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二人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
64/84

【錆耽る】

台本タイトルは【さびふける】と読みます。


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『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀1:不問0


 着物の青年 ♂ セリフ数:14


 寝たきりの老女ろうじょ ♀ セリフ数:13


[あらすじ]《3分程度》

 夜の病室のベッドの上。たくさんのくだが繋がれた老女の隣には、古風な着物を身にまとった青年が座っていた。窓から聞こえる花火の音に、青年が感嘆かんたんのため息をこぼした―――。









【着物の青年】

 …見たかったな、花火。


【寝たきりの老女】

 …ええ、そうですねぇ。


【着物の青年】

 あの河川敷かせんしきんとこ、今でもよく見えんのか?


【寝たきりの老女】

 …そうですねぇ。でも近頃は、人が多くて全然穴場じゃなくなったんですよ。


【着物の青年】

 ああ、そりゃいけねえな。

 花火ってのは、静かに見るのがいいんだ。

 …またイイとこ探しといてくれよ。


【寝たきりの老女】

 …元気になったら、それもいいですねぇ。


【着物の青年】

 ……。


【寝たきりの老女】

 ……。


【着物の青年】

 …、なあ。


【寝たきりの老女】

 はい?


【着物の青年】

 いつになったら、良くなるんだ?

 もう何年も、寝たっきりだろ。


【寝たきりの老女】

 …さあ、いつですかねぇ。

 もういっそ、このままはかなくなってもいいんですけどねぇ。


【着物の青年】

 ンなさびしい事言うなよ。

 お前にゃあ、…生きてて欲しいんだ。


【寝たきりの老女】

 あら、こんな老婆ろうばこくな事を言いますね。

 アナタはさっさと、何処どこぞの米兵べいへいに撃たれて死んだっていうのに。


【着物の青年】

 残念ながらそりゃあ、お国の嘘だな。

 実際は…錯乱さくらんした味方の馬鹿に撃たれて死んだよ。


【寝たきりの老女】

(微笑みながら)

 それはお可哀想に。


【着物の青年】

(真面目な声で)

 可哀想なのは、お前の方だ。


【寝たきりの老女】

 あら、どうしてです。


【着物の青年】

 戦争に行って、帰ってこねえ馬鹿を待ってたせいで結婚も出来ねぇで、こんな、誰も来ない寂しい病室で、何年も寝たきりで。

 死んだって悲しんでくれる奴は居ねえだろうよ。


【寝たきりの老女】

 一人居ますよ、此処ここに。


【着物の青年】

 生きてる奴って意味だ、阿呆あほう


【寝たきりの老女】

 …ふふ、でもいいんですよ。私はこれでも…ちゃんと幸せでしたから。


【着物の青年】

 ……………。


【寝たきりの老女】

 そんな顔、しないでくださいな。


 アナタが死んだと聞かされて、だけれど骨も何も帰ってきてはくれなかった。

 空襲くうしゅうで母も妹も死んで、家も燃えて、生きている事自体、馬鹿みたいに思えて。


 なのに、今でもこんな風に生き長らえてる老婆を、どうか笑ってくださいな。


【着物の青年】

 …笑わねえ、笑わねえよ。


 いてる奴が、まだ生きてくれている。

 それだけで、こんなに、幸せだ。


【寝たきりの老女】

 …もう、相変わらず安いかた

 もっと、望んでくれてもいいのに。





 花火、また見に行きましょうよ。

 良い所、今度は二人で探して。


【着物の青年】

 …ああ、そうだな。













STORY END.

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