★【雛芥子包む棘の箱】
声劇タイトルは
【ひなげしつつむとげのはこ】と読みます。
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂2:♀0:不問0
亀八郎 ♂ セリフ数:10
〈中堅の語り部。仮名に縋らなくとも良くなっても、なぜだかその名を離したくはなかった〉
将戡 ♂ セリフ数:10
〈古参の語り部。身体の弱い妻の要望で共に語り部をしていた。妻が亡くなってからも、語りを続けている〉
[あらすじ]《2分半程度》
世界各地を語り歩く語り部は巨万と居るが、その中でも名が売れているのはほんのひと握り。これはそんな語り部達が不慮の偶然で鉢合わせしてしまった時の物語である―――。
【亀八郎】
・・・・ぅゎっ・・・・・。
【将戡】
おやまぁ、そんな顔しなくてもいいじゃあないか。
【亀八郎】
・・・出来れば、会いたくなかったでやす。
【将戡】
恋仲よりかい?
【亀八郎】
アレを恋仲なんぞ呼ぶんなら、あっしは年甲斐もなく泣きやすよ。
【将戡】
そうか。それは悪いねえ。
・・・元気かね。
【亀八郎】
変わりなく。・・・そっちは。
【将戡】
こちらも変わりなく。元気とまではいかないけれどまだまだ語り歩けるねえ。
【亀八郎】
その分じゃ、百まで斃りやせんね。あっしより頼りになりそうだ。
【将戡】
買い被り過ぎだねえ、嫌んなる。
それよか、仮名だとか何とか言っていた気がするけれど、ソレ。随分気に入ってるみたいだねえ。
【亀八郎】
・・・・・・っ。
【将戡】
無名の頃に比べて……うん、随分上手くなった。名だけで売れた語り部は、咲鳥とお前さんくらいだねえ。
難しい事をやってのけて、名付け親としては嬉しい限りだねえ。
【亀八郎】
聞きたかなかったでやすが、どうしてあっしをあの時選んだんでやすか。
【将戡】
何となく、と言ったら怒るかね。
でも小生に目利きの才なんぞ無いからね。
・・・何となく、ね。目に留まって「ああ、良いな」と思ったのがお前さんだっただけだ。
【亀八郎】
・・・あっしを鶴比佐と重ねやしたか。
【将戡】
(心底驚いたように)
まさか! 鶴比佐も良い子だったけれどソレはソレ。コレはコレだ。
【亀八郎】
・・・別に。気に入った訳じゃあないでやす。他に馴染む音が無かっただけでやす。
【将戡】
そうかい、そうかい。
そりゃ結構だねえ。
おや、そろそろ一雨来そうだねえ。雨宿りしてくかい?
【亀八郎】
・・・遠慮するでやす。
出来れば会いたくないでやすが、またどこかで。
【将戡】
素直じゃないねえ。
・・・どこかでまた、会えるといいね。
STORY END.
一人用声劇台本ページの語り部シリーズより。
それぞれ初登場台本を掲載しておきます。
語り部亀八郎〜生い立ち編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/9/
語り部将戡〜花屋編〜
https://ncode.syosetu.com/n0087fo/53/




