★【水仙寂れた友愛の別】
声劇タイトルは
【すいせんさびれたゆうあいのべつ】と読みます。
※作中に間接的な性犯罪描写があります。
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♂1︰♀1︰不問0
羽弥芝 ♀ セリフ数:14
〈既に途切れた音。大陸のいたる所に「友達」が居る。言いたい事が言えなかった幼少期だけれど、語り部になっても大事な事はいつも言えない〉
鹿華 ♂ セリフ数:13
〈何処かで戦ぐ音。弟子が十三人居る。生きる伝説だとか好き勝手言われてきた。自分も立場を無視して好き勝手言いたかったけれど、やっぱりやーめた〉
[あらすじ]《3分程度》
世界各地を語り歩く語り部は巨万と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮の偶然で鉢合わせしてしまった時の物語である―――。
【鹿華】
おっ、ビンゴじゃねぇの。
【羽弥芝】
あっ! 鹿華だ〜〜!
何か久しぶりだねっ! どったの?
【鹿華】
(寂しげな笑みを浮かべて)
………。
なあ、羽弥芝。
【羽弥芝】
(『ああ、』と察して)
……、なあに?
【鹿華】
俺ァ、親不孝モンだったなァって思ってよ。
【羽弥芝】
…私もそうだよ。
あれから一度も帰ってないもの。
【鹿華】
……、なあ。羽弥芝。
俺…、最低な子供だよなぁ…。親の前では良い子だった、…親にとっちゃあ…、優秀だった兄を殺してさぁ…、姉貴と二人で逃げてきて…。
…最低だったわ…。
【羽弥芝】
でも貴方はお姉様を救えたじゃない。
100人が貴方を悪いと罵っても、お姉様や私達はそんな事言わないよ。
【鹿華】
知ってる。…知ってるからつれぇ。
…罪は許されても消えねえんだぜ…、それが例え…、姉を犯した兄殺しでもな。
【羽弥芝】
……、鹿華、行かないでよ。
語り部の世界、寂しくなっちゃうよ。
【鹿華】
そうしてぇのは山々なんだけどなぁ。
俺だってもっと語りてぇよ。もっと、お前らと馬鹿やりてぇけどさ。
“決まり”だもんよ、仕方ねぇよ。
【羽弥芝】
……ずるいなあ、そんな風に言われたら留めらんないよ。
……伝言、ある?
【鹿華】
……弟子達に、『もう居ねぇ。胸張って生きろ』って。
【羽弥芝】
みんなに言うの? も〜〜、どれだけ居ると思ってるの。どうせ“全員に”って言うんでしょ?
【鹿華】
(苦笑いしながら)
悪ぃ。
【羽弥芝】
絶対悪いって思ってないっ! もぉ、いいけどさぁ。…それよか何で私なの? みんなに言って回るなら体力もあるし将戡の方が良くない?
【鹿華】
良いんだよ。将戡にゃあ頼めねぇこともあったし。
【羽弥芝】
…………?
【鹿華】
…俺さ、好いてる奴が居たんだわ。
というか今もだな。好きな奴。
伝えてくんね、「もう会えねえ」って。
【羽弥芝】
……いいの?
【鹿華】
あ?
【羽弥芝】
…伝えなくていいの?
【鹿華】
……ふっ、伝えねえよ。
伝えてもどうせ欲しい答えは来ない。
それにアイツ…優しいからなあ。
無理して俺の欲しい答え寄越しやがる。…要らねえよ、そんなもん。
【羽弥芝】
そ…っか、うん。分かった。伝えるよ、…必ず。
【鹿華】
…頼むわ…。
羽弥芝、…じゃあな。
【羽弥芝】
うん、………。………バイバイ。
(暫くして鹿華の姿が見えなくなってから)
【羽弥芝】
……行っちゃったか……。
なぁーんだ、私が二番目かと思ってたのに…、ずるいなぁ。
…………………。
…何よ、欲しい答えって。
無理してって…何さ…知ったような事言っちゃってさ…。
(我慢していた涙が溢れ出して)
結局、伝えてもくれないんだ…。
…伝えさせても、くれないんだ…。
……私だって、大好きだよ…ばー…か。
STORY END.
一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。
それぞれ初登場台本を掲載しておきます。
語り部羽弥芝〜落馬編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/42/
語り部鹿華〜猫万以々々編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/78/




