表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
49/84

【ネコのいのち】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1︰♀1︰不問0


 タンクトップの女 ♀ セリフ数:19


 仔猫(こねこ)を抱えた少年 ♂ セリフ数:19


[あらすじ]《3分半程度》

 滅多(めった)にならないチャイムが鳴った。整えてもいないボサボサの髪のまま、玄関(げんかん)を開けて「またか」と思わず声が出た。目の前には仔猫を抱えた近所のガキが居て―――。








【仔猫を抱えた少年】

 あの、えっと、…ネコのお姉さん…


【タンクトップの女】

(不機嫌な雰囲気を隠さずに)

 ……何だ。


【仔猫を抱えた少年】

 ヒッ。…あ、えっと…あの、この子、


【タンクトップの女】

 ………。


【仔猫を抱えた少年】

 拾ったんだ…でも、ウチじゃ()えなくて。でも元の場所へは返すの嫌で…、それで、えっと、


【タンクトップの女】

 ……母親か父親にアタシの所にでも置いてこいと言われたか。


【仔猫を抱えた少年】

(気まずそうに)

 あっ…! …、う、うん。


【タンクトップの女】

 ……はあ。

 確かにアタシの家には猫がたくさん居るさ。でもそれはお前がその拾った猫をアタシに(あず)ける理由にゃあならない。


【仔猫を抱えた少年】

 ………? …もらって、くれないの?


【タンクトップの女】

 「(もら)う」、ね。


 …おいガキ。お前はソイツをアタシに渡すつもりなんだろう?


【仔猫を抱えた少年】

 え、う、うん…。


【タンクトップの女】

 じゃあ他には何を渡す?

 金か? (えさ)か? それともソイツだけを寄越(よこ)すつもりか?


【仔猫を抱えた少年】

 え、っと…ママから何にも渡されてなくて…


【タンクトップの女】

(目の前の少年に聞かせても分からないだろうと早口で)


 …ったく、どんな教育だ。

 子供が勝手に拾ってきたからって無責任すぎるだろ。アタシが猫を飼ってるってだけで子供だけ寄越(よこ)して親は何もしないってか。…いや、教育云々(うんぬん)よりこれは親の教養(きょうよう)の無さか。


【仔猫を抱えた少年】

 ………?


【タンクトップの女】

 ……はぁぁあ…。


 …ガキ、それは「ぬいぐるみ」か?


【仔猫を抱えた少年】

 えっ…? ち、違うよ。この子は猫だもん。


【タンクトップの女】

 そうだ、猫だ。生きてるんだ。

 ガキ、生きるためには何が()る。


【仔猫を抱えた少年】

 …食べ物?


【タンクトップの女】

 そう。それから?


【仔猫を抱えた少年】

 ……えっと、寝る所?


【タンクトップの女】

 ……、こんな無責任な親の所へ置いておくには(かしこ)すぎるな。


 猫には猫の食べるものがあって眠る所がある。他にはそうだな、水も必要だし遊ぶ物も必要だ。

 そして怪我(けが)をしたり風邪を引いたら?


【仔猫を抱えた少年】

 …! 病院に行く!


【タンクトップの女】

 そうだ。ただ、お前がよく行く病院では猫は()てもらえない。動物専門の病院に行かなければな。

 注射(ちゅうしゃ)、した事あるか。


【仔猫を抱えた少年】

 …あ、ある…。


【タンクトップの女】

 猫も()るんだ。それに毎年。

 …まあ、医者によって違うがこの地域では毎年だな。年に一回、注射をして病気に(かか)らないようにする。


 ……食べ物を買うのも、眠るところを作るのも、病院に連れていくのも全部アタシか?


【仔猫を抱えた少年】

 あ…。


【タンクトップの女】

 お前はソイツを連れてくるだけで他は全部アタシに任せるのか? ソイツは「ぬいぐるみ」じゃないんだろう?


【仔猫を抱えた少年】

 僕、何にも、考えてなかった…。

 ママが…だって、一匹二匹増えても変わんないでしょって…


【タンクトップの女】

 …。…どうやらアタシが話をつけるべきなのは親の方らしい。


 …少し待ってろ。

 準備をする。アタシと一緒にお前の家へ行こう。


【仔猫を抱えた少年】

 えっ…。


【タンクトップの女】

 ……、その仔猫は…、アタシの子にしよう。そのまま()に返すにはあまり非情(ひじょう)だからな。

 ただし、タダで(もら)うほどアタシはボランティア精神に(あふ)れた人間ではない。


【仔猫を抱えた少年】

 ……、ねえ。ネコのお姉さん。


【タンクトップの女】

 何だ。


【仔猫を抱えた少年】

 毎日、この子に会いに来てもいい?

 お金も、ほんのちょびっとしかないけど持ってくるから。


【タンクトップの女】

 …ふっ…、()らないよ。


 金のやり取りは大人がやればいい。

 …そうだな、お前は。

 その子の名前でも考えてやりな。


【仔猫を抱えた少年】

 …、うん!


【タンクトップの女】

 さ、行こう。

 お前の親に教えに。


 命は安くないぞってな?












STORY END.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ