄さん、鹿嬭兄さん。
思考がトんでるから、戻ってきてくれ。
【鹿嬭】
―――っ!
(嫌な顔をして息を吐く)
……はぁ……、
【純彦】
……此処に来るのは、止した方がいいんじゃないか。
此処は…良くも悪くも師匠の匂いが強いから。
【鹿嬭】
(だいぶ間を空けて)
……純彦。
【純彦】
…ん?
【鹿嬭】
(感情の無い声で)
…僕だって、この石化がいつ解けるのか。待っていた時期がある。鹿華様と同じ様に。
【純彦】
………。
【鹿嬭】
でもいつしか、ヤメたんだ。
鹿華様の帰りを待つと決めた日から、だったか。
弟よりも、師匠を優先した。
それを、悔いている訳じゃない。それを改めたい訳じゃない。
ただ、石化像があると、僕の“待つ”矛先を変えた日が鮮明に蘇ってきて、吐き気がするんだ。
【純彦】
……、“待つ”のは、怖いからな。
【鹿嬭】
“探す”より、恐怖は薄い。
だが……、“探す”より、孤独は深い。
【純彦】
………鹿嬭兄さん、
【鹿嬭】
さて、無駄話が過ぎたな。
僕はもう行く。次に会う時は、こんな気味悪い場所じゃないといいな。
【純彦】
(色んな言葉を飲み込んで)
……、そうだな。
STORY END.
一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。
それぞれ初登場台本を掲載しておきます。
語り部鹿嬭〜異国編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/111/
語り部純彦〜紅茶編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/122/




