【ネコのいのち】
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♂1︰♀1︰不問0
タンクトップの女 ♀ セリフ数:19
仔猫を抱えた少年 ♂ セリフ数:19
[あらすじ]《3分半程度》
滅多にならないチャイムが鳴った。整えてもいないボサボサの髪のまま、玄関を開けて「またか」と思わず声が出た。目の前には仔猫を抱えた近所のガキが居て―――。
【仔猫を抱えた少年】
あの、えっと、…ネコのお姉さん…
【タンクトップの女】
(不機嫌な雰囲気を隠さずに)
……何だ。
【仔猫を抱えた少年】
ヒッ。…あ、えっと…あの、この子、
【タンクトップの女】
………。
【仔猫を抱えた少年】
拾ったんだ…でも、ウチじゃ飼えなくて。でも元の場所へは返すの嫌で…、それで、えっと、
【タンクトップの女】
……母親か父親にアタシの所にでも置いてこいと言われたか。
【仔猫を抱えた少年】
(気まずそうに)
あっ…! …、う、うん。
【タンクトップの女】
……はあ。
確かにアタシの家には猫がたくさん居るさ。でもそれはお前がその拾った猫をアタシに預ける理由にゃあならない。
【仔猫を抱えた少年】
………? …もらって、くれないの?
【タンクトップの女】
「貰う」、ね。
…おいガキ。お前はソイツをアタシに渡すつもりなんだろう?
【仔猫を抱えた少年】
え、う、うん…。
【タンクトップの女】
じゃあ他には何を渡す?
金か? 餌か? それともソイツだけを寄越すつもりか?
【仔猫を抱えた少年】
え、っと…ママから何にも渡されてなくて…
【タンクトップの女】
(目の前の少年に聞かせても分からないだろうと早口で)
…ったく、どんな教育だ。
子供が勝手に拾ってきたからって無責任すぎるだろ。アタシが猫を飼ってるってだけで子供だけ寄越して親は何もしないってか。…いや、教育云々よりこれは親の教養の無さか。
【仔猫を抱えた少年】
………?
【タンクトップの女】
……はぁぁあ…。
…ガキ、それは「ぬいぐるみ」か?
【仔猫を抱えた少年】
えっ…? ち、違うよ。この子は猫だもん。
【タンクトップの女】
そうだ、猫だ。生きてるんだ。
ガキ、生きるためには何が要る。
【仔猫を抱えた少年】
…食べ物?
【タンクトップの女】
そう。それから?
【仔猫を抱えた少年】
……えっと、寝る所?
【タンクトップの女】
……、こんな無責任な親の所へ置いておくには賢すぎるな。
猫には猫の食べるものがあって眠る所がある。他にはそうだな、水も必要だし遊ぶ物も必要だ。
そして怪我をしたり風邪を引いたら?
【仔猫を抱えた少年】
…! 病院に行く!
【タンクトップの女】
そうだ。ただ、お前がよく行く病院では猫は診てもらえない。動物専門の病院に行かなければな。
注射、した事あるか。
【仔猫を抱えた少年】
…あ、ある…。
【タンクトップの女】
猫も要るんだ。それに毎年。
…まあ、医者によって違うがこの地域では毎年だな。年に一回、注射をして病気に罹らないようにする。
……食べ物を買うのも、眠るところを作るのも、病院に連れていくのも全部アタシか?
【仔猫を抱えた少年】
あ…。
【タンクトップの女】
お前はソイツを連れてくるだけで他は全部アタシに任せるのか? ソイツは「ぬいぐるみ」じゃないんだろう?
【仔猫を抱えた少年】
僕、何にも、考えてなかった…。
ママが…だって、一匹二匹増えても変わんないでしょって…
【タンクトップの女】
…。…どうやらアタシが話をつけるべきなのは親の方らしい。
…少し待ってろ。
準備をする。アタシと一緒にお前の家へ行こう。
【仔猫を抱えた少年】
えっ…。
【タンクトップの女】
……、その仔猫は…、アタシの子にしよう。そのまま野に返すにはあまり非情だからな。
ただし、タダで貰うほどアタシはボランティア精神に溢れた人間ではない。
【仔猫を抱えた少年】
……、ねえ。ネコのお姉さん。
【タンクトップの女】
何だ。
【仔猫を抱えた少年】
毎日、この子に会いに来てもいい?
お金も、ほんのちょびっとしかないけど持ってくるから。
【タンクトップの女】
…ふっ…、要らないよ。
金のやり取りは大人がやればいい。
…そうだな、お前は。
その子の名前でも考えてやりな。
【仔猫を抱えた少年】
…、うん!
【タンクトップの女】
さ、行こう。
お前の親に教えに。
命は安くないぞってな?
STORY END.




