★【千を笑うは棗の棘】
声劇タイトルは
【せんをわらうはなつめのとげ】と読みます。
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♂1:♀0:不問1
紫狒々 不問 セリフ数:13
〈新参の語り部。新参の中では一番名が売れている。とある語り部に憧れて、共通語を覚えて、この世界に飛び込んだ〉
純彦 ♂ セリフ数:14
〈中堅の語り部。鹿華の十三番弟子。換金屋も兼業している為、頭が良い。語り部相手に商売する事が多い〉
[あらすじ]《4分程度》
世界各地を語り歩く語り部は巨万と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮の偶然で鉢合わせしてしまった時の物語である―――。
【純彦】
(タバコの煙を吐いて)
おや、換金屋に用事か?
【紫狒々】
イエ、見かけたノデ、お声掛けしておこうと思って。
【純彦】
…あの頃も大概だと思っていたが、見事な物好きに育ったものだ。
【紫狒々】
自分の事を棚上げしてしまうのは良くないデスよ。
【純彦】
口も以前より達者になった。…いや、生意気、か。
【紫狒々】
この世界は素直に生きさせてくれません。難解デ、難読デ、難儀な世界なのデス。
【純彦】
だが、それが選別だ。素直が死にゆく訳ではない。生意気が生き残る訳でもない。
ただ、世界に依存し、抗った者が目立っているだけという話だ。
【紫狒々】
…。……マダ、紫狒々は貴方の言う事の半分もよく理解しきれません。
【純彦】
…っはは、そう拗ねるな。
お前はよくやっているだろ。
【紫狒々】
……ソウ、でしょうカ…。
紫狒々は、時々思うのデス。
語り部を知っている人達は、新しいモノにあまり寛大デハない、と。
【純彦】
………。
【紫狒々】
先人がしてきた事とは、違う事をした途端、周りはこう言うのデス。
ソレは、お前がやるべきじゃナイって。
【純彦】
……身勝手なのさ、彼等は。
【紫狒々】
……、紫狒々も普段ナラ、気にも留めません。
(途中で言葉が出なくなって)
だけれど、ふとした瞬間に…紫狒々は、紫狒々は…、
【純彦】
なぜそこまで悩む。
お前はお前の好きに生きればいい。
誰かを意図的に害さなければいいだけの話だ。
【紫狒々】
……、好きに、生きてモ…彼等は、
【純彦】
(深いため息を吐いてから)
俺の師匠の時も、俺の兄弟子の時も、俺の時でさえ、彼等には口さがなかった。
新しいモノに寛大ではない、は不正解だ。
彼等は、誰でも良いんだ。
【紫狒々】
エッ――。デ、でも…語り部の事、たくさん教えてくれた人、居マシタ。
語り部の事、好きじゃないと、出来ない事デス。
【純彦】
もちろん、彼等はちゃんと語り部が好きだ。自分の人生すら犠牲に出来るほどに。
だが、中には居るんだよ。
『それじゃあ、つまらない』って思う一端が。
【紫狒々】
それじゃァ? つま、らナイ?
【純彦】
そう。誰かが辞めれば。誰かが馬鹿をやれば。誰かが、死ねば、『面白い』。
【紫狒々】
(息を飲んで)
っ――――!
【純彦】
これが彼等の一端だ。
そもそも、人の人生に喧しく口を挟んで来る連中の事なんざ、気にしなくていい。
好き勝手に生きてこそが、語り部だからな。
【紫狒々】
……、やっぱり、純彦殿は素晴らしいデスね。また、助けられちゃいマシタ。
【純彦】
何、構わない。困っている同胞を、適当に導いただけの事だ。
【紫狒々】
長々とお話、ゴメンナサイ。
少し、生き方が分かった気がシマス…。
……。
ア、ついでに換金していっていいデスか。
【純彦】
ああ、好きにしろ。
STORY END.
一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。
それぞれ初登場台本を掲載しておきます。
語り部紫狒々〜扇子編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/24/
語り部純彦〜紅茶編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/122/




