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二人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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51/85

【春でもない日】

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 ♂1:♀1:不問0


 夏子(かこ) ♀ セリフ数:26

〈19歳の大学生。父子(ふし)家庭(かてい)で育っており、真っ直ぐでちょっとアホな子。従兄弟(いとこ)の晴音をせーちゃんと呼んでいる〉


 晴音(せお) ♂ セリフ数:27

〈25歳の社会人。顔が良いのでよくモテるが、告白されても受けない事が多いクール男子。従姉妹(いとこ)の夏子を妹のように思っている〉


[あらすじ]《5分程度》

 「じゃあアタシなんて居なくていいんじゃんか!」家中(いえじゅう)に響くその声は従姉妹(いとこ)のものだった。曾祖母(そうそぼ)の七回()親戚(しんせき)が集まってワイワイと盛り上がる中、仲良し親子で有名のあの二人は喧嘩(けんか)してしまったらしい―――。












【晴音】

 …夏子(かこ)


【夏子】

(三角座りで顔を(うず)めて)

 ……謝んないもん…。


【晴音】

 …お前が悪いとは言ってないだろ。


 ……叔父(おじ)さん泣いてたぞ。


【夏子】

(思わず顔を上げて)

 え、嘘っ!?


【晴音】

 嘘。


【夏子】

(にら)んで)

 ……。



 …はぁーあ。あんな事言うつもり無かったのにな…。


【晴音】

 オレは安心したけどな。


【夏子】

 は〜? こんなに可愛い従姉妹(いとこ)が父と喧嘩して落ち込んでるのに安心とか人の心無いの?


【晴音】

 可愛いかどうかはさておき。

 叔父さんとお前も喧嘩したりするんだなと思って。


【夏子】

 ここまでのは初めて。

 喧嘩とか、は…スゴく不安になるからしたくないもん。


【晴音】

 ……………。


 で? 何が原因なんだ?


【夏子】

 この前の入院騒ぎ。せーちゃんが救急車呼んでくれたでしょ?


【晴音】

 ああ、叔父さんが倒れかけたアレか。


 ……倒れるくらいなら働かなくて良いとか言ったのか。


【夏子】

 そっ……こまでは言ってないけど。

 でも無理しなくていいよって。


 大学行っていいって言ってくれたのはスゴく嬉しかったけど、倒れちゃうまで無理させるのは違うでしょ。


 …アタシの為って言って無理するのはアタシのせいでもあるんじゃん…やだ、そんなの。


【晴音】

 誰もお前を()めてないぞ。叔父さんですら。


【夏子】

 それが()なんじゃんッ!!


 ……誰も責めないのなんて分かってるよ…お父さんも…絶対に…“責めてくれない”もん…。それが、スゴく嫌だ…。


【晴音】

 ……、お前は、…お前が悪いって言って欲しいのか。


【夏子】

 そうじゃない…。

 そうじゃないけど、……あーもー! 分かんないよッ! 分かんないけど、お父さんが今のままだったらアタシも大学通いづらいって話ッ!


【晴音】

 そんな事であそこまでの喧嘩になる訳ないだろ。お前と叔父さんだぞ。


【夏子】

 アタシとお父さんに絶大(ぜつだい)な信頼を置きすぎじゃないかな。


 ………。


 千夏(ちか)はさ、生きてたら高校生だよねって話をしたの。


【晴音】

 ……………。


 そうか、お前がもう大学生だからな。


【夏子】

 ………千夏が生きてたら、……良かったのにって…


【晴音】

 …夏子、アレはお前の、


【夏子】

 “お前のせいじゃない”って…せーちゃんまでそんな事言うの…!?


【晴音】

 ……、仕方なかったろ。過去に戻ったとしてお前がアレをどうにか出来たか。


【夏子】

 一緒に居てあげれば良かったじゃん…! 一緒に、遊んであげれば…!! ()ねて一人で帰ってなきゃ…!


 千夏が海に流される事なんて無かったんじゃん…!!


【晴音】

 ………………。


【夏子】

 そしたら……、そしたら、お母さんも出て行かなかったかもしれないじゃん…。


【晴音】

 あの人が出てったのはあの人の浮気だろ。自業(じごう)自得(じとく)だ。千夏が生きてても変わらないさ。


【夏子】

 でも、もしかしたら違ったかもじゃん……。お母さんがアタシにああ言ったのは、間違ってないよ…。


【晴音】

 …間違ってる。千夏が死んだのは、お前のせいなんかじゃない。


【夏子】

 ………っ、………っっ、だって、…じゃあ何で…!!


【晴音】

 何がだ。


【夏子】

 全部…!! 今までの事…、っ、全部…! 千夏が居たら変わってたかもしんないじゃん! アタシが、あの時、(そば)に居てあげたら全部良い方向にいってたかもしれないじゃんか!!


 ……っ、千夏が生きてたら良かった…! アタシが、居なくなった方がずっと、


【晴音】

 夏子。


【夏子】

 ………っ


【晴音】

 それは、言ってはいけない。


【夏子】

 ……ふ、ぅ…っ…ぅぅ……


【晴音】

 一人で居ると悪い方に考えてしまうのはお前の治すべきクセだ。

 オレでもオレの母さんにでもいい。

 叔父さんでもいい、(ばあ)ちゃんでもいい。


 そんな風に思ってた事を。

 あの日、あの人に言われた言葉がずっと(いかり)のように(しず)んでた事を。


 話してくれ。

 ちゃんと、(ただ)してやれるから。


【夏子】

 でも、…ぅぅ……でもさぁ…


【晴音】

 …ああ、


【夏子】

 言う、つもり…っなかったんだよ…。…っホントだよぉ…っ。


【晴音】

 知ってる。勢いで言うつもりもない、思ってもない事を言ってしまうのもお前の悪い所だ。


【夏子】

 ……ぅぅ、…っせーちゃんの、…いじわるっ……。


【晴音】

 叔父さんがお前を甘やかす担当ならオレは意地悪担当で構わないぞ。


 で? “謝んない”のか?


【夏子】

 うぅ…あ、あやまるぅ…。


【晴音】

 そうか、じゃあ頑張れ。


【夏子】

 ふぇ…? いっしょに、いってくんないの…?


【晴音】

 悪いな、夏子。オレ、婆ちゃんと麻雀(マージャン)やる約束をしていてな。


【夏子】

 うっわ! 薄情(はくじょう)(もの)! 鬼! 意地悪大魔神(だいまじん)!! 信じらんない! 可愛い従姉妹(いとこ)が泣いてるってのに!


【晴音】

 可愛いかどうかはさておき。

 さっさと謝ってこないと叔父さん本当に泣いちまうぞ。


【夏子】

 うっ…


【晴音】

 じゃあ、後はご自由にどうぞ。
















STORY END.

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