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二人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
40/84

★【曖昧に笑う竜胆の灯】

声劇タイトルは

【あいまいにわらうりんどうのひ】と読みます。



台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂2:♀0:不問0


 亀八郎(きはちろう) ♂ セリフ数:25

中堅ちゅうけんの語り部。語り部になる為に生まれてきた、とめられようとも。本人にとっては鬱陶うっとうしい事この上ない雑音ざつおんである。〉


 茂木(もぎ) ♂ セリフ数:25

新参しんざんの語り部。師匠と比べられるのは、まだ少し怖いけれど。怖がっていては師匠を越えられないと思い始めた〉


[あらすじ]《5分半程度》

 世界各地を語り歩く(かた)()巨万(ごまん)と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮(ふりょ)の偶然で鉢合(はちあ)わせしてしまった時の物語である―――。








【茂木】

 ………………。


【亀八郎】

 ………………。


【茂木】

 ちょっ、今こっち見ましたよね!? 何普通に無視してるんですか!


【亀八郎】

 ああー…。(つい)にあっしも幻聴(げんちょう)が聞こえる歳かい。


【茂木】

 し・しょ・う! こっち見……(かたく)なに見ない! ねえ、オレですよ〜、ここにオレが! 貴方の弟子が! 居まぶべっ!


【亀八郎】

 うるせえよ。何の用だ。


【茂木】

 …………お礼を言いに。


【亀八郎】

 ……言われる理由が無ぇ。


【茂木】

 オレにはあります。弟に……オレの事、教えたの。師匠ですよね。

 ()えました、逢って、話せました。

 生きている内に逢えるだなんて、思わなかったですし…。

 だから、ありがとうございます。


【亀八郎】

 ……、それ言うためだけに“また”待ち()せしてたって? 物好きめ。


【茂木】

 照れてるんですか?


【亀八郎】

 あ゛ぁ゛?


【茂木】

 アッ、嘘ですごめんなさい。あいたたたたたっごめんなさいって今言ったじゃないですかぁ……!


【亀八郎】

 お前はその一言多いのをどうにかしろ。頭に血が(のぼ)った勢いで、コロッと()っちまったらどうしてくれる。


【茂木】

 師匠なら大丈夫ですよぉ……、だって三年も大丈夫だったじゃないですか。


【亀八郎】

 ………………。


【茂木】

 あ、嘘です嘘です。ごめんなさいごめんなさい! あー、その(かま)えは本気のやつじゃないですか! オレの右頬(みぎほほ)(ねら)ってますね!?


【亀八郎】

 うるせぇな、ちっとは静かに出来ねえのかい。


【茂木】

 うぅぅ・・・結局殴るんすね・・・。

 あ、そう言えば師匠。どうしてオレの弟が弟だって分かったんですか?


【亀八郎】

 ああ? ンなもん、(かん)でい。

 女のあしらい方も、人の探し方も、まるでなってねぃ。兄弟ってのは離れてても似るもんだい。


【茂木】

 ・・・・・・・・・師匠は、


【亀八郎】

 あ?


【茂木】

 存外(ぞんがい)、オレの事好き、ですよね。


【亀八郎】

(黙って殴る姿勢になって)

 ・・・!


【茂木】

 あぁぁ、違います! 違います! そういう意味じゃなくて! いや、うーん・・・そういう意味、なのか? いや、でも師匠が思ってるような感じじゃなくて!


 ・・・その、ちゃんと。オレの事を見てるっていうか……。嬉しいんです、そういうの。弟に会う前は、師匠だけでしたから…オレをオレとして見てくれる人は……。


 ……あ、それと。弟に言われました。一緒に帰らないかって。………自分でも分からなかったんですけど、何でか迷わなかったんですよね…。


【亀八郎】

 ……、着いて行けば良かったんでい。


【茂木】

 え・・・。


【亀八郎】

 あの『弟』に着いて行って、好き勝手に語るあっしらを、馬鹿(ばか)真面目(まじめ)に評価する阿呆(あほう)共から離れりゃあ―――、


【茂木】

 ・・・んで、


【亀八郎】

 あ?


【茂木】

 何でそんな事言うんですか! 師匠らしくないですよ! 気にするなって言ってくれたじゃないですか! だからオレも、少しずつ気にしなくて良くなったのに・・・!


 オレが、弟に会ったぐらいで・・・オレの世界を変えてくれたこの職から、離れるとでも思ってるんですか・・・!


【亀八郎】

 …………悪ィ、軽薄(けいはく)だったなぃ。


【茂木】

 …………オレも、ごめんなさい……。


【亀八郎】

 ……。


 ……。


 茂木。


【茂木】

 ・・・? ……はい。


【亀八郎】

 ん。


【茂木】

 ……紙? ……ってか、地図? 何です、これ。


【亀八郎】

 赤点(あかてん)の目印。

 どこからでもいい、行け。


【茂木】

 は。・・・え、ちょっ。師匠!?


【亀八郎】

 ……語り部として死ぬって決めたなら。………弟子がそう、決めたなら。って弟子も名前も無かった頃に夢見てたんでい。


 いつか、あっしの道を教えよう、ってな。


【茂木】

 あ・・・。


【亀八郎】

 そうしたら出来た弟子はまともに語りも出来やしねェ。知ってる街しか語り()かねェ。気が付きゃ目の前で待ち伏せしてやがるし、あっし以外と交流も取ろうとしねェ。


 ……なのに、用意した逃げ道は、勝手に(ふさ)いじまって……本当……、馬鹿な弟子をとっちまったもんだよい。


【茂木】

 し、しょ・・・、


【亀八郎】

 泣くな、面倒臭ェ。

 半人前にもなれてねェモンが、一丁(いっちょ)(まえ)に語り部として死にてえなんて口にするな。


 そういう事は、師匠越えてから言うもんだろぃ。


【茂木】

 は、い・・・!


【亀八郎】

 (しばら)くは会えねェない。

 まあ、その方があっしとしては助かる。


【茂木】

 師匠・・・!


【亀八郎】

 あぁ?


【茂木】

 オレ・・・、オレ・・・! 貴方の弟子で良かった・・・!


【亀八郎】

(笑みを浮かべて)

 …………当たり前でぃ。














STORY END.

一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。

それぞれ初登場台本を掲載しておきます。


語り部亀八郎〜生い立ち編〜

https://ncode.syosetu.com/n0087fo/9/


語り部茂木〜鉢合わせ編〜

https://ncode.syosetu.com/n0087fo/30/

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